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Magicians Circle  作者: ransu521
神山織編
159/309

神山織との過去

「その話は本人から聞いたよ。それで瞬一、一体……」

「アイツはな、俺が中学に上がるまで同じ学校に通ってたんだよ。幼稚園も一緒、小学校も一緒」


隣の家だってこともあって、織と俺はいつも一緒に過ごしていた。

どこ行くにも、二人一緒で。

あの時は、本当に楽しかったなぁ。


「ところがな、ある日のことだった……俺はもちろん、織も自然魔術師だったんだ。しかも、小学生ながら、結構力が強かったんだよ……だから、アイツの親が勧めたことは」

「勧めたことは?」

「……海外留学だ」


そう言った経緯があって、織は海外留学するか。

俺と一緒に、雷山塚中学校に来るかで迷っていた。

だが、そんな迷いすらも一気に吹き飛ぶような事態が、発生したのだ。

それが……親の海外転勤。


「……」

「そうして織は外国へ行き、俺はこっちに残ったってわけさ。まぁ、アイツが日本にいる間にも、ちょっとした出来事があったんだけどな。それはまた別の話にするよ」

「そっか……そんな話があったんだ」


葵が、半ば呟くようにそう言った。

まぁ、暗い話でも何でもないんだけどな。

海外転勤なんて、よくある話……でもないか。


「じゃあ、神山織って言うのは……」

「ああ。俺の大事な親友の一人だ。もちろん、お前らを含めてな」

「おお……俺のことを親友と呼んでくれるのか」

「あ、お前はサーヴァントな」

「さ、サーヴァントって、何?」

「親友の呼び方の一種だ」

「いっやほ~い!!」


……駄目だコイツ。

マジで英語出来ないな。

ちなみに、サーヴァントって言うのは、召使いとかの意味を示す英単語である。

ターゲットにも載ってるから、今度調べてみるといいぞ。

ちなみに綴りは、『servant』な。

……型月作品に、そんな単語が出てきた作品もあったな。


「何ぶつぶつ言ってるのよ?」

「いやぁ、晴信の頭の愉快さに、つい、な」


……コイツは中学からやり直した方がいいと思う。

うん、絶対に。


「んで、今織はどこにいるんだ?」

「さぁ……そこまでは分からないけど。多分今度君を探すために学校に来ると思うよ」

「……は?まだ俺が帰ってきたこと言ってないの?」


……面倒くさいことになってきたぞ。


「うん。だってその日以降、僕達は会ってないからね」

「……ああ、ややこしいことになりそうだ」


アイツも葵と同じようなタイプ……いや、根本的な所では違うんだけど、結構感情表現豊かなタイプだからな。

喜怒哀楽が激しいというか……何というか。


「まぁ、織が来たら俺の顔を見せてやればいっか……」


にしても、アイツ。

こっちに帰ってきてたんだな……。

この一ヶ月で、随分と事が進んでいる気がするぜ。

久しぶりに二人でどこかに行くのもいいかもしれないな。

……ちったぁ成長したんだろうな、織。


「さぁて、勉強会の続きと行こうじゃないか。早くしないと、マジで英語で赤点を取りかねないぜ」

「あ、晴信は赤点確定よ」

「何だと北条……テメェ、俺が赤点取らなかったらどうするつもりだ?」


……無理だな、コイツは。

サーヴァントの意味を知らないといい。

『I』の次に続くBe動詞が『are』だったりと、かなり凡ミス&単語覚えていないという現実が待っているから、一夜漬けだけじゃ済まないと思うぞ、コイツの場合は。


「あ、あの……ここで喧嘩しては」

「空、止めなくていいぞ。むしろ無視しろ」

「で、でも……」

「放っておけば、あの二人の喧嘩はすぐに収まるよ」

「お、お姉ちゃんまで……」


さすがに姉である葵にまで言われてしまうと、言葉に詰まってしまう空。

まぁ、俺達は晴信と北条の喧嘩をバックBGMにしながら、その後も勉強を続けた……うるさいからもちっと静かにしろよ。















そんなこんながあって、俺は期末試験を何とか乗り越えられた。

他の奴らも、余裕の奴がいたり、普通の奴がいたり、ちょっと危ない橋を渡った奴もいたり……と様々な反応が返ってきたが、まぁ普通だったということだろう。

ちなみに、喧嘩していた北条と晴信だが。

北条の方が全然平気だったらしい。

だが、晴信の方は……英語で『○』をとってしまったらしい。
















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