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Magicians Circle  作者: ransu521
神山織編
163/309

謎の感触

「ふぅ~小野田相手にあの術を使うのは勿体無かったかなぁ」

「けど、あの術凄いよ!一体いつあんな術を習得したの?」


帰り道。

俺・葵・春香に加えて、先ほどまで追試を受けていた晴信を加えて、並んで歩いていた。

話している内容は、さっき俺が出した術についてだ。

スパークロアは、そういえばこっちでは出したのは初めてだったか。


「いや、なんとなく習得出来ていたって方が正しいかな……」

「す、凄いです!瞬一君は」

「そうか?ありがとよ」


春香よりお褒めの言葉を頂戴する。

褒められるのは気分が悪いことではないので、俺は少し照れたような表情を見せていた、と思う。


「にしても……晴信の顔がやけに暗いな」

「気にしないでくれ……それに、一応試験の方は……全部埋めたには埋めたけど……適当だ」

「……ドンマイ、晴信」


どうやら追試の方も駄目だったみたいだな。

うちの学校では、まず定期テストで赤点を取った場合、追試を受けることになっている。

これの最低ラインは40点。

39点以下を取った時点で、その生徒はアウトということになる。

まぁ、そんな生徒の為の救済措置として、最後の頼みの課題提出というものがあるのだが。

これを夏休み中にやって、先生に提出さえすれば、40点まで引き上げてくれるというシステムだ。

……最も、これが結構きつい物であり、ただでさえ多い夏休みの宿題に加えて、赤点課題まで加わると……最早夏休みはないも当然のものとなるだろう。

しかも今年は修学旅行もある……これが終わらなければ、素直に楽しむことが出来ないのだ。


「ああ……頼む。せめて40点は行ってくれ……」

「珍しく晴信が神頼みしてる……」

「これはよっぽどテストの結果が……」

「駄目だったんですね……」


上から順に、晴信・葵・俺・春香の発言だ。

晴信は、地面に両膝を着けて、両手を合わせて空に向けて、神頼みをしていた。

……すごく恥ずかしいから、今すぐやめてくれ。


「ほら。いつまでもそんな馬鹿なことやってないでさっさと行くぞ」

「ま、待って!置いていかないで!!俺に救いの手を差し伸べてくれ!!」

「気持ち悪いからそれやめろ!」


なんかすごい形相でこっちに向かってくる。

こ、これは気味が悪い……。


「晴信……普段から勉強していればこんなことになんなかったのに……」

「お、俺だってこんなになるとは思ってなかったんだよ!!」


いやいや、多少想定内の範囲だろ。

まったく勉強している素振り見せてなかったら、いくらなんでも赤点取ってしまうって。


「しかし、お前あれだな……一ヶ月授業に出てなかった俺が追試逃れてて、無遅刻無欠席のお前が追試を受けるとは、どういうことだよ」

「知らねぇよ!これはきっと、アイツら先生の陰謀だ!俺を罠に陥れようとしてるんだ!!」

「ついには他人のせいにしてますけど……」

「ほっとけ。あれはもう、いつもの発作みたいなものだから」


晴信の行動一つ一つに突っ込みを入れてると、こっちが疲れる。

だから、スルー出来るものはしてしまった方が、こっちの体力も減らなくて済むというものだ。


「てか、いつの間にかもう分かれ道か」


そんなことをしている内に、寮へ行く道と、そうでない道の二つに差し掛かった。


「あ、俺今日はこっちに用があるから。先に寮に帰っててくれ」


そう言ったのは、晴信だ。


「そうか?……まぁ、別にお前と寮の部屋が同じってわけでもないし、とっとと自分のペースで帰っちまうけどな」

「おいおい……」

「私も買い物をしなければいけませんので」


おや、春香もか。

……そう言えばあの日以来春香の兄に会ってないけど、元気にしてるのかね?

まぁいいや、今度見に行けばいいや。


「じゃあな、晴信、春香!」

「おう!また修学旅行でな!!」

「何言ってるのよ!夏休み中も部活あるからね!!」

「マジで!?」


当り前だろ、晴信。

夏休みに部活やらない所なんて、そうないだろ……。


「それではまた今度の部活で会いましょうね!」

「ああ!」


そう言うと、晴信と春香は別の道に行ってしまった。

一方で、俺と葵は二人きり。

……寮に帰る道と、葵の家が同じ方向にあるので、必然と言えば必然なのだが。

そして、前を向き二人で帰ろうとしたところで……。

ドン!という衝撃音と共に、誰かとぶつかる感覚を感じた。
















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