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Magicians Circle  作者: ransu521
悪魔憑き編
114/309

隠し部屋

奥に来てみたはいいが……。


「ここ、行き止まりだよな?」

「部屋なんてありそうにもないよね」


俺達が来たその場所は、紛れもなく行き止まりだった。

横には幾つか部屋が設けられていたが、どうやら物置となっているようだ。


「……外れたのかな?」

「……いや、多分ここは当たりだよ」

「え?」


葵の呟きに答えるように、大和は言う。

……何を根拠に、そんな返答をしたんだ?


「晴信、壁を叩いてみてくれないかな」

「え?あ、おう……」


およそ自分に当てられるとは考えていなかったのだろう。

晴信は、結構な驚きを見せていた。


「ここでいいのか?」

「うん。まずはそこを叩いてみてくれ」


言われた通り、晴信は壁の右部分を叩く。

ドンドン。

そんな音が響いた。


「……今度は左だ」

「あいよ」


今度は躊躇いもなく、壁の左部分を叩く。

ドンドン。

やはりそんな音が響いた。


「それじゃあ……次は真ん中だ」

「もうここまできたら何もないんじゃないか?……まぁ、叩くけどよ」


何も起きやしない。

顔にそんな考えが滲み出ているようにも見えるが、とにかく晴信は言われたところを叩く。

すると……。










コンコン。










「……あれ?」

「今、違う音がしたような気がしたんだけど、気のせいかな?」


気のせいなんかじゃない。

確かに、他の部分と違って、軽い音が聞こえた。

って、それこそが隠し扉のヒントなんじゃないか?


「……晴信、大和、準備はいいか?」

「……この壁を蹴り飛ばすんだね」

「何だか知らないが、協力はするぜ」


大和と晴信さえいればなんとかなるだろう。

それとも、俺一人でもなんとかなるか?


「お前らは危ないから、離れて様子を見てろ」

「う、うん……」

「分かったわ」


葵と北条の二人を安全地帯まで避難させて、俺達三人は定位置につく。


「右を晴信、真ん中が俺で、大和は左な」

「ああ」

「分かった」

こうして、壁の前に立ち、蹴る体勢に入る。

……この壁さえぶち壊せば、ひょっとしたら何かが分かるかもしれない。

一之瀬本人がいる可能性だってゼロではない。


「んじゃ……行くぞ」


俺の言葉に合わせるように、足を壁に向ける。

……やるぞ。


「「「せ~の!!!」」」


ドゴン!

蹴った場所が、思い切り音をたててガラガラと崩れ去る。

そして……。


「……おお」


そこには、短い通路があった。

どこかの部屋に繋がるらしい扉が、その先にあった。


「ほぉ……あれが、隠し部屋への入り口か」

「壁壊しちゃったこど、大丈夫なの?」

「……謝ってなんとかなるかね」

「無理だろうね、多分」


悪いな、一之瀬……。

今思えば、俺達がしたこって……。


「建造物破損、だね」

「……あ~聞こえない聞こえない」

「現実逃避しても無駄よ……」


北条に言われなくても分かっとる!

けど、少しくらい逃げたっていいじゃねえか。


「……間違いない。ここに、二人はいる」


大和のその言葉で、俺達の間に流れていた空気は、一気に止まったような感覚がした。


「……あれだけ探してもいなかった。それに、こんなところに隠し部屋があるなんて、どう考えてもおかしい。というか、不自然すぎる」


大和の言う通りだ。

ごく普通の一軒家に、隠し部屋なんて作るのは、明らかに異常だ。

意図的に作られたもの以外の何者でもない。


「……この扉を開けたら、そこに一之瀬が」

「恐らく、悪魔にとり憑かれた、春香の兄さんも一緒にね」


……緊張感に襲われる。

この先に行ったら、もう戻ってこれないような錯覚すら感じる。

けど、仲間が……大切な友達が、事件に巻き込まれているかもしれないんだ。

放っておけるかよ。


「みんな……覚悟はいいか?」


俺の質問に、一同は黙って首を縦に頷かせる。

……よし、行くか。

ドアノブに手を触れて……。

バン!と一気に扉を開いた。











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