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Magicians Circle  作者: ransu521
文化祭編
209/309

S組の文化祭の出し物

「……さて、今日は俺達から話がある」


そう話を切り出したのは、もちろん俺、三矢谷瞬一だ。

俺と北条は今、黒板の前にたち、皆と面等向かっている格好をとっている。

何故こんなことをしているか……その理由は、


「来月からの文化祭の出し物を、今日のこの時間に決めちゃいたいと思ってるんだけど、皆も協力してくれるわよね?」


そう。

来月から始まる文化祭の出し物を決めている最中だったのだ。

黒板には、俺の字で書かれた『文化祭の出し物』という文字が書かれているが、提案はここまで0。

しかし、S組の癖によくもまぁ計画性のない奴らが集まっているものだ。

例えば、『写真館ポロリもあるよ』だったり、例えば『下心満載メイド喫茶』であったり。

どれもこれも、絶対規則に引っかかるだろうというものばかりであった。

ていうか、正直俺もそんなのやりたくはない。


「他に意見はないか?」

「グループ発表というのは、どうでしょうか?」

「グループ発表か……案には入れておくか」


誰かが言ったその案を、俺は黒板に書く。

さて、お次は。


「やっぱ無難に喫茶店じゃね?」

「さっきより安全ね。書いといて」


続いて俺は、喫茶店という文字を書く。

……やっと出し物が二つ出てきたか。


「やっぱり文化祭だし、クレープ屋だよな!」

「……それは何処の世界の決まりごとだ?」


晴信がA組に落ちたから、そういうことを言う奴がいなくなるとは思っていたが、むしろその逆だった。

新しくA組にあがってきた橋本隆二という人物が、晴信の代わりの位置に座ることとなっていた。

……どうしてこういうボケ役というのは撲滅しないのだろうか。


「う~ん……劇もやってみたいな」

「劇か……織らしい意見だな」


織が立ち上がり、劇という意見を出してきた。

確かに、劇というのもいいかもしれないな……とりあえず黒板に書かなくてはな。


「んで、他に意見はないか?」

「な、なら……占いなんてどうでしょう?」

「占い?」


占いという提案を出して来たのは、春香だ。

何だろう……春香は占いに興味があるのだろうか?


「占い出来るのか?春香」

「はい。少しなら」

「そうか……なら、案に入れとくか」


これで四つか。

……まぁ、そろそろ頃合か?


「んじゃ、他に意見は……なさそうね」


誰も手を挙げない所をみると、どうやらこの四つ以外に案が出ることはなさそうだ。

……写真館とメイド喫茶は封じておいてよかった。

ていうか、メイド喫茶は絶対他のクラスと被るしな。


「それじゃあ多数決で行くわね……まずはグループ発表!」


北条の声が教室に響く。

手を挙げたのは……二人か。


「次は、喫茶店!」


今度は……十人ほどか。

やはり喫茶店とかの方が、儲けとかもあるしな。


「劇の人、手を挙げて!」


続いて、劇。

……お?今度は二十人ほど手が挙がったな。


「最後に、占い!」


これは……春香を含め、三、四人か。

占い出来る奴、四人はいたんだな。


「というわけで、S組の出し物は、劇ということに決定したわ!それじゃあ役割というか……とりあえず誰かに脚本を書いてきてもらいたいんだけど……」

「あ、脚本なら私が書くよ!」

「葵が?書けるのか?」


正直、少しだけ不安なんだが……だって葵だし。


「大丈夫だよ。私、本とかたくさん読んでるし」

「……俺も一応本は読んでるけどな」

「どうせライトノベルでしょ?」

「何故限定する、北条……否定しないけど」


否定できないところが、結構痛いな。

まぁとにかく、こんな感じで文化祭の出し物は順当に決まって行った。

……けど、文化祭というのは楽しいものでもあるが、同時に大変なものでもある。

果たしてこのクラスで、劇なんて出来るのだろうか?

少しの不安と、たくさんの楽しみを抱きつつ、その日はお開きとなった。













今回から文化祭編に参りたいと思います。

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