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Magicians Circle  作者: ransu521
通り魔事件編
195/309

通り魔の正体

「……ちっ、外したか」

「宮澤先輩?」


突然魔術の詠唱を行ったのは、晴信であった。

刹那は、まさか晴信がこの時間まで学校にいるとは思ってなかったので、驚くばかりであった。


「ったく、先生に呼ばれて夜まで補習受けさせられてたと思ったら、今度は通り魔か!」

「……どうして、私を?」

「当たり前だろ!同じ部活の、仲間なんだからよ!」


刹那は、その言葉を聞いた時、ハッとした。

まさか、晴信からそんな言葉を聞けるとは思っていなかったからだ。


「……ちっ。仲間か」

「……おい、そろそろ姿を現したらどうだ?通り魔よぉ。けどな、俺の、俺達の仲間傷つけたことに関しては、絶対に許す気はねぇぞ。俺もお前を、殺す気で行く」

「……殺気か。けど、弱いな」


晴信の言葉に応えるように、通り魔は闇から姿を現す。

そして、晴信と刹那の二人の視界に通り魔の姿が写った時、


「なっ!?」


晴信の顔には、驚愕の色が見えていた。

一方で、刹那は緊張の面持ちを保ち続けている。

……刹那は、目の前の少年を知っているわけではなかった。


「お、お前が……通り魔だったのか、由雪、迅」

「そうだ……俺が、お前らの間で『通り魔』なんてあだ名をつけられた、由雪迅だ」


答える、迅。

彼の手には……鎌が握られていた。

何人も襲ってきたのだろう……刃先は、赤く血で染まっていた。


「テメェ……学校ふけてると思ったら、こんなことしてたのか。目的はなんだ?欲求晴らす為か?」

「欲求を晴らす為の犯行だったら、命を取ればそれでいい……俺は殺人鬼とは違うんだ。まだ人は一人も殺してはいない」

「ふざけんじゃねぇよ……それが人を何人も斬り裂いてる奴のセリフか!!」


吠える、晴信。

自らの心の中に芽生えた怒りの念を、すべて迅にぶつける。

だが、迅は動じるどころか、むしろけなすような笑いを浮かべて、言った。


「ハッ……邪魔だ、どいてろ。今は食事の時間なんだよ。部外者エキストラはとっとと舞台から降りろ」


迅は、手にしていた鎌を構え、右足で地面を蹴る。

そして、晴信に接近してくる。


「へっ!そんな攻撃が当たるかよ!……ファイアボール!」


晴信の頭上に、炎の弾が二つ出来あがり、その内の一つが、迅に向かって襲いかかる。

だが、


「……こんなものか、炎なんて」

「……え?」


ズバッ。

鎌で、炎の弾を斬り裂いた。

それも、いとも簡単に。


「なん……だと?」

「俺とお前では、クラスこそ同じかもしれないが、力の差なんて明らかだろ?そんなことも忘れたのかよ!」


ドン!

今度は思い切り地面を蹴る。

……鎌を抱えているとは思えないほどのスピードで、晴信との距離をどんどん縮めていく。


「くそっ!」


晴信も、そう簡単にやられるわけにはいかない。

呪文の詠唱をする準備に入る。

だが、


「遅い!」

「がはっ!」


迅の足が、晴信の溝に入る。

その場に蹲り、せき込む。

そうしている内に、


「……!!」

「……もう終わりか、情けない」


いつの間にか背後に回られていて、晴信の首筋には、鎌の刃先があった。

……もし迅がこのまま鎌を引いたら、晴信の首は間違いなく刎ねるだろう。


「なら……ありがたくお前の血を頂くことにするぞ、宮澤晴信!」

「み、晴信先輩!!」


刹那の声が響く。

だが、晴信の耳に、その声は届いていなかった。


「(や、殺られる―――!!)」


もうすぐに晴信の首筋より、鮮血が流れる。

そんなことを考えた晴信は、その場で気絶してしまっていた。

……それは、刹那も同様のことであった。













通り魔編……結構長くなりそうだ。

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