自業自得、だな。
「おい瞬一……どうしてくれるんだよ、俺の夏休みが……俺の夏休みがぁ~!!」
「落ち着けや。追試で済んだだけまだマシだろ。世の中にはな、赤点が原因で居残り補習って最悪な目に遭う人間だっているんだから」
うん、どっかのおバカさん何かはその例に漏れなかったって聞くぞ。
……どっかのおバカさんが誰なのか知らないけど。
「にしても、早いものでもう終業式か~」
「……なんだかんだで二年生になってから、もう三か月が過ぎたわけだね」
早いなぁ。
ていうか、俺的にはまだ二カ月しか経過してないんだけど……。
「八月の下旬には修学旅行もあるって言ってたね」
「ですね。今から楽しみです」
そうそう。
来月末……正確な期日を言えば、八月二十三日~二十六日までの間、俺達は修学旅行で京都に行くことになっている。
……この修学旅行も、静かに終わるとは到底思えないわけだけども。
「んじゃ、今日は一学期終わりましたよということで、部活は休みに―――」
「ならないからね、晴信」
「ちっ」
晴信は、どうやら思い切り羽を伸ばしたかったらしい。
葵がそうピシャリと言いきったことによって、半分涙目になっていた。
「ってか、追試って今日じゃね?」
「……やべぇ、何も勉強してねぇ……」
「究極なまでのアホね」
……コイツ、卒業する気あるのか?
勉強くらいしとけっての。
「けど、大丈夫だ……今日の俺の星座占いは一位だったから、きっと大丈夫!」
「……晴信、それ、死亡フラグだぞ」
「フラグってなんですか?」
「……気にするな」
どうやら春香はフラグの意味を分かっていない様子だ。
まぁ、こんな単語知らなくても生きてけるから、わざわざ説明する必要もないな。
「さぁてと、俺達は早い所部室に行こうぜ。玉砕するだろう晴信の心配をしながら」
「おい!そこはせめてフォローとかないのか!?」
「ないな。日頃からの勉強を怠っていたお前が悪い」
大地……結構痛い所つくなぁ。
言った本人は、当然のことを言ったまでだって顔してるし。
あ、今の一言は確実に晴信の胸に突き刺さったんだろうな。
晴信の奴、凄い顔してやがる。
ていうか、今にも泣きそうだ。
「くじけないもんね!」
「……うざいわね」
晴信がそんなことを口走ったら、北条が一言スパッと言い切った。
「さて、春香、葵。俺達は先に部室に行くぞ」
「は、はい」
「うん!」
春香は少し戸惑い、葵は晴信のことなんて心配してないかの様子だった。
……せめてお前くらいは心配してやれよ。
俺が人のこと言えた義理じゃないんだけどよ。
見ると、大和と大地もまた、部活に行く準備をしていた。
ちなみに、大地は大和や北条達と同じように剣術部に入部していた。
……なんだかんだで部活も久しぶりなんだな。
今日が終業式ということも重なって、時間も長くとれるしな。
「じゃあな、晴信。せいぜい40点はとれよな」
「わ、分かった……とれるか自信ないけど」
「大丈夫だろ。お前は未確認物体Gと同じくらいしつこいことくらい知ってるっての」
「そうか?ありがとよ……って違うだろ!!」
ちっ。
どうやら途中で気付いたようだ……自分が黒いGとイコール関係にされそうになったことに。
「いつもより勘が優れてるじゃねえか……それなら追試も大丈夫なんじゃねえか?」
「……お前、まさか、俺に自信をつけさせる為に、わざと……」
「いや、違うからな」
愉快な勘違いをした晴信に現実を突きつける。
が、トリップ状態に入ってしまったようで、俺の声は聞こえていない様子だった。
「……行くぞ」
「……そうだな」
大地に言われて、俺達は教室を出る。
教室には、周りに星……いや、ヒトデか?
とりあえず、晴信の周りに何かが現れている状態となっていた。
……しばらく一人でそのままの状態でいろ。




