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Magicians Circle  作者: ransu521
文化祭編
211/309

あの国にて

Sideアイミーン


「うむ。うむ……分かった」


ガチャッ。

お父様は、誰かと電話をしていた。

こんな時間に、誰と電話をしていたというのでしょう?


「お父様?一体誰と……」

「ゲンザブロウだ。今、お前にとって大事な連絡が入った」

「私にとって、ですか?」


それは一体どんな連絡でしょう?

……まさか、シュンイチの身になにかあったとかじゃありませんよね!?


「ハッハッハッ!そんな心配そうな顔をせんでもよい!そんなに悲しい知らせではないのだからな」

「……では、一体どんな?」

「うむ。今度の月に雷山塚高等学校・中学校で行われる行事のことだ」

「行事……ですか?」


この時期に、何か珍しい行事でも開くのでしょうか?

……分かりません。


「今度、雷山塚高等学校・中学校にて、文化祭が開かれる」

「ぶんかさい……ですか?」

「……我が国ではない風習だからな。知らなくても当然か」


お父様は、一度そう一人で呟いてから、


「文化祭というのはだな……厳密に言えば様々な調べ事を発表したり、前もって準備していた物を公表する場なのだが……簡単に言ってしまえば、祭りが学校で行われるようなものだ」

「祭りが学校で……何だかそれ、楽しそうです!」

「うむ。楽しいだろうな……話には聞いているが、私も行ったことはないからな」


でも、どうしてゲンザブロウさんはそのことを電話で伝えたのでしょう?

……私にはあまり関係のないことにも聞こえるのですが……。


「そこでだ。アイミーン、シュライナーと共に日本に行け」

「え?日本に……ですか?」

「そうだ。そして、この文化祭を満喫してくるのだ」


お父様は、私にそう言ってくださったのです。

私が、『文化祭』に行く……。

しかも、雷山塚高等学校というと、シュンイチがいる学校……久しぶりにシュンイチに会えるということです!


「嬉しそうだな。この話を持ち出して正解だったな」

「そ、そんなことは!……それよりも、お父様は行かれないのですか?」


この話の流れだと、私とシュライナーだけで行くことになるのですが。

……お父様は、この学校へは行かれないのでしょうか?


「ああ。私はこの国での仕事が残っているからな。行けそうにはない」

「そうですか……なら、私も手伝いますよ?」

「よいのだ、アイミーン。このくらいの仕事なら、私と残りの使用人を使えば十分こなせる量だからな」


そう言われてしまうと、私は何も言えなくなってしまいました。

沈黙の時間が、数秒間続く。

やがて、お父様が口を開きました。


「……雷山塚高等学校へ行き、日本の人々と交流を深めてくるがいい。それが今回、お前に与えられた仕事だ……我が娘、アイミーン・グレイブスタンよ」

「……はい!」


『仕事』。

日本と同盟を結んでから、私達の国と日本は比較的友好的な関係にあると思われます。

ですが、私達の方からは、あの日以来日本には行っていません。

これは……シュンイチに会えるだけではなく、日本の方々と交流を深めるチャンスでもあるのです。


「……では、準備しておきますね。どれくらいいればいいですか?」

「好きなようにするがよい。帰りたくなったら私の所に電話を入れてくれ。帰りの飛行機を渡そう」

「!?……いいのですか?」

「ああ。たまには羽を伸ばすのもよいだろう」

「あ、ありがとうございます!」


そうと決まれば、早速準備です!

私はお父様にお礼を言って、慌てて自分の部屋に戻って準備をし始めたのでした。












……待っててくださいね、シュンイチ。













久々にアイミーンの登場です。

……瞬一の周りの状況が、さらに激化すること間違いなしです。

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