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Magicians Circle  作者: ransu521
悪魔憑き編
115/309

そして彼らを見つけた

「く、暗い……」


中に入ると、広がるのは闇の空間。

俺達の視界には、何も映ってこなかった。

だが、それも目の働きによって、徐々に視界がはっきりしていく。

そして最初に見えたのは、部屋一面に描かれた魔法陣だった。


「魔法陣?」

「これは……闇魔術習得の術式……まさか」

「そう。こここそが、お前らが望んでいた部屋だ」

「!だ、誰!?」


何者かが、闇の空間から声を発する。

まだ、その人物の姿を捉えることが出来ない。


「どこだ……どこにいる?」

「そうか。この闇の空間じゃ、見つけることも難しいな。なら、こうして明かりをつけてやれば」


何者かの声が響き渡るとともに、ポワッと部屋が明るくなる。

電気もなしに、自らの魔術のみで部屋を明るくしたのだろう。

……そして、俺達の目に映った光景は。


「い、一之瀬!!」

「春香!?」


俺と葵が、ほぼ同時に叫ぶ。

そこには、魔法陣の上に立った、苦しそうにもがいている一之瀬の姿があった。

体の周囲には、何やら黒いオーラらしきものも見え隠れしている。

……あの時と同じだ。

メルゼフの時も、体の周囲に、黒いオーラみたいなのが見えていた。


「お前……一之瀬に何をした?」

「それに、お前誰だ?」


俺は背が高い男にそう尋ねる。

晴信は、その男に名前を求めた。

……聞かなくても分かる。

コイツの名前は……。


「一之瀬辰則。春香の兄だ」

「そ、そんな……」

「う、噂と全然違う……」


葵は驚き、北条は自分が聞いたのと全然違うことに愕然としていた。

……確かに、コイツはまぎれもなく『一之瀬辰則』だ。

だが、一之瀬の兄からも、黒いオーラみたいのが見えている。

……正気ではない、一之瀬の兄の意思でこんなことをしているとは、到底思えない。


「違う。コイツは一之瀬の兄であって、一之瀬の兄じゃない」

「……え?」

「どこからどう見ても、一之瀬さんの兄じゃないの」

「そういうことじゃないよ」


俺の言葉がまるっきり分かっていない様子の北条と晴信に、大和がそう言ってから、説明した。


「春香の兄は今、悪魔にとり憑かれていて、正気ではないってこと」

「ほう……俺のことを『悪魔』だと認識したか。まぁ、それが正しい答えなんだけどな」

「一之瀬の兄をどこにやった?」

「この体の『深層世界』にいるさ。今は眠っていてもらってるんだ。目的を達成するまではな」

「目的?」


悪魔から発せられた、『目的』という言葉。

状況を見る限り、この悪魔の目的は、一之瀬に闇魔術習得の儀式を完了させること。

……そんなことさせるかよ。


「本当ならその目的を教えてやってもいい所だが……残念ながらお前らはここで死ぬ」

「どう死ぬって言うんだよ?」


売り言葉に買い言葉。

そんな感じで、俺は悪魔に尋ねた。


「俺達にこの場で殺されるってことだよ、お前らは」

「俺……達……だと?」

「そうだ。春香の術式も、いずれ完了する。後は俺が春香の体に入って、その体を蝕めば終わりだ」

「!!」


体を、蝕むだと?


「細かいことは気にするな。言ったろ?お前らは、ここで死ぬと!!」


ダン!という足音と共に、悪魔は勢いよくこっちに近づいてきた。


「大和!この悪魔との対決は俺がやる!大和は葵達と一緒に、一之瀬を助けてやってくれ!」

「「「「分かった!!!!」」」」


この状況下で、葵達にも戦わせるのはなんだか納得がいかないが、この際は仕方がない。

全員でまとまって挑まないと、負けてしまいそうな気がするからな……!!


「……あん?」


その時、こっちに向かって来ていた悪魔は、突然足を止めた。

……どうして俺達の前に突っ立っている?


「……不愉快だ」

「は?」


この場において、およそまったく必要のない言葉を、一之瀬の兄は言った。

……何が不愉快なんだ?


「その器は、俺達とは相反する器。この世に闇があると同時に、その闇を消し去る、浄化の光の持ち主」

「……何を言ってるんだ?」


分からない。

悪魔が呟いていることが、全然分からない。

その言葉が、誰に対して発せられているのかも、不明だ。


「……覚醒はしていないから、殺るなら今の内か。なら……まずはお前からだ、『光の器(てんし)』の素質を持つ女ぁあああああああああああああ!!!!」


悪魔の右手に、巨大な黒い塊が出来上がり、それを投げつけてくる。

その標的となったのは……。
















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