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Magicians Circle  作者: ransu521
通り魔事件編
205/309

森羅万象

「くそっ……そんな状態でも魔術が使えるのか」

「誤算だった……由雪迅の力を甘く見ていたよ」


大和が、悔しそうにそう呟く。

それも無理はない。

精霊を召喚しておいて、その上魔術を発動させることが出来る人はなかなかいないからだ。


「闇魔術を完全に習得すると、莫大な魔力をも引き継ぐ……代わりに、俺は命を差し出したがな」

「……命を?」


迅の言葉に、大和は若干の違和感を感じる。

しかし、今はそんなことを気にしている場合ではない。

目の前には、闇属性の精霊と、武器を手にしている迅の姿。

この状態は、結構つらいものだった。

精霊を召喚しておきながら動ける人物を相手にするのは、さすがに二人も始めてだったからだ。


「……どうした?お前達『組織』の力はこんなものか?」

「……仕方ない。速・風・舞・来!!」


頭文字詠唱ショートチャント

意味を成す部分だけをクローズアップした詠唱方法である。

ただし、この呪文の詠唱方法は魔力の消費が激しい為、通常時はこんなことはしない。

だが、今回は事態が事態だ。

こんなことしなければいけないほど、大和達は追い込まれていたのだ。

いつの間にか大和の召喚した精霊はいなくなっていた。

大和が呪文を詠唱していたのは、その為であろう。


「……くそっ!」


突如目の前に現れた、数個の竜巻。

巨大なものから、小さなものまであった。

その竜巻に、ネストは巻き込まれる。

竜巻に巻き込まれたネストは、そのまま姿を消していった。


「……やるな」

「そっちこそ。あのまま当てるつもりだったんだけど、まさかあそこから回避できるなんてね」


大和は、笑みと共に迅に向かってそう言った。

けれど、内心大和の心の中は穏やかではなかった。


「……闇魔術、なかなかに厄介だな」

「どうする?大和」

「……一気に仕掛けるしかない。ここは僕と森谷で後ろと前から同時に攻撃を仕掛ける」

「分かった」


迅に聞こえないほど小さな声で、二人はそう意思疎通をした。

迅は、そんな二人を見て、笑みを浮かべていた。


「楽しませてくれるじゃねぇか……『組織』風情が。けどよ、遊びもここまでだ。次の攻撃で、貴様らを確実に死の淵に追いやってやるよ!!」


両手を天に伸ばして、迅は空を見上げる。

そして、何をするのかと思いきや。


「今宵は月の光もない漆黒の闇だ。舞台で言う奈落と同じくらい真っ暗な、闇だ。この上なくいい舞台だとは思わないか?」

「さぁな。俺的には月の光のひとつでもほしいくらいだな」

「街の光が、闇の邪魔をしてる。闇の中の光というものは、俺達からしてみればうざったらしいだけの存在なんだよ。だから、光の器(てんし)なんかの存在は、俺達闇魔術の習得者から見れば眩しい存在であり、邪魔な存在でもある」


悪魔が入った辰則が言っていたことの原因は、ここにあった。

闇魔術の継承者は、光を嫌う傾向がある。

つまり、光の器(てんし)である葵の存在は、彼らにとっては眩しすぎたのだ。


「……さぁて、お話もこれで終わりだ。そろそろ幕間から終章まで物語は運ばれていくことになる!」

「どうかな……実はまだ、プロローグも終わっていないんじゃないのかい?」

「言ってな。どうせお前達の命なんか、今ここで散るのだからな!!」


叫んだ瞬間。

迅を中心に、かなりの大きさの魔法陣が展開された。

それは、学校の敷地内の半分を占める程の大きさだった。


「……用意するは、漆黒の闇。欲するは、彼の者達を滅する力。大地・空・海・自然・人工物より魔力を吸い取り、我が力と成せ」

「……大地、詠唱を止めるぞ!」

「あ、ああ!!」


大和と大地は、剣を作り出し、迅との距離を縮めていく。

だが……それには距離が少し遠すぎた。


「我は地獄より力を授かりし者。目の前に現れし因果を断ち切り、この世を闇に塗り替えよ!!」

「させるかぁ嗚呼あああああああああああああああああああああ!!」

「喰らえぇええええええええええええええええええええええええ!!」


大和と大地の二人は、迅の間近まで接近し、剣を上から振り下ろす。

だが、


「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!闇の力を思い知るがいい!!」


大地が揺れる。

風が強く吹く。

木々から葉が舞い、石は音もなく浮き上がる。

それはまるで、星を飲み込むブラックホールみたいなものだった。


「森羅万象!!」


黒い渦は、迅の目の前に出現し、周りにあるものを、大和と大地毎吸い込み始めた。















祝、PVアクセス600000突破!

祝、ユニークアクセス40000突破!!

祝、本編連載200話突破!!!

これからも、どうかよろしくお願いします。

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