勉強会!
「さぁ~て本日は、一ヶ月間学校を休んでいた瞬一の為&何か皆で勉強した方が効率よくね?というわけで……第一回期末試験対策勉強会 ~in細川家~!!」
「何一人で盛り上がってんだよ、お前」
今晴信が言った通り、俺達は今日、葵の家に集合していた。
理由は簡単。
来週に控えた期末試験の勉強の為だ。
普段通りに授業を受けていたのなら、俺はこんな会には出ていなかっただろう。
しかし、今回の俺はかなりハンデを抱えている。
何しろ、一ヶ月間授業に参加しなかったのだからな……かなり不本意ながら。
「にしても、結構集まったなぁ~ってか、よく葵の母親は許可したもんだ」
今この部屋……というか居間に集まっているのは、俺や葵、葵の妹の空はもちろん。
晴信・大和・北条・春香・この前転入したばかりの大地の、計八人。
つまり、この家に俺達六人がお世話になるという形だ。
……葵の母さん、太っ腹だな。
「何でも、青春はエンジョイしないと駄目よ、我が娘よ!……だって」
「ほ、細川さんの母親って、どれだけ愉快な人なのよ……」
北条が呆れた形相を見せて呟いた。
その葵と空の母親は、現在どこかに買い物に出かけていて、現在はこの家にはいない。
まぁ……何というか、一度会ってみたいものだな。
「こうしていても時間が過ぎていくだけだし、そろそろ勉強の方を始めようよ」
「だな。今日俺達は勉強しに来たんだから……で、何時までやるつもりだ?」
大和の意見に賛成するように大地は言って、そして質問を織り交ぜてきた。
これには晴信が答える。
「夜までは続けるつもりだぞ?最も、泊まりではないけど」
「何でお前が時間とか決めてんだよ」
「だって提案したの俺だから」
……そう言えばコイツが提案したんだよな。
「今回の期末はマジでヤバいんだ!だから勉強会を開こうぜ!!」
なんて言い出したのは、晴信だったと思う。
……俺の方がヤバいってのに。
「では、何から始めましょうか?」
春香がみんなに尋ねる。
そうだな……まずは英語らへんから始めるのが妥当だろうか。
数学・国語はどうにかなるし、理科・社会は最低丸暗記でもなんとかなりそうだ。
けど、英語だけはどうすることも出来ないんだよな……うん。
「あ、あの……」
「ん?」
その時。
空が遠慮がちに俺に尋ねてきた。
「私は、ここにいていいんでしょうか……?お邪魔でしたら、奥の部屋にいますけど」
ああ、ここにいていいのかという、軽い疑問みたいなものを持ってたのか。
「いやいや、全然邪魔じゃないぞ?ここにいていいんだ」
「い、いいんですか?」
「ああ、一緒に勉強しようじゃないか……と言っても、俺の方は相当ピンチだから、教えてやれないけれども」
「い、いえ、いれるだけで十分です!」
顔を若干赤くして、空がそう答える。
……赤くなる要素がどこにあったか?
「……鈍感」
「東京湾に沈されたいか?」
「サーセン」
とりあえず何か戯言を抜かしやがった晴信を脅迫してから、俺はカバンの中から英語の教科書を取り出す。
ちなみに今日は日曜日なので、一日中勉強出来るという、ある意味では最高の。
ある意味ではテンションの下がる一日となりそうだ。
「んじゃ、始めるか」
というわけで、早速勉強会が始まった。
平和な話です。
しばらくはこんな感じの話が進むかな……勉強会の話は短いですが。




