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Magicians Circle  作者: ransu521
通り魔事件編
201/309

頭角を現す

「ハァッ!」


ガキン!

刀と剣が、互いにぶつかり合う音が響く。

力比べでは、どちらも負けてはいない……ようには見えた。


「……弱いな。全然弱い」

「なっ!」


迅は、剣を持つ手に力を込める。

そして、完全に瞬一の刀を振りきった。


「……はぁっ!」


そしてそこから瞬一の喉元狙って突きをしてきた。

瞬一はそれをギリギリのところで左に避け、体をひねり、


「喰らえ!」


迅の右わき腹を思い切り斬りにかかる。

だが、


「……効かないな」

「なっ!?」


その攻撃は、迅に当たることなく、寸前のところで止まっていた。

こんな短時間のうちに、迅は魔術を発動したというのだ。

しかも、無詠唱で。


「これは剣と刀のぶつかり合いなんかじゃねえんだよ……魔術を使った、殺し合いなんだぞ?それくらい理解しろよ!!」


剣を瞬一のわき腹めがけて思い切り振る。

瞬一は、止まっていた体に力を込め、刀をその位置までもっていく。


「さぁ……生を謳歌しろ!!」


迅がそう叫んだ瞬間。

迅の周りに、黒い魔法陣が現れる。

そしてそこから、黒い矢らしき物が現れた。


「……くっ!あらゆる害から身を守る不可視の壁よ。我の身を守れ!!」


瞬一は、そう詠唱して、周りに結界を張る。

それと、迅の出した矢が飛んできたのは、ほぼ同時のことだった。

それらはぶつかり合い、激しい衝突音を響かせて、消えていった。


「聖なる雷よ。我が右手にその力の一部を宿せ!」


そして、すかさず瞬一は反撃に出る。

だが、


「鮮血よ。その体よりまき散らせ!」


瞬一の繰り出した雷撃をかわし、迅はその間合いを0にする。

そして、右手で瞬一の体に触れ、


「ブラッドスプレッド!!」


ドン!

何かの衝撃音が、瞬一の体の中から発せられる。

次の瞬間。


「ぶはっ!」


体中から、大量の血があふれ出てきた。

口から……手から……足から。

様々な部分から、血が流れ出てきたのである。


「しゅ、瞬一!」


葵の表情が、一瞬にして陰る。

そんな葵の表情を見て、


「……いいぞ。いい。この調子だ。この調子でコイツを殺せば……上質な光の器(てんし)が手に入る


不気味な程の笑みを浮かべていた。

対する瞬一は、


「……っや、やるじゃねぇ、か……」


全身から血が流れていて、立っているのもやっとの状態だ。

このままでは、確実に出血多量で命を落としてしまうだろう。


「お前も……闇魔術を継承したって、言うのか……?」

「まぁ、その死に損ないの体をしながらも、そのことについて尋ねることの勇気と精神力の強さを評価して、特別に教えてやろう……答えは、その通り、だ」


迅は、愉快そうな表情と共に、そう告げた。

さらに言葉を繋げる。


「俺はな、悪魔と契約して、闇魔術を手にした。すべては『計画』を成功させる為。俺が討つべき人物を、見つける為にな」

「討つべき……人……?」

「これ以上は教える必要はないな。何せお前は、この場で死ぬのだからな」

「しゅ、瞬一!」


晴信達が、瞬一の元へ急いで駆け寄る。

だが、


「邪魔だ、虫けら共」


迅のその呟きと共に、黒い弾が何十発も飛び交う。

そしてそれらは、晴信達の体に何発も着弾していた。


「み、みんな……!」

「……終わりだ。お前らはここで、死ね」


迅が瞬一の心臓に、剣を突き刺そうとしていた、その時だった。


「……待ちな、由雪迅」

「……アアン?」


大和の言葉が、迅の動きを止める。

迅は、不愉快そうに大和の顔を見た。


「……何だよ、テメェ。テメェもあの虫けら共のように死にたいのか?」

「……『組織』という名前は、さすがの君でも知ってるよね」

「!!……お前、まさか」

「そうだよ。僕は、君が追っている、『組織』の人間だ」

「そ……し……き?」


瞬一には、その言葉の意味が分からなかった。

しかし、その言葉の真偽を確かめる前に、瞬一は気を失っていた。













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