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Magicians Circle  作者: ransu521
神山織編
165/309

喫茶店での会話

「俺はコーヒーで」

「私もコーヒーを」

「僕は……紅茶で」


三人とも自分の飲みたい飲み物を注文した。

店員は、それらを手に持っている、なんていうかは知らないけど、とりあえず機械を操作してそれらを記録して、営業スマイルを浮かべて奥に引っ込んだ。

……そして、何だこの状況。

二人の間で、謎の空気が流れているんだが。

なんというか……重い。


「それじゃあ、そろそろ話しを始めるか」

「そうだね。瞬一君……まずは葵とどういう形で知り合ったのかを教えてもらおうかな」

「それじゃあ私は、織と瞬一がどういう風に知り合ったのかを」


……道中で話したような気もするんだよな、この二つは。

大体、そこまで気にすることでもないだろうに。


「いやいや、結構重大な話だよ、瞬一君!」

「……お前は昔からあんまり変わってないな。強いて言うなら、身長が伸びたくらいか?」

「そういう瞬一君こそ、背が伸びたくらいで、相変わらずの性格だよね」

「そりゃどういうことだよ……」

「それだけ変わらないよさを持ってるってことだよ」


褒められてるのか貶されてるのかイマイチ判断しにくいんだけど……。

織、さり気なく喧嘩売ってるのか?


「ねぇ織」

「何?葵」

「その……もし良ければ、今度小さい時の瞬一の話、聞かせてくれないかな?」


おい、葵。

織と何の約束を結んでやがるんだよ。

織もその約束は結んでは……。


「うん、いいよ。その代わり、中学にあがってからの瞬一の話、聞かせてよね」

「もちろんだよ!ギブ&テイクって奴だよね?」

「……」


駄目だ。

この二人を止める自信が、俺にはない。

ていうか……ある意味で似ているこの二人だからな。

二倍の疲れが、俺に襲い掛かってきそうだぜ。


「お待たせしました」


すると、店員がトレーの上に俺達が注文した、コーヒー×2に、紅茶×1を持ってきた。

それらをテーブルの上に置き、店員は『ごゆっくり』という、心からそうは思ってはないだろうなと思う言葉を述べてから、再び奥に戻って行った。

……なんだこの微妙なタイミング。

全然ベストタイミングでもないし、空気を読んでないわけでもないし。

妥当すぎるだろ、これ。


「つかよ、葵に織。俺の目の前でそんな約束を結ぶなっての」

「「え?駄目なの?」」

「いや、駄目だろ!」


何二人で『何言ってるの?』って顔作ってるんだよ!!

まるで俺が間違ったこと言ってるみたいじゃねぇか!!

つか、さっきまでの険悪ムードは何処に行った?

何利害一致してるんだよお前らは!!


「……ヤバイ、これらすべてに突っ込みを入れてると、疲れる」


ていうか、俺のキャラじゃないような気がする。

こういう突っ込みは、他の奴に任せとけばそれでいいんだよ、ホント。


「にしても、相変わらず瞬一君の性格は変わらないよね……困った人を見つけると、すぐに助けに行くとか」

「ああ。それが俺のポリシーでもあるからな。ある意味では」

「……僕としては、危ない所に行って欲しくないんだけどな」

「……」


織の言葉に、俺は少し言葉を失った。

確かに、他人がピンチに陥っているのを無視してはいけないと思っている。

けど……今まで自分の体のことなど正直考えたことがなかったのだ。

そのことに気づかされたのは……春香の件だな。

あれは、俺の中で何かを変えるきっかけとなっただろうな。


「俺もちょっとあの時は気づかされた。だから、今度からは自分の体のことも考えることにするよ」

「……そうしてくれると、私も嬉しいかな」


笑顔で葵がそう言った。

……あんまり心配ばっかさせるのも悪いんだけど、心配してくれるということに甘えている俺もいたりする。

だって、心配してくれる友達がいるんだから。


「まぁ、お前らのような大切な奴らがいるから、俺も安心して無茶出来るっていうものだけどな」

「……そういうことは、ちゃんと前置きをしてから言って欲しいかな」


ん?

何顔を赤くしてるんだ、二人とも?


「「な、なんでもないよ!!」」


うおっ!

二人で声を揃えてきやがった!!

……なんでここまで息が合うかね、織と葵は。


「ま、時間もあんまりないし、もう少ししたら、喫茶店出るぞ」


その後、俺達は飲み物を飲みながら、いろんな話をした後に、その喫茶店を出て、それぞれの帰る場所に帰って行った。















こうして、終業式の日が、終わったのである。
















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