久しぶりの部活
さて、今俺は、小野田と対峙している。
え、何故かって?
それは……今回の部活での対戦相手がコイツだからだ。
……まったく、久しぶりの部活の相手がコイツだなんて……準備運動にはなるかな。
せめて啓介と戦いたかったぜ……啓介は十分に強いからな。
それこそ、何でB組で収まってるの?って考えてしまうくらいに。
「おい、よそ見してんじゃねぇよ」
「うっせぇ~な。やられ役はやられ役に徹してろってんだろ」
「言ってくれるじゃねぇか……この野郎」
軽く小野田を挑発する俺。
このくらいの挑発に乗るとは……やはり小野田だなぁ。
てか、マジで何でこの部活に入部したし。
「今回のルールは……相手を先に降参させた方の勝ちの、クラス分け試験方式で!」
「つまり、倒せれば何でもありってことだな?」
「そうだよ!」
そっちの形式の方が面白いぜ。
……武器だそうが関係なしだからな。
まぁ、これは部活なので、魔術服を着ているがな。
「早く始めようぜ!」
「……やる気に満ち溢れてるな、おい」
小野田はやる気満々のようだ。
やれやれ……こんな奴相手に本気出すのは不本意なんだがな。
まぁ、本気出さないで負ければ、
「何で本気出さねぇんだよ!立て!!」
とか何とか言われて第二ラウンドに入ってしまうことだろうし。
ここは全力を出しておくか。
「それじゃあ始めるよ……よ~い、スタート!」
よしっ!
葵によって始まりの合図が告げられた所で、俺達二人は同時に動き出した。
……何で小野田は始まってしょっぱなから、風魔術使って移動してんだよ。
アイツ馬鹿か?
「しゃあね~な……撃ち落としてやるよ!ライトニング!!」
とりあえず風魔術使って宙に浮いたので、そこをライトニングで撃ち落としてみることにした。
一直線に伸びる雷の線は、小野田の体を確実に……。
「甘い!トルネードスピン!!」
お?
小野田の目の前に竜巻が現れて……ライトニングを打ち消した!?
結構やるな……ってか、この竜巻のせいでそこらへんの砂が舞って、前が見えないんだけど。
……まさか、小野田の奴はこれを狙って……。
「そこだ!」
おっと、ここで小野田が風を使ってこっちに飛んできた!
……アイツも学習しないやつだな。
「そんな単調な攻め方で俺を倒せるかっつーの……雷を帯びし壁よ、我の前に顕現せよ!」
俺はそう呪文を詠唱すると、目の前に壁を出した。
それは結界とは違う、攻撃を目的とした壁。
その証拠に、壁の周囲には電撃が流れていた。
「そんな簡単にその壁に激突すると思うなよ!……風よ、吹け!!」
簡単な詠唱をした小野田。
すると、壁の目の前に竜巻が起き、小野田の体はその竜巻に乗った。
……結構シビアな戦い方するな、コイツ。
「このままお前を討つ!……我が武器となりし剣よ、ここに顕現せよ!」
すると、小野田の右手には、剣らしき物が握られていた。
「ここからの攻撃なんて、避けられないだろう!!」
「……いや、割りと簡単に避けられるから」
ヒョイっと後ろに下がり、落下地点から外れる。
すると、勢いよく俺がさっきまでいた場所に、小野田が落ちてきた。
「グハッ!」
……衝撃で自分がダメージ受けてるし。
前にメルゼフが似たような技やったけど、あれって相当危険な技だったんだな……いや、コンクリートへこました時点で凄い技だったけど。
「さて……そろそろ決めるか」
「あ、あれ?抜けない??」
「だからお前は魔術が下手くそなんだよ。戦術とか、その魔術の特性とかを考えないから、こんな目に遭うんだ……」
とどめは……そうだな。
アムステルダムに撃ったあの技でいっか。
「我に抗う者に、神より賜りし聖なる矢にて、彼の者に静かなる苦しみを与える!!」
俺がそう詠唱するのと同時に、足元に描かれた魔法陣は光だし、俺の目の前に、矢と弓が現れる。
俺はそれらを手にし、小野田に狙いを定める。
「え……ちょっと……?」
「お前も剣で俺の真上から突き刺そうとしたんだ。俺にだって武器を使う権利くらいあるだろうに。それに、魔術服が守ってくれるから、大丈夫だって」
そう、ささやくように小野田に言ってから、
「お前にはもったいないくらいの技をくれてやるよ。せいぜい名誉なことだと思え!……スパークロア!!」
ビュッ!
放たれた矢は、小野田の胸に突き刺さる……ように見えて、魔術服によって守られているので、衝撃のみが伝わる。
そして、その部分から、小野田の体に電流が走る。
「あぎゃああああああああああああああああ!!」
バタン。
しばらくして、小野田はその場に気絶した。
……以上、試合時間、およそ2分49秒。
カップ麺がギリギリ出来るか出来ないかの時間で終わったとさ。




