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Magicians Circle  作者: ransu521
修学旅行編
179/309

そういうわけで

「へぇ~。お前の婆ちゃんの家って、京都にあるんだな」

「そうだよ。だから今日は実家に帰ってきたって所だね」


実家か……。

俺もこの修学旅行が終わったら、実家の方に顔を出さなくちゃいけないんだよなぁ。

……元気にしてっかな、アイツも。


「遠くを見て何ボォ~としてるんだよ、瞬一」

「ん?ああ……ちょっとな」


大地に言われて、俺は思考の世界からの帰還を果たす。


「どうせまた、新たなるフラグ探しでもしてたんだろ?」

「晴信、死にたいのか?」

「サーセン」


うん、とりあえず『フラグ』とかほざきやがった晴信を一蹴し、


「じゃあ……とりあえずこの寺だけでも俺達と一緒に行動するか?」

「……そうする。来月からは私も、瞬一君達と同じ学校に通うことになるんだし」

「え?そうなの?」


琉川が微妙な驚きの表情を浮かべる。

……ああ、そうか。

大和は琉川には織のことを言ってなかったんだよな。

何せ、一緒に行動するのは今回の修学旅行が初めてなわけだし。


「……お前は織のことを知らないよな。実際に会ったのは葵と大和の二人だけみたいだし……一応紹介しとくよ。コイツは俺の幼馴染の、神山織。今度俺達の学校に転入するらしい。クラスまでは分かってないけどな」


まぁ、このタイミングでクラスまで判明していたら、ある意味怖いよな。

学校側の対応がスムーズ過ぎることに、軽く戦慄すら覚えてしまいそうだ。


「んで、織。コイツらは俺のクラスメイトだ」


順々に名前を教えていく。

そして、全員の名前を把握したらしい織が、


「よろしくね!」


と言うのが最後で、自己紹介は終わりとなった。


「けどよ、S組に入るのは結構つらいんじゃないのか?」

「まぁ……そうよね」


晴信の言葉に、北条が頷く。

……俺的には、晴信よりも織の方が数倍頭いいように思えてならない(て言うか、現実問題俺よりも頭いいと思う)。


「織はな、お前なんかよりも遥かに頭いいぞ、晴信」

「な、何で俺を指さす!?」

「……英語で赤点取るような奴がS組にいるなんて、恥ずかしいよな」

「グハッ!」


……大地が晴信にダメージを与えた。

いやぁ、俺も言おうと思ったけど、さすがに二連ちゃんはキツイかなと思うし、やめておこう。


「それに、話したらキリがないけど、とある理由でコイツは小さい時にアメリカに行ってるんだ。所謂帰国子女って奴だな」

「ま、マジで!?」


晴信が驚きにも似た声を挙げる。

……やはりコイツはマジで騒がしい。


「帰国子女で、美少女……萌えぇえええええええええええええええええ!!」

「いや、基準がよくわからないから」

「ていうか、何?アンタ死ねば?」


大和による冷静な突っ込みと、琉川による最早毒舌により、晴信のダメージは積もるばかり。


「あら、琉川さん。その点については私も同様の意見よ」

「……あの変態に対する考えなんて誰もが一緒だと思うけどね」


……まぁ、要約すると。

晴信は救いようもない程のアホだってことだな。

次回のクラス分け試験(すなわち二学期の始業式試験のことだが)はどうなるのかねぇ……。


「時間も迫ってきていることですし、そろそろ移動しませんか?」


空気を読んでか読まないでか。

このタイミングで春香がそう提案してきた。


「そうだね。時間が迫ってきてるし。みんな、行こうよ!」

「だな」


葵も俺も、その意見には賛成だった。

なので、俺達は本尊の中に入ることとなった。


「……あのさ、織。離れてくれないか?」

「え~?くっつくの、駄目?」

「いや、駄目ってわけじゃ……って、左側には葵まで」


右に織が。

左に葵が抱きついてきている状態で、俺は移動する破目になったのだった。


「両手に花、だね」

「大和……それ、どういう意味だ?」

「そのままの意味だよ」













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