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Magicians Circle  作者: ransu521
サマラ編
147/309

出会いがあれば、別れもある

「う、う……ん」


目が覚める。

するとそこは、見覚えのある城。

ここは……モテラスの城の部屋か?


「戻って……来たのか?」


いつの間に?

さっきまで俺達は気絶してたって言うのにか?

けど、周りを見てみると、確かに俺を含めた十三人いるな。

……一体誰がここまで連れてきたんだ?


「目が覚めましたか?」

「あ、ああ……モテラス、お前がここまで運んでくれたのか?」

「僕だけじゃありません。ナイトと名乗る人が、手伝ってくれました」


ナイトか……。

アイツに次に会う機会があったら、お礼を言わなくてはな。


「これで全員起きたみたいですね」

「あ、俺最後だったのか?」

「はい。そうですけど……」


ヤバいヤバい。

自然とみんなを待たせていたってわけか。


「おせぇぞ、お前」

「すまんすまん。ついついぐっすり眠ってた」


直行に半ば怒られて、俺はそう言葉を返す。

すると直行は、呆れた表情で俺を一瞥した後に、モテラスを見た。


「それで……教えてくれないか?」

「どうして、モテラスがあんな計画を立てたのか」


深夜と美紀が、続けざまに尋ねる。

……ああ、アムステルダムの決戦前に言ってた、あのことか。

モテラスが、この事件の計画を立てた人物、という話だな。


「……僕とアムステルダムは、曲がってしまったこの世界をやり直す為に、一度世界と世界を結ぶ中間地点であるこの世界を壊して、すべての世界をやり直しさせるつもりでした」

「曲がってしまった世界……」


麻美がそんなことを呟く。

モテラスの言葉に反論出来る人物は……いなかった。

自分の世界がまっすぐに進んでいるかと聞かれてしまったら、そうだとはっきり言えない自分がいる。

俺達人類が今まで行ってきた行動が、間違っていないと、素直に言うことが出来ない自分がいた。


「ところが、ある日僕は気づいたんです……こんなやり方をしても、結局人類は、また同じ道を歩み続けてしまう。例え世界をリセットしたところで、僕達人類が歩む道は、同じなんだって」

「……」

「だから僕は、この計画を抜けて、過去を修正するのではなく、過去の失敗を利用して未来を変えていくという選択肢を選んだのです」


過去の失敗を利用して、未来を変えていく。

何故だか、その言葉は俺の胸に響いた。


「今回のことも、僕にとっては過去の失敗と言えるでしょう……勝手にこんなことに巻き込んだりして、申し訳ございませんでした」

「……いいっていいって」

「え?」


竜平が軽い調子でそんなことを言った。

これにはモテラスも驚いたが、将吾がそんなモテラスを見ながら言葉を続ける。


「もしモテラスが俺達をこの世界に連れてきてくれなかったら、何も知らないまま俺達は死んでしまったかもしれない……何も知らないで死ぬよりは、何かして死ぬ方がいいってもんだろ?」

「結果俺達は死んでないけどな」

「最も、俺は一回死を経験済みだったりするけど」


将吾、それは笑えない冗談だぞ……。


「そういうわけです。だからモテラスさん……自分で責任を負いすぎないでください」

「アンタが言った通り、過去の失敗を生かして、未来を変えていけばいいのよ。アンタ自身の未来を、ね」

「みなさん……」


美姫の言葉に続くように、ミーニャが言う。


「……ありがとうございます。あなた達をこの世界に連れてきて、正解だったと思います」

「そう言ってもらえると、何だか照れるな……」


深夜は照れた様子でそう言った。


「……そろそろお別れのお時間ですね」

「え、もう?」


呟くモテラスに、綾音がそう尋ねる。

モテラスは、無言で頷いた。


「……そうだよな。俺達には帰るべき世界がある。その世界に帰らないとな」

「まだ一日しか経っていないことだし、何とか理由はつけられるだろ」

「そのことなんですけど……実は、この世界にみなさんをお連れするのに、だいぶ時間が経過していることもあって、一ヶ月は経過してるんですよね……」

「……はい?」


……一ヶ月は経過してる?

確か俺が一之瀬の家に行ったのが、6月4日の話だから……。

おいおい……俺、失踪ってことになってて、今頃警察沙汰になってるぞ!?


「ああ……どうやってフォローしようかな……」

「あはは……俺もだな」


みんな結構焦っているようだ。

……なんだかんだで本当に困るな。


「……それでは、今、あなた達を……」

「あ、ちょっと待ってくれ。帰る前に、将吾と手合わせをさせてもらいたいんだけど……」

「構いませんよ」


おし、許可もとったし。


「というわけで将吾!最初で最後の手合わせだ!」

「いいけど……手加減はしないぜ、瞬一!」


美紀に木刀を二本創ってもらい、俺と将吾はそれを手にする。

さすがに刀でやるわけにもいかないからな……怪我するといけないし。


「行くぞ、将吾!」

「こい、瞬一!!」


俺と将吾は、同時に地面を踏み、思い切り蹴る。

そして、俺は縦に振りおろし、将吾は横に刀を振った。















ここに、長かった一日(元の世界で言う一ヶ月)の記録を、終了する。
















というわけで、これにて「クロスオーバー世界の危機」編は終了です。

この話をどうしても年内に終わらせたかったが為に、こんな形となってしまいました……。

ちなみに、次回は登場人物紹介です。

あ、2009年終了記念に短編も載せるつもりです。

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