表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Magicians Circle  作者: ransu521
通り魔事件編
197/309

敵を討つ計画

「よ、由雪迅、だと?」

「……ああ、間違いない。あれは間違いなく、うちのクラスの、由雪だ」


ま、マジかよ……。

アイツが、今までの通り魔の、正体だったのか……。

けど、何が目的なんだ?

こんなことをして、自分にとって何が得になる?


「……」


ふと横を見ると、大和が何やら考え込んでいるのが見えた。

恐らく、俺と同じことを考えているのだろう。


「……俺も何だかわからなくなってきちまったよ。一体何が目的でアイツは襲ってきたのか……」

「晴信……」


悔しそうな表情をしている。

だが、その中には怒りの念も込められていた。


「……許せねぇんだよ、俺。同じ部活の仲間に手を出したアイツを、許せねぇんだよ……!!」


ドン!

晴信は、自らの机を、思い切り右手でぶん殴る。

もしかしたらヒビが入るのではないかと思わせる程、そのこぶしは固く、衝撃は強かった。


「……許せないのは、私だってそうだよ」

「葵?」


口を挟んできたのは、葵だ。


「私の部活の後輩を危険な目に遭わせただけじゃなくて、実際に小野田君を……許せないよ、私。由雪君を、許す気なんてない……」

「あ……」


今まで見たことのないような、怒りが見えた。

葵がここまで怒っているのは、初めてではないだろうか?


「……落ち着いてください。今ここで怒っていても、何も始まりませんよ」


なだめるように、春香が言う。

……けど、その表情には、悔しさがにじみ出ていた。


「……俺も、こんなことは終わりにさせたいと思ってた所だ」

「啓介?」

「……安全な場所なんてない学校なんて、通いたくないからな。それに、このままだと千里まで毒牙にかけられる可能性がある……そんなこと、させてたまるか。俺の周りの人間が被害者になるのなんて、もうごめんだ」


啓介がこんなことを言う人物だったとは……俺はこの日初めて知った。

……いや、すまないな、啓介。


「なら、今日の夜に待ち伏せでもする?」

「「「「「「「え?」」」」」」」


ここで出された、大和からのそんな一言。

待ち伏せ、か……それはいい作戦だ。


「けどよ、確か通り魔は水曜日って話じゃ……」

「光平が襲われた日を思い出して。八月三十一日は、水曜日でもなんでもないと思うけど?」

「……あ」


確かにそうだ。

その日は確か、水曜日ではないはず。

……じゃあ、つまり。


「……つまり、何なのかしら?」


……北条の言うとおり。

だからどうしたって話になってしまう。

なぜなら、俺達は由雪の目的なんて知らないからだ。


「それは僕にもわからない……けど、その目的は、もうすぐ完成しようとしているのは確かだよ」

「何でだ?」


大地が大和に尋ねる。

すると、


「目的があって通り魔の犯行を行っていたのだとしたら……」

「……曜日が関係なくなってしまったということは、その目的を遂行する為の材料が揃ってきている……!!」

「そういうこと」


なるほど……人の血を集めて、何かを企んでいるということか。

血には、人が生きていく為に必要な『生命力』の何パーセントか混ざってるからな。


「多分、目的は血よりも、『生命力』の方にあると思う」

「……なるほどなぁ」


俺の仮定を肯定するように、大和がそう告げた。


「……なら、その作戦で行こう」

「……だな」

「私も反対はしないよ」


啓介が決め、俺と葵が同意する。

他の奴らも、口には出していないけど、賛成のようだ。


「……んで、悪いんだけどよ、葵」

「何?」

「……空を呼んできてくれないか?正直アイツも、俺達が歩いていた所で襲ってくるとは到底思えないんだよ」

「……分かった。後で聞いてみるね」


さて、これで準備は整った。

後は、夜を待つのみだ……。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ