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Magicians Circle  作者: ransu521
通り魔事件編
196/309

様子がおかしい晴信

次の日。

俺は……いつも通りに学校に来ていた。

正直……寝起きはあまりよくない。

昨日あんなニュースを聞かされたのだ。

気分よく眠れるはずがない。


「……お?晴信だ」


学校に向かう道の途中、俺は晴信の姿を見つけた。

なので、一応声をかけてみる。


「よう、晴信」

「……ああ、瞬一か」

「……どうしたんだお前?何か様子が変だぞ」


こんな晴信は珍しい。

朝からハイテンションなのが、いつもの晴信だろう。


「……瞬一。学校に着いたら、話がある。部活のメンバーと、大和と北条、大地も呼んでくれ」

「……ああ、いいけどよ」

こんなに思い詰めた表情を浮かべている晴信は、初めてだ。

いつもの明るさは、そこにはなかった。

何というか……衝撃的真実を知ってしまったような、そんな表情だ。


「……本当に、何があったんだ?」

「……学校に着いてから話す。だから、それまでに気持ちの整理をさせてくれ」

「あ、ああ……」


今の晴信は、一人にさせておいた方がよさそうだな。


「……じゃあ、先に学校へ行ってるぞ」

「そうしてくれると、助かる」


晴信にそう告げてから、俺は足を若干早めて、学校へ向かう。

……本当に、今日の晴信は何なんだ?


「……お、大和か。ち~す」

しばらく歩いていると、今度は大和の姿を見つけた。

横には、大地もいた。


「あ、おはよう。瞬一」

「……早いな、瞬一」

「まぁな。昨日はあんまり眠れなかったんだよ」

「……魔術格闘部の光平が、例の通り魔の被害者になった件だよね?」


なんだ、大和にはもう行き届いていたのか……。

どこから情報を集めたのかは、敢えて聞かないことにしよう。


「俺もその話は聞いた。けどよ、まさか小野田が襲われていたとはな……考えてもいなかったぜ」


予想外だと言わんばかりに、大地が答える。

……俺も、まさか小野田が襲われるとは考えもしなかったな。


「んでよ……さっき晴信に会ったんだけどよ……なんだか調子がおかしいんだ」

「晴信の調子が?」


意外だと言わんばかりの表情を浮かべて、大和は尋ねてきた。

それもそうだろうな……何せあの晴信だ。

基本明るい性格をしている奴が、突然変な調子になったら、誰だってそんな反応をするに決まってる。


「後で話があるんだとよ。お前らも込みで、らしい」

「話が?」

「……ああ、分かった」


大地はすぐに頷き、大和もその後ですぐに頷いた。

……にしても、晴信の話というのは、何なのだろうか?

気になりながらも、俺は学校へと向かって行ったのだった。















「みんな揃ったな」


教室には、異様な空気が流れていた。

S組の教室の、晴信の机の周りに、何人かの生徒が集まっている。

俺含め、大和・大地・葵・春香・啓介・北条の七人だ。

ちなみに、クラス分け試験の結果が発表されるのは一週間後の為、今は前のクラスのままということになる。


「それで、話って、何でしょう?」


開口一番に、春香がそう尋ねる。

重い唇を開き、やがて晴信は言った。


「……昨日俺は、刹那が通り魔に襲われそうになっていた現場に遭遇した」

「「「「「「「え!?」」」」」」」


七人分の声が重なる。

無理もないだろう……それはつまり、通り魔に遭遇したということに直結するのだから。


「……刹那ちゃんは、無事なの?」


心配そうな表情を浮かべ、葵は尋ねる。

すると、


「ああ。外傷は特にない……今日は休んでるけどな」

「……そっか」


ホッとする葵。

だが、もう一つ肝心なことがある。


「……相手の顔は?」

「……見たぜ」


北条の言葉に、躊躇いがちに晴信は答える。

そして、こう言葉を繋げた。















「……通り魔は、由雪、迅だった」
















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