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Magicians Circle  作者: ransu521
修学旅行編
182/309

大富豪一回戦目

……人数が六人というのもあって、手札の枚数は若干少ない部類に入るのだろう。

俺の手札は、というか全員の手札が九枚となっていた。

つまり、ジョーカーは二枚とも入っているルールだ。

けど……俺の手札はなかなかに強い、と思う。


「まずは俺からだ。ダイヤの三を持ってるからな」


一番手は晴信だ。

晴信から時計回りに、大和・大地・俺・啓介・小野田の順番だ。

まぁまぁな順番だろうな。


「まぁまずは順当にダイヤの三から出すか」


晴信は、手札よりダイヤの三を出す。

次に大和は、


「……よし、これにしよう」


少し考えた後に、ダイヤの六を出してきた。

ゲッ……縛りか。


「縛りと来たか……けど、出せないことはないんだよな」


そう言いながら、大地はダイヤの七を出してきた。

すると、次は俺の番か……。


「……どうしよう」


俺の手札を公開すると、ハートの四、ハートの五、ダイヤの八、スペードのJ、スペードのQ、クラブのA、ハートの二、スペードの二、そして……ジョーカー。

……強くね?


「よっしゃ。ダイヤの八で八切りだ」

「ちっ!」


俺はダイヤの八を出して八切りをする道を選んだ。

そして、再び俺の番か。

……どうしよう、これ。


「う~む……よし」


悩んだ末に、スペードのJを使って、11バックをする道を選んだ。


「もちでバックな」

「それなら……クラブの八で八切り」

「またか?!」


ああ……さっきの舌打ちといい、今の叫び声といい。

小野田が段々哀れに見えてきた。


「そして、六の三枚出し」

「な、何!?」


啓介が、いきなり三枚出しを繰り出してきた!?

と言うことは……啓介の手札は、合計四枚減ったことになる。

……やるな、一番乗り気じゃなかったくせには。


「ぱ、パスだ……」


小野田は、さすがに三枚出しは無理な様子で、ここでパスを使用した。


「……俺もパスだな」

「それじゃあ、僕が出させてもらうよ」

「な、何!?」


今度は啓介が驚きの声を挙げる。

……さすがは大和だ。

こんな時でも強運に見舞われているなんて。


「それじゃあ……このカードで」

「「「「「な、何!?」」」」」


大和が出したのは、ハートの九・クラブの九・スペードの九の三枚出し!?

と言うことは……クーデターが発生しただと!?


「……やってくれるじゃねえか、大和」

「やるからには本気を出させてもらうからね」


やはりコイツはタダものじゃない。

勝負の時の運も、半端なく強い……これはなかなかの強敵だ。

もちろん出せる奴は誰ひとりいるわけもなく、


「これは流れるな」


晴信が、カードを横に置く。

そして大和は、


「さて、妥当な線で行こうかな?」


そう言いながら出してきたのは……ハートの七。

うしっ。

そのカードなら出せるぜ。


「んじゃ……五切りさせてもらうぜ」


俺は、ハートの五を出して、五切りさせてもらう。


「んで、また俺の番なんだよな……んじゃ、クラブのAで」


今はその勢力が衰えてしまった、Aを出す。

すると、


「甘い!なら俺は、クラブの三ヲ出させてもらう!」


啓介が、三をついに出した!?

これには、さすがの大和も動揺するだろうな。

小野田・晴信の二人はもちろんパスだ。


「……本当は使いたくはなかったけど、ここで使わせてもらうか」

「……まさか!」

「その、まさかだよ」


そう言いながら大和が出したカードは……ジョーカーだと!?


「ゴメンね。僕も上がりたいからね……そして、Jの三枚出しで、11バックを使わせてもらうよ」


……いやいや、コイツはどんだけ運が強いんだよ。

みんなクーデター発動してるから、強いカードを持ってないような状況だぞ?

逆にそんなことされたら……。


「クッ……パスだ」


大地がパスを繰り出した。

……この勝負、もらった。


「お前の頭の回転のよさと運の強さには感銘を受けたよ……けどな、どうやら運は、俺に向いていたようだな!」


バシン!

強烈に地面を叩く音が、部屋中に響く。

そして、俺が出したカードは……。


「なっ……ジョーカーを交えた二の三枚出しだと?!」


これで俺の持ち札は、一気に減った。

残すは、四とQの二枚のみ。


「それじゃあ行かせてもらうぜ……まずは四だ」

「……流せ」


11バックの状態はもう終わったから、すなわち今は、クーデターが発動している状態ということだ。

つまり、四はかなり強い。


「ふっ……これで、終わりだ!」


勝利宣言と共に、俺はQを出す。

……まずは俺が、大富豪だ!!
















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