男達の真剣勝負
「あ~今日も疲れた」
「本当だね……今日は歩きでの移動が多かったからね」
あれから俺達は、様々なところを回った。
そのほとんどが歩きでの移動だったから、もう疲れたのなんの。
足が筋肉痛になるのではないかと思う程歩いた気がするぜ……実際には筋肉痛にはなってないけどよ。
「さて……まだ風呂まで時間があるからよ、ちょっとここでゲームをしないか?」
「ゲーム?何をするんだよ」
突如晴信からそんな提案が出される。
気になったらしい大地が、晴信にそう尋ねた。
俺も気になるところだ……何をする気なんだ?
「大富豪をやろう。メンバーは……そうだな、啓介と小野田の二人でも呼んでくればいいんじゃね?」
「それじゃあ、僕が呼んでくるよ」
「おう、よろしく」
大和は、啓介と小野田の二人を呼びに行ってしまった。
……さて、ルールを先に聞こうじゃないか、晴信。
「ルールも何も、基本は普通の大富豪と同じだ。ローカルルールは、八切りと革命とクーデター、後は11バックとかか……は、ありにするか」
「階段革命は?」
「メンドイからカット……ちなみに、革命の時は五切りな」
うん、このルールなら普通に楽しめるな。
けど……ただの大富豪ってわけでもないよな……。
「もちろん、ただ大富豪をやるだけじゃ面白くないから……特別ルールを設けようと思う」
やはりな……。
そして、修学旅行とかでの大富豪というのは、
「一番最後に大貧民になった奴が、罰ゲームを受ける!」
……何つーか、ベタだ。
ベタだけど、最下位になった時のショックは一番大きいんだよなぁ……これ。
「面白いじゃないか……受けてたとう」
何!?
あの大地が今日に限ってノリノリだと?
……明日は最終日なのに嵐が来るのか!?
「お前は参加と……瞬一も、やるよな?」
「……一つ確認させてもらいたいことがある」
「何だ?」
「……罰ゲームは、誰が決めるんだ?」
「無論、最後に大富豪になった奴だ」
「……なら、俺も参加させてもらうぜ」
「そうこなくっちゃな!」
トップの奴が罰ゲームを決めることが出来るのなら、やらないわけにはいかないだろ?
こんなに面白そうなことはないぜ?
対決の時とはまた違う、勘と頭脳がいつも以上に働くゲーム。
それが大富豪の醍醐味とも言えよう。
「二人を連れて来たよ!」
ガチャリと音を鳴らした後に、大和が啓介と小野田を連れて、戻ってきた。
「大和……お前はやるよな?大富豪」
「え?断る理由が何処にあるんだい?」
「……いいのか?負けたら罰ゲームだぜ?」
「なら、勝てばいいだけの話じゃないか」
流石は大和だ。
度胸あるぜ……全く。
こんなことじゃ、大和を動揺させるなんてことは絶対に無理だろうな。
「お前らは……やるよな?」
「「な、何を?」」
知らないでここまで来たのかよ……。
よく大和についてきたな、コイツら。
そんな二人に、晴信は簡単に説明をする。
すると、
「名誉返上のチャンスか……受けてたつぜ!」
「名誉を返上してどうするんだよ……」
流石はE組の小野田だな。
晴信よりも馬鹿だぜ。
「お、俺はちょっと……」
啓介が、何だか今にも帰りたそうな表情を見せている。
……情けないな、啓介。
「逃げるのか?ここで逃げたら、男じゃないぞ?」
「何でわざわざ危ない橋を渡るようなことをしなければならないんだ!」
「無論、男だからだ」
「理由になっちゃねぇ!」
今晴信が無茶苦茶良いこと言ったのにな……。
「……小山先輩をもらっちまうぞ?」
「やる」
「即答!?」
小野田にしてはいい反応だったな……。
それよりも、啓介の条件反射も凄かったな。
「んじゃ……みんな覚悟はいいな?」
晴信の問いかけに、俺達は無言で頷く。
「……よし、始めるぞ」
晴信がカバンの中からトランプを取りだし、切り始める。
……こうして、男だけの真剣大富豪対決が始まった。




