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Magicians Circle  作者: ransu521
サマラ編
140/309

ちょっ……俺にそんな趣味はないから!

「ハァハァ……」

「ぜぇぜぇ……」


つ、疲れた……。

あれだけの敵を相手にしたんだ。

これじゃあ最終決戦迎える前に、俺達の体力が尽きてしまいそうだな。


「みんな、大丈夫?」


こんな状態でも、里美はみんなの心配をする。


「ああ……大丈夫だ」

「俺も無事だ」

「こんなの、準備運動にしかならねぇよ」


……直行。

お前、その体力をみんなに分けてやれよ。

ていうか、俺に分けてくれ。


「……さて、どんどん上に行くか」

「だな。早く先に進まないと、時間がなくなるからな」


しかし、影のほとんどが俺達の中の誰かしらの能力を模倣しているのは、どうしてだろうか?

……もしかしたら敵は、俺達がこの世界に来ていることを知っている?


「……情報が漏れているとは考えにくい。なら、相手は何かしらの方法で、俺達のことを監視してる?」

「おい、どうしたんだよ瞬一?」


そこに、不審に思ったらしい将吾が俺に尋ねてきた。


「ああ……妙だとは思わないか?」

「何がだ?」

「戦ってて感じなかったか……あの影、直行や俺、将吾に麻美。その他の人々の戦い方を模倣してるやつも混ざってたぞ」

「……私も薄々は感づいてた」


麻美も同じことを考えていたらしい。

けど、アムステルダムは、俺達がこの城に来ていることを知っているのだろうか……いや、考えるだけ愚問だろう。

何せ、分かってなければ、こんな敵出してこないもんな。


「……次はこの扉か」

「……RPGの世界に迷い込んだ感じだね」

「俺はリアルでRPGの世界から来たんだが……」

「……そう言えばそうだったっけか」


聞いた話によると、将吾はとあるRPGの世界に飛ばされているらしい。

それでこっちに飛ばされたんだから……踏んだり蹴ったりだな、本当に。


「何が起きるか分からないからな。気を付けなければならないな」


……なんとなく開けるのに戸惑いを感じるのは気のせいだろうか。


「……嫌な予感がする。なんというか、中に入ったら、また戦闘は避けられないような、そんな感じが」

「なら、それはアムステルダムがそこにいるというわけじゃないか?」


将吾がそんなことを言う。

……いや、そんな感覚じゃない。

もっと、何か別の脅威だ。

何となく……人じゃないものと対峙するような……。

例えるなら、魔物と対峙するような感覚だ。


「……行こう」


直行は、問答無用にその扉を開いた。

中は……暗いな。

明かりが欲しい。

この暗闇じゃあ、中がよく見えない。


「……気を付けろよ。何が起こるか分からないからな」

「……」


無言で頷く三人。

慎重に、だが素早く中に入る。

やがて、全員が部屋の中央部まで入った。

その時だった。


「……!?」


ゾクッ!

殺気が感じられる。

ただの殺気じゃない……狂気が入り交じった殺気だ―――!

それだけじゃない。

突如部屋の明かりが、すべてつけられた!


「うわっ!?」

「眩しい!!」


ちょ……目が痛いんですけど!?

こんな状態で攻撃なんて受けたら……!!


「!危ない!!」

「え?……うおっ!?」


将吾が俺に向かってそう叫ぶ声が聞こえる。

同時に、俺に迫ってくる、触手みたいのが見えた!!


「危ない危ない……からみつかれるところだったぜ」

「この触手……まさか!」

「麻美?」


麻美が触手に対して過剰に反応を示す。

……何か、因縁深いものでもあるのか?


「いやぁ、俺様の触手よけるたぁ、結構いい運動神経してんじゃん?ヒャハハハハ!!」


現れてきたのは、狂気に包まれた何者か。

コイツは……。


「こんな世界にまで現れてきたというの……『崩落の翡翠』ワス!!」
















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