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Magicians Circle  作者: ransu521
サマラ編
138/309

地面からの来訪者

Side亮介


自分で組み立てたパーティーとは言え、今気付いたことがあるんだが……。

このパーティー、三人も女子がいるんだよなぁ。

せめて直行と里美を入れ替えることくらいはした方がよかったかもなぁ。

……最も、オレも美姫もミーニャも、前衛として戦うのが主だからな。

術技でアシストしてくれる存在が必要だったのもまた事実。

そこで、魔術が使えるという里美を選んだわけだが……何故か美姫とミーニャから、嫉妬のまなざしが飛んでくるというわけだ。

……誰か助けてくれ、これじゃあ裏口捜索に集中出来ねぇっての。


「ありませんね、裏口」

「ああ……そうだな」


モテラスがいるおかげで、何とかその衝突も避けられているが。

……もしコイツがいなくなったらというのを考えると……恐ろしくて考えることも出来ない。


「おかしいな~どこかに裏口みたいな所があってもいいはずなんだけどなぁ」


里美がキョロキョロと辺りを見回しながら、そう呟くのが聞こえる。

……まぁ、城だからと言って裏口があるという安易な考えも、この世界では通用しないのかもな(てか、城って裏口があるものなのかもわからないのだが)。


「う~ん……あっ!あそこに扉みたいなのがありますよ?」

「え?……本当ね」


美姫が、扉らしき何かを見つけた。

……こんな所に取っ手があるなんて、正直マジで分からなかった。


「お前、よくこんな場所見つけられたな……」

「偶然ですよ」

「偶然の力って、恐ろしいですね……」


モテラス、それは俺も同感だ。


「んじゃ……中に入るぞ」


俺が扉の取ってに触れつつ、みんなに確認を取る。

首を縦に頷かせたので、俺はそれを肯定の意と認めた。

ガチャッという音と共に、扉が開かれる。

そして、なるべく静かに、なおかつ早めに俺達五人は中に入った。

それとまさしく同タイミングのことだった。


「!!」

「うわっと!」


突如俺に向かって襲いかかってきた、一体の影。

……この一体だけじゃない。

ここには、たくさんの影が居やがる―――!!


「裏口から入ってこれだ。正面から入るともっと多いんじゃないか!」

「分からないわ!けど……ここはやるしかないわよ!」


ミーニャの言うとおりだ。

ここは……やるしかない!!


「みんな、戦闘準備だ!……行くぞ!」

「モテラスさんは、ここで待機を」

「……分かりました」


よしっ……この世界に来ても、あの力が残っているのだとしたら。


「……美姫、お前の力、少し貸してもらうぞ!!」

「はい!」


集中する。

目の前の敵が近づいてこようと、関係ない。

なぜなら―――。


「遅いんだよ!!」


ドゴッ!

影に強烈な蹴りを喰らわせる。

……今、俺達の目の前にいる影達の動きが、随分と遅く感じられる。

それは間違いなく、美姫の力を引き出せていることにも繋がった。


「奏でるは安らかなる眠りへ誘う子守唄……スリープソング!」


里美が杖を使い、魔術を発動する。

それは、敵の何体かが集結している地面に魔法陣を作り、そこにいた敵すべてを眠らせた。

……これが、魔術か。


「アンタ達なんかに負ける程、吸血鬼ヴァンパイアは弱くないのよ!!」


ミーニャは、その鋭い爪を利用して、敵をどんどん切り裂いていく。

やられた敵は、どんどん塵となって消えていく。


「倒れてください!」


美姫の攻撃も、無駄がなく、なおかつ力ある一撃だった。

このままなら、制圧も時間の問題だろう。


抗う血(レジストブラッド)の力、嘗めんじゃねぇぞ!!」


俺も、周囲に集まっている敵を一気に倒す。

蹴る、殴る、叩く、投げる―――!!

やがてその影の数も、残りあとわずかと迫ってきたところで、


「……よしっ!コイツらを倒したら、さっさと上に行くぞ!!」


そろそろ頃合いだ。

ボサッと突っ立っていると、また地面から影がわき出てきそうだからな。


「なら……先に上へ!私が一気に残りの影を倒すから、その隙に上へ!」

「あ、ああ!」


階段へと急ぐ俺達。

里美も、階段ギリギリの所まで走る。

やがて、第一段目を登ったところで、里美は足をとめた。

そして、杖を構え……。


「世を束ねし五つの元素よ。我の名に答え、その力を具現せよ!!」


瞬間。

一階部分に、魔法陣が五つ出来あがっていた。

しかも、その一つ一つの魔法陣は、それぞれ色が異なっている。

赤・青・黄色・緑・茶色。

それをこの世を束ねる五つの元素で答えるのなら、火・水・雷・風・土。

……それらの魔法陣は、やがて互いに繋がりあい、ついにはそこに、巨大な星が生まれる。


「……エレメンタルブラスト!!」


里美がその術の名前を告げた瞬間。

それらの魔法陣は、一気に中央に集まり、そして。

バァン!!

鼓膜が破れるのではないかと思われるほど巨大な音が、辺りに響き渡る。

それと同時に、煙がわき出てきて、前が見えなくなっていた。


「……先を急ごう!」

「……ああ、モテラス、行くぞ!」

「はい!!」


敵は倒したらしいな。

とにかく、今は上へ……アムステルダムが居る所へ―――!!
















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