いざ出陣!!
「みんな、いるか!!」
バン!と扉を開いた所、何か人が倍に増えてないか?
「ああ……瞬一が帰ってくるちょっと前に、人が増えたんだよ」
「そうだったのか……」
さて、ここで増えた人達に自己紹介をしてもらうか。
「それじゃあ、これで十二人全員が揃ったわけですが、それでは十二人全員の自己紹介と行きましょう」
指揮を執るのは、俺達をここに呼び寄せたモテラスだ。
まずは俺からか。
「まずは俺からだ。俺は三矢谷瞬一、よろしくな」
簡単にそれだけを述べる。
その次に、将吾・麻美・亮介・ミーニャ・里美という順番で自己紹介をしていく。
そして、ここからがいよいよ新たなる人達というわけだ。
「私の名前は三島美姫。亮介君とは同じ世界からやってきました」
黒い髪が肩の部分までかかっていて、瞳がぱっちりとした少女が、そう言った。
……亮介と同じ世界の人物か。
ということは、
「もしやお前も吸血鬼?」
「はい、そうですけど?」
「こんな可愛いヴァンパイアもいるんだな……」
「……将吾?」
「そんなに睨むな、里美」
何か傍らで夫婦漫才(?)をやっている将吾と里美は放っておいて。
お次は、
「卯木神深夜だ。それでこっちが……」
「滝川美紀。よろしく」
目付きが若干悪い少年に、表情が分からない、茶色でロングヘアーの少女。
……ある意味で異色の二人だな、この二人が同じ世界から来たとはあまり信じられないな。
「……相原直行だ」
そしてこちらは、もっと機嫌が悪い様子だ。
細くて鋭い、黒い瞳。
髪の毛は右目にかかるかかからないかくらいの長さだ。
「俺は打島竜平。こっちの小さいのが……ウゴッ!」
ドスッという鈍い音がすると同時に、竜平と名乗った少年はその場に踞る。
「小さいって何よ!……私は塚本綾音。これでも竜平と同い年よ」
「「「「「「「「「(本当かな……)」」」」」」」」」
九人の心が一致した瞬間であった。
……あれ、なんで俺が他の奴らの心の中まで見えるんだ?
「さて、みんなの自己紹介が終わったところで……それでは瞬一さん、みんなにお話を」
「あ、ああ……」
まさかこんな大人数に話す羽目になるとはな。
まぁ……何回も話す必要がなくなるから、いいか。
「んじゃあ簡潔に話すな。アムステルダムの城は……あっちの方角にあるみたいだ」
部屋の窓より、先ほどナイトから聞いた場所を指差す。
……相変わらず城らしきものは見当たらないが、それは遠くにあるからなのだろう。
「あそこに……敵の城が?」
「どんだけ見ても、見えないんだけど」
まぁ、みんながいぶかしげな眼で見るのも仕方ない。
俺だって城が見えないんだからな。
「一応、信用出来る筋からの情報なんだけど……この際だから、賭けに出るしかないと思うんだ。いつまでもボサッとしてると、この世界に永住する羽目になるかもしれないし」
「そ、それだけは勘弁だね……」
麻美が困ったような表情でそう言った。
「んじゃ決定でいいな?」
さっさと話を進めてしまった竜平。
「ちょ、ちょっと!勝手に話進めちゃっていいの!?」
「大丈夫だよ。心配すんなって」
……あの、その怪しい笑顔のどこを信じろって?
「んじゃ、行くか」
深夜の呟きによって、俺達十二人は大移動をすることになった。
……いや、モテラスも含め、十三人か。




