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Magicians Circle  作者: ransu521
修学旅行編
178/309

意外と……てか、弱かったな。

「八つ裂きにしてやんよ!」


ナンパ男の一人が、俺達に折り畳み式ナイフから刃を出して、こっちに襲いかかってきた。

……何故魔術を使わないんだ?


「それくらいなら、避けるのも簡単だ!」


魔術を使うまでもない。

俺達は後ろに下がり、攻撃をやり過ごす。

そして、反撃するために俺は握り拳を作り、相手の顔面目掛けて殴りにかかる―――!


「甘い!俺達が魔術を使えないとでも思ったか!」

「え?」


何をするのかと思えば、ナイフを振ってきた男の背後から、小さな水の塊が飛んできた!?


「ちっ!……あらゆる害から身を守る不可視の壁よ。我が両手に宿れ!」


殴ろうとしている手の動きは止まらない。

ならば、その手に魔術をかけて、相手の攻撃を打ち消せばいい。

パァン!という音と共に、攻撃は打ち消された。


「あ、アイツの攻撃……がぁ!?」


その手を止めることなく、そのままの勢いで相手の顔面を殴った。

その横を、大地が勢いよく走る。

そして、一人の男の前に立ち、


「終わりだ……」

「丸腰で俺達に挑もうなんざ、馬鹿にも程があるぜ!」


そう言われて、大地はポケットの中から携帯電話を取り出す。

そして、


「彼の者を討て……ウイング!」


簡単に魔術の詠唱を行う。

瞬間、相手の立っている地面から竜巻が現れた。

ただし、何時ものそれよりは小さかった。


「うひゃあ~!目が回るぅうううううううぅうう!」


男はそのまま目を回して、その場に倒れてしまった。


「さて……まだやる?」


やられていない二人の男に大和が笑顔を浮かべながら尋ねる。


「この野郎……やられっぱなしでたまるかよ!!」

「あ……おい!」


男の制止を聞かずに、一人が大和に飛びかかる。

なんのことはない、ただのパンチだ。

大和は特に気にすることもなく、右手でそのパンチを払いのける。

そして、相手の腹部に、左手拳を固めての、鳩尾。

なす術もないまま、男達のうち三人が戦闘不能に。


「もう一度聞くよ……まだ、戦う?」

「あ……あ、す、すみませんでしたぁああああああああああ!!」


男達は、謝罪の言葉を述べると、そのまま何処かに走り去ってしまった。

いやぁ、いい様だ。

ついでにそのまま病院に行ってくれればいいんだけどなぁ。


「さて……大丈夫か?そこにいる女子」


俺は、離れているところに立っていた女子に、そう話しかける。


「あ、うん。大丈夫……って、ああ!」


む?

何処かで聞き覚えのある声だな。

というか、何処かで見たこともあるぞ。


「……あれ?君、もしかして……」

「何?大和、お前の知り合いか?」


大地が大和にそう尋ねる。

……その前に、俺も知っているというか、俺に至っては先月会ったばっかしだし。


「やっぱり……瞬一君だよね!?」

「何でお前がこんな所にいるんだよ……織」


そこにいたのは。

神山織その人だった。


「織って……この子が、神山織ですか?」

「女の子……じゃない、大和」

「うん、どうやら僕は勘違いしてたみたいだ」


大和……お前、織を見て男だと勘違いしてたのか。

まぁ、格好とかで下手すれば男と見間違えられないこともないし。

一人称も『僕』なので、間違える人が出ることは出るかもしれないな。


「ひどいな……僕はこれでも女の子なのに」

「これでもって言うか、お前は間違いなく女だから、安心しろ」

「本当!?」


本当の話だから……。

だから顔をドアップにするのだけはやめろ。


「うう……」


何だか葵も怒ってるしよ……。

てか、怒る理由が分からないんだけど!?


「……はぁ。三矢谷瞬一って、みかけによらず鈍感なのね」

「お~い、聞こえてんぞ~」


何だか琉川が俺の悪口言ってた気がするんだけど。

てか、鈍感って何だよ……。













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