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Magicians Circle  作者: ransu521
サマラ編
146/309

浄化の光、彼の者を包み込まん

「彼の者達の命を、奈落の底へ誘え!!ダークネススピア!!」


瞬間。

多くの魔法陣が展開し、そこから黒い小さなドリルがいくつも飛び出してきた。


「散れ!!」


そのドリルは、瞬一達めがけて飛んできた。


「お前ら、一斉にここからバラバラに移動するぞ」

「……」


コクッ。

将吾の言葉に、一同が頷く。


「行くぞ……」

「「「「「「「「「「「「せ~の!!」」」」」」」」」」」」


ドリルが一か所に集中したところで、瞬一達はそれぞれバラバラに散る。

そして、


「俺達が持ってる最大の力で、アムステルダムを倒すんだ!!」

「まずは俺からだ……行くぞ、アムステルダム!!」


言いながら、将吾は己の刀を抜き、


「む……そんな刀一本で、何が出来るというのかね?」

「見せてやるよ……モテラスの力の一部を借りた俺達の、最強の力を!!」


シュン。

そんな効果音が聞こえたかと思うと、将吾はその場から消えた。


「なっ……消え去っただと!?」

「目にもとまらぬ速さで……貴様の身を八つ裂きにする!!」


将吾は、自分の中でのトップスピードで、相手の体を斬る―――!!

アムステルダムに、逃げる隙も与えない!!


「これぞ俺の奥義、雷鳴瞬光斬!!」


斬り終わりと共に、アムステルダムの体に雷撃が与えられる。


「ぐはっ!……だが、まだだ。その程度では、私は倒れぬ……」

「次は私よ……最大出力で、アムステルダム、貴方を撃つ!!」


麻美は、己の力のすべてを銃に注ぎ、それを銃弾にしてアムステルダムに撃つ!!


「が……は……」

「まだまだだ!」


苦しみだすアムステルダムに、第三陣として亮介・美姫・ミーニャの三人が駆けてきた。

三人は、アムステルダムの三方に散ると、右手で思い切りアムステルダムのことを殴った。

いままでのものとは比にならないほど、最大の力で。


「次行くぞ!……これが、俺の出せる限界だ!!」


ポケットの中から金属の棒を何本も取り出して、それを竜平はアムステルダムにすべて転移させていく。


「ぐっ……いっつ!!」

「刺しっぱなしは痛いだろうからな。抜いてやるよ」

「ぐはぁっ!」


刺された金属の棒は、しばらく刺さったままだったが、すぐさま抜かれる。

それと同時に、アムステルダムには尋常じゃないほどの痛みが襲う!!


「次よ!喰らいなさい!!」


綾音は、体術で勝負を仕掛ける。

殴り、殴り、蹴る―――!!

人間とは思えない程の速さで、どんどん相手にダメージを与えていく―――!!


「綾音、俺が続く!!」

「分かったわ!」


続いて、短刀を手にした深夜が、先ほどの将吾よりもさらに速いスピードでアムステルダムに近づき、


「俊足に、追いつけるか!!」


ズバズバズバズバ!!

高速でアムステルダムの体を斬り裂いていく。


「がはっ!」


さすがのアムステルダムも、口から血を吐いた。

容赦ない攻撃である。


「次……私が行くわ」


今までよりも数多い武器……手裏剣らしきものを創り出して、それをすべて投げた。

……それらすべては、アムステルダムの体を切り裂いた。


「ぐぉっ!」


もうアムステルダムは、ダメージを受けすぎていて、立っているのもやっとの状態のようにも見えた。

……それが演技である可能性も否定は出来なかったのだが。


「……次は俺だ。覚悟しろ、アムステルダム!」


両手を挙げて、直行は何かを呟く。

瞬間、頭上に炎の塊みたいなものが出来上がった。

ただし、その炎には何故か雷みたいなものが帯せられていた。


「……炎に、雷だと?」

「これが俺の能力だ……いくつもの能力を組み合わせて、それらを行使することで、様々な攻撃を繰り出すことが出来るんだよ!」


直行が叫んだ次の瞬間、頭上に浮かび上がっていた炎は、すべてアムステルダムめがけて飛んだ……!!


「あっつい!!」

「うわぁ……」


そのあまりの凄さに、一同も驚きの声をあげずにはいられなかった。

だからと言って、攻撃の手は緩まない。


「次は俺の番だ……!!」


瞬一は、その場に立ち、呪文を詠唱し始める。


「我に抗う者に、神より賜りし聖なる矢にて、彼の者に静かなる苦しみを与える!!」


瞬一の立っている場所には、魔法陣が現れる。

そして、次の瞬間には、そこから光が発せられて、弓と矢が共に、瞬一の前に現れた。

瞬一は、それらを握ると、弓を撃つ構えをとる。


「喰らえ……スパークロア!!」


ビュッ!

瞬一から放たれた弓矢は、アムステルダムの心臓より右側の部分を突き刺す。

そして、そこから浴びせられる、電撃。


「ぐはっ!」

「私の番ね……悪に染まりし心よ。浄化の光にてその悪を滅せよ!シャインウェーブ!!」


里美がそう詠唱した瞬間。

辺りに光の波らしきものが現れ、アムステルダムを覆う。

そして、それは段々とアムステルダムに近づいていき、


「ぐぅっ!」


最後には、アムステルダムの体を締め上げる結果となった。


「みんな、最後の締めだ……これで終わらせるぞ!!」


瞬一の言葉に頷くように、一同は一か所に集まる。

そして、自分の右手を突き出して、


「「「「「「「「「「「「覚悟しろ、アムステルダム!!」」」」」」」」」」」」


瞬間。

彼ら十二人の前に、魔法陣らしきものが出来上がる。

そこから発せられるのは、モテラスの物と同じ光だ。


「ちっ……鮮血と共に散れ、ブラッティスピア!!」

「「「「「「「「「「「「ラストストライク!!」」」」」」」」」」」」


アムステルダムが術を発動させるよりも先に、瞬一達はモテラスの力を最大限まで使い、その技を発動していた。

魔法陣から発せられる強烈な光の筋は、アムステルダムの体を確実に射抜いていた。

それはまさしく、浄化の光。

先ほどの里美の使用した魔術の光よりも、遥かにまぶしい光。

光によって、闇は打ち消される。

モテラスの力は、闇の存在を打ち消すのに十分すぎる程のものであった。


「こんな奴らに……この私が負けるとは……無念」


アムステルダムは、その光に包まれたまま、その場から存在が消え去った。

つまり、瞬一達は、この世界を救うことが出来たということだ。


「お、終わった……のか?」

「……みたいだ。アムステルダムも消え去ったみたいだし、これで、ゆっくり、休める……」


バタン。

先ほどの攻撃の影響あってか。

十二人全員が、その場に倒れこんだ。
















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