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Magicians Circle  作者: ransu521
サマラ編
143/309

秘めるのは固い決意

数多ある世界の終焉リセット

それってつまり、全世界を崩壊させるって意味じゃねぇのか!?


「そんなことさせてたまるかよ……俺達の手で、お前の野望を何としても打ち砕いてみせる!!」

「おや……貴様らが倒すべき相手は私ではないぞ?」

「……え?」


倒すべき相手が、アムステルダムではない?

何をふざけたこと言ってるんだ?

コイツは、この世界を破滅させようとしている張本人であり、元凶で……いや、違う。

元凶は、コイツ以外の誰かだと、アムステルダムは言った。

なら、それは誰なのか?


「……街でお前は聞いたらしいな。この城のあの城は、元々建てられたものじゃないと」

「……ああ。それは間違いないな」


けど、それをアムステルダムは、何故知ってる?


「ナイトは、俺がこの世界に呼んだのだからな。当然と言えば当然だろうな」

「な、何!?」


ナイトが、アムステルダムに連れてこられた存在だったのか!?

……ならナイトは、こんなやつを尊敬しているというのか?

……そう言えば、ナイトは『この世界の誰かに』って言ってたな。

ということは……アムステルダムのことを知らなかった?


「ところが、私が姿を現さなかったのも原因となってか、私の作戦を自然と妨害するようになった」

「……妨害?」

「私が作り出した影達を、次々に壊し始めたのだ」


……そう言えば言っていた。

街の人達を襲う影を倒すのが、今の仕事だと。


「私の計画の一部としてナイトをこの世界に呼んだというのに……やつは使い物にならなくなったから、そのまま放置することになった。力は強かったというのに、もったいないことをしたと思う」

「……」


他の人達は、さっきから何を言ってるんだって顔をしてる。

それもそうだろう……ナイトの存在を知っているのは、俺だけなのだから。


「だが、計画の上では邪魔だった。だから結果的には、捨てたのは正解だったようだな」

「……」


黙ってるしかなかった。

これ以上、俺からは何も言えなかった。

コイツの配下にいるよりは、今のないとの方が幸せだと思ったからだ。


「それで、元凶がお前じゃないというのはどういう意味なんだ?」

「まだ分からぬか?もとよりなかった城が、二つも出来たと聞いたのだろう?」

「……ああ」

「つまりは……そこにいるモテラスもまた、私の計画の参加者……いや、この計画の提唱者は、モテラス本人なのだよ」

「「「「「「「「「「「なっ……!!」」」」」」」」」」」」


俺達全員の声が重なる。

それだけ、衝撃が大きかったのだ。

モテラスが……この事件の首謀者だと!?


「……」


当の本人であるモテラスは、黙ったままだ。


「……本当なのか?モテラス」


将吾が尋ねる。

すると、モテラスは、黙って首を縦に頷かせた。


「そんな……」

「モテラスが、この事件の首謀者……」


里美と麻美が、ショックを受けたような声色で、そう呟く。

……マジかよ。

こんな近くに、居たとは……。

……いや、コイツが敵だとは正直考えにくい。


「確かに、この計画自体を考えたのは僕です。でも、途中で気付きました!こんなことは間違っている……こんなやり方で世界を滅ぼしたって、結局はまたもとの道をたどってしまうだけだと!だから僕は抜けて、お前を止めることにしたのです、アムステルダム!!」

「……よかろう。ならば、私が相手になってしんぜよう」

「モテラス……」


決意を秘めた瞳をしていた。

それだけ、モテラスの決意は、固かった。

……計画を立てたのは、モテラスだったのは事実だったけど。

その途中で、モテラスは間違いに気付いた。

ならば、モテラスは敵じゃない。


「みなさんは下がっていてください……まずは僕が、アムステルダムと戦います」

「……」


一同は、反論しない。

もちろん、俺もだ。

しないのではなく……『出来ない』のだがな。


「……行きますよ!!」


モテラスは、右足で思い切り地面を蹴り、アムステルダムめがけて駆けて行った。
















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