そして行動開始
一人目は、金色長髪で、瞳の色が赤の……美人だなぁって感じの少女。
二人目は、地毛だろうと思われる茶髪に、惹き付けられるような黒い瞳。
そして三人目は、ピンク色で、肩より少し下まで伸びた髪の毛と、黒い瞳が特徴の、どうやら将吾を知っているらしい少女だった。
手に持っている杖は……一体なんなのだろうか。
「里美……どうしてここへ?」
どうやらその少女の名前は里美と言うらしい。
「なんというか……こっちに引きずり込まれたのよ」
「ああ……俺もだ」
「……えっと、とりあえず自己紹介して欲しいかな」
麻美が困惑しているようで、三人にそう要求してきた。
先に里美が前に出る。
「私の名前は柴倉里美。将吾とは同じ世界で頑張ってるわ」
「へぇ~……彼女か?」
「違う」
「……嘘でも言ってくれたっていいじゃん」
どうやら里美の一方通行らしいな。
さてお次は……。
「オレは夏目亮介。こっちが……」
「ミーニャ・クロイツェフ。こう見えても吸血鬼なのよ」
「……ヴァンパイア?」
それって、よくゲームとかで登場する、人の血を吸うとかの、あれか?
「まぁ……どんな認識をしているのかは知らないけど、大体そんな感じで合ってると思うわ」
「おお……カッケェ」
「「え?」」
俺がそんな反応をとったら、物凄くキョトンとした表情で俺のことを見てきた。
……俺、なんか変なこと言ったか?
「あ、いや……別に変なことは言ってないんだが」
「そんな反応をされたのは、アンタが初めてだったから」
「そうか?なんかよ、ヴァンパイアって強そうじゃん?カッコイイじゃん?」
まぁ、多少俺の固定概念が混ざってるかもしれないけど、けどヴァンパイアと言われたら、強いというイメージがちょうどいいかもしれないな。
「……そっか。世界を跨ぐと、こんなこともあるのね」
「まぁ……その中でも異質な方にはあるけどな」
「俺……そんなに変か?」
「「「「「変だな」」」」」
……満場一致かよ!
「流石にそこまで意見が一致するとは思ってなかったぜ……」
「異質なのはいいことだぜ?地味で存在が消されるよりはよ」
「それはリアルで嫌だな……」
地味になるのだけは嫌だな。
かといって、目立ちすぎるのも好みじゃねえんだよな……。
「ま、話を元に戻そう。それでお前達の名前は?」
亮介からそう言葉を返される。
とりあえず俺達三人は、自分の名前を名乗った。
「んで一つ聞いてもいいか?」
「ん、俺が?」
亮介が、将吾に対して質問があるらしい。
「あと、柴倉も」
「え?私も?」
さっきのやり取りを聞いた以上、二人に質問がくるのは仕方ないことだろう。
「お前達二人は、知り合いなのか?もしくは俺とミーニャのように、同じ世界から来た人間とかか?」
「「そうだな(よ)」」
二人が声を揃えて答えた。
「……そんなこともあり得るのか?モテラス」
二人の解答を聞いた上で、俺はモテラスに尋ねた。
すると、
「そうですね。同じ世界から連れて来た人も何人かはいますよ。ここにいる亮介さんとミーニャさん、将吾さんと里美さんがその例です」
成る程……。
「さて、ここにいる人の数がモテラス含めて七人になった」
そう言ったのは、将吾だ。
無意味に両手を上げている。
……首相にでもなったつもりか。
「さっきのモテラスの話だと、敵の居場所は分からないって話だったよね?」
「なら、まず俺達がやるべきことは、敵地捜索だよな?」
麻美の言葉に続くように、俺は言葉を続ける。
「だな。とりあえずモテラスはここにいてもらうとして、オレ達六人は散らばって敵地を探すとしようぜ」
「でも、連絡方法は?」
「それならこれを」
ミーニャの言葉に答えるように、モテラスが何かを出してきた。
それは、耳に当てるような、まるで耳栓のようなものであった。
「これを付けていれば、付けた人同士で会話することが出来ます」
「……相手の指定方法は?」
「念じればなんとかなります」
里美の質問に、モテラスはそう答える。
しかし、念じればって……えらく適当だな、おい。
「とりあえず、行動開始だ!」
将吾の言葉が部屋中に響き渡ったところで、俺達は行動を開始した。




