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Magicians Circle  作者: ransu521
サマラ編
144/309

決戦、開始

「はぁっ!」


モテラスは、己の力を最大限に利用して、アムステルダムの懐に飛び込む。

だが、アムステルダムも、その攻撃を安易に受ける程愚かではなかった。


「ふん!」


キュオ、という謎の音が響く。

同時に、アムステルダムの前に展開する、魔法陣。

そこから、謎の黒い線らしきものが、放出される。

だが、


「その攻撃は……効きません!」


カッ!

ネックレスから発せられる光によって、その攻撃は打ち消された。


「な、何!?」


さすがにこれには、アムステルダムも驚きを隠せない。

それは、瞬一達とて同じことだった。


「ハァッ!」


このチャンスを使い、アムステルダムは一気に畳みかかろうとする。

だが、その間にも……。


「!!モテラス、後ろだ!!」

「え?」


振りむいた時にはもう遅い。

そこには、今にもモテラスを攻撃しようとしている影の姿があった。

右手には、剣が握られている。


「ま、麻美、銃だ!!」

「う、うん!」


慌てて麻美は銃を構える。

狙うは、影の体―――!!

ダァン!

一発の銃声が、部屋に響き渡る。

そしてその銃弾は、影に命中する。

すると、跡形もなくその影は消えていった。

この短い時間の間に、アムステルダムは、モテラスと距離を取っていた。


「そろそろ時間だな……窯の中より出でよ、私のしもべ達よ!!」

「窯……!!」


深夜がそう呟いたその瞬間の話だった。

何と、窯の中から次々と影がわき出してきたのだ。

その数……今までの数とは全然格が違うものであった。


「な、何だよコイツら……今までの影は、全部ここで練成されていたってわけかよ!」

「その通りだ。そして、窯がある限り、私のしもべ達はほぼ無限に練成たんじょうすることになる……彼の者達を、討て!!」


アムステルダムがそう叫ぶと同時に、瞬一達に向かって一斉に影の軍勢が襲いかかってくる。


「ちっ!コイツら全員を相手にしなきゃなんないのかよ!」

「モテラスの援護をするぞ!影は俺達の手で何とかしろ!倒しきったら、モテラスと一緒にアムステルダムを討つんだ!!」


深夜が叫ぶ。

それに答えるように、一同は影に向かって走り出す。


「せいっ!」

「はぁっ!」

「ふんっ!」


亮介・美姫・ミーニャの三人は、己の力が武器なので、力一杯に相手を殴り、


「見切れるか!雷撃斬!」


将吾は、一風変わった剣劇で相手を翻弄する。

鞘に収まっていた刀を敵の目の前で一気に引き抜き、まるで居合いみたいな攻撃を繰り出した。


「逃さない!スプラッシュ!」


里美は魔術で生み出した水の泡を、敵の頭上で破裂させる。

その泡は、影を包みこみ、やがて影は消え去った。


「ちょこまかとうぜぇんだよ!!」


直行は、四方から殴りかかってくる敵にウザさを感じつつ。

自分の周囲に、水の壁を発動させる。

しかも、その壁を殴った影は、何故か感電して消え去っていった。


「……複数の能力を組み合わせて使用する……あれが、複数回路プライラルサーキット


竜平はそんなことを呟いていた。


「ちょっと竜平、前、前!」

「ん?おっと!」


綾音の叫び声を聞いた竜平は。

攻撃してきた影を軽く避けて、


「コイツをお見舞いしてやるよ!」


右手をポケットの中に突っ込んで、何かを取り出す。

それは鉄の棒であり、次の瞬間。

その鉄の棒は竜平の手の中からすっかり消え去り、


「……!!」


一体の影の中に打ち込まれ、その影は消え去る。


「それもう一丁!」


影が消えたことで、重力に逆らうことなく落ちていく鉄の棒を、もう一度竜平は別の影に打ち込む。

ただし、今回は鉄の棒に手を触れずに、だ。


「……創造イメージ開始アウト


そう言って美紀が創造したのは、短刀と銃だった。


「サンキュ!」


ダッ!

深夜は人間とは思えないスピードで部屋の中を駆け回る。

そして、影の体を次々と斬り裂いていく。

スピードが加わったその攻撃は、いとも簡単に影を斬り裂いていた。


「そこっ!」

「……!!」


美紀は、自分で創造した銃を。

麻美は、自らの武器である銃を使用し、相手の体を撃ち抜いていく。

時折迫る影の攻撃を体をひねらせて避け、そしてその影に銃弾を撃ち込む。


「聖なる雷よ。我の両手にその力の一部を宿せ!!」


そして瞬一は、両手に雷撃を帯びせ、それを影に向かって放出していく。

それは影を打ち消すと同時に、後ろに貫通していく。

縦に攻撃することで、およそ4体は一気に倒した計算となる。


「ちっ……数が多いな!」

「そんな攻撃で、私のしもべ達をすべて消せると思う出ないぞ!……ほっ」


愉快そうに笑うアムステルダムに、モテラスは攻撃を仕掛けたのだが、それはいとも簡単に避けられてしまった。


「……みなさん、窯です!窯を壊してください!!」

「窯……」


モテラスの叫び声を聞いた一同は、一斉に窯を見る。

そう言えば、と一同は頭の中で考える。

そして……気付いたのだ!!


「そうか!影があそこから出ているということは、窯本体を壊せば出なくなる!!」

「……麻美、あれを銃で撃て!!」

「分かった!」

『マミ、あれを撃ち抜くには少しばかり力を加える必要があるぞ』

「大丈夫……力はまだ残るから、多分」


ガンダーラの言葉を受けて、麻美はそう言葉を返す。

そして、


「壊れて……しまえ!!」



ダァン!

麻美の中で恐らくは一番強力な一撃が、銃より撃たれた。

















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