さて、どこから入る?
「……まさか本当にあるとはな」
「ああ……」
亮介の呟きに対して、将吾が思わず呟く。
……確かに、本当にあるとは思っていなかったな。
ナイト、お前の情報は確かにすげぇよ。
「……なら、早速中に入ろう」
「けど、さすがに真正面から入るのは無理だろうな。鍵がかかってる可能性が高い」
直行の言うとおりだ。
鍵がかかっていて、当然正面から入ることは出来ないだろう。
「なら、裏口……もしくは窓から侵入ね」
ミーニャがそう提案する。
「なるほど……確かにその方が確実だな」
「それなら俺も賛成だ」
……深夜に将吾さぁ。
賛成するのはその人の勝手だけどよ、さすがに窓から侵入って……どう考えても、三階部分にあるぞ?
「よし。正面突破が瞬一と麻美と将吾と直行の四人メンバーで、里美・俺・美姫・モテラス・ミーニャの五人が裏口捜索。綾音・竜平・深夜・美紀の四人がどこかしらの窓から侵入ってことでいいか?」
「……異議なし」
亮介の言葉に、美紀がそう反応する。
もちろん俺含め、他の人達も、一応異議はなさそうだ。
「それじゃあ、早速行動開始といこうや」
「……まぁ、お手柔らかに頼みますよ」
モテラスがそんな反応をする。
……いやいや、今はそんな反応を返す時ではないだろうに。
とりあえず亮介が振り分けた通りに、俺達は散らばる。
そして、正面玄関に取り残された俺達四人は、
「……んじゃ、こっから入るか」
将吾がそう呟く。
まぁ、そうする以外に、俺達が選択できる場所はないからな。
「……わざわざ鍵がかかってる所から入るとはな」
「まだ鍵がかかってるって決まったわけじゃないよ」
麻美の言うとおりだけど、俺は直行の意見に賛成だな。
敵もそこまで馬鹿じゃないはずだから、いくらなんでも、正面玄関を開けっぱなしにするなんてヘマは
……。
「よっと」
ギィイイイイイイ。
重い音がして、その扉は意図も簡単に開いた。
「「……ああ!?」」
思わず、俺と直行は声を揃えて驚いてしまう。
なんてこった、正面玄関から入れるとか、この城ガード甘すぎじゃね!?
「……気をつけろ。こういう時は、決まって罠がある場合が高いからな」
「……そうだ、その可能性を忘れていた」
中に入れたから、第一段階はクリアだな。
次は、中に仕掛けられた罠を、どう切り抜けるか、だ。
「……さて、みんな。中に入るぞ」
「……ああ」
中に入るまでに、緊張の空気が流れる。
いつ敵に襲われるかわからないという不安がちらつく中、俺達は中に入った。
「……まだ何も現れてこないな」
「まぁ……いつ現れるかわからないからな。気をつけろよ」
「分かってるよ。けど……少し不安かも」
「……実は俺もだ」
麻美も同じ意見を持っていたようだ。
いやぁ、よかったよかった……。
「……来るぞ!」
「……え?」
将吾、何かを感じたのか?
……俺にはぜんぜんわけ分からないけど。
他の二人も、不思議そうな顔をしている。
本当は何も来ないんじゃ……。
「んなっ!?」
だが、将吾の予想通り、敵は現れた。
地面という地面から、影が何体か現れてくる。
その姿は……まさしく人。
人数でいえば、恐らく十体は軽くいるだろう。
「……こうなったら、やるしかない!!」
「みんな、行くよ!!」
現れてしまったからには、撃退するしかない。
俺達四人は、この影を追い払う為に、戦闘する羽目となったのだった。




