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Magicians Circle  作者: ransu521
悪魔憑き編
110/309

狭い空間での戦闘

敵は、剣で瞬一達の体を斬り裂こうと襲いかかってくる。

瞬一は、


「ハァッ!」


襲いかかってきた一体を、刀で斬る。

すると、黒い何かが分散して、それは消えていった。


「遅い!!」


大和はその間に、二体の敵を倒していた。

だが、そんな大和の背後を取るように、


「大和、後ろだ!!」

「!!」


前にも敵が一体、後ろにも敵が一体。

大和はいつの間にか、敵に挟まれていた。

このままでは、大和はやられてしまう。


「おっと!俺のことを忘れてもらっちゃ困るなテメェら!!」


ドン!

晴信の手元から鳴り響く銃声。

その弾は炎を帯びていたらしく、大和の背後を取っていた敵を燃やしつくす。

間もなく敵は、その場で消滅していた。


「ありがとう、晴信」

「礼なら敵を倒してからにしな。当分コイツらはやられてくれそうにないからよ」


瞬一と大和、それに晴信が倒した敵の数は、合計四体。

すなわち、後六体は残っているということだ。

大和の前にいた敵を倒すことも出来たのだが、大和が背後に気を取られている内に、安全地帯まで避難していた。


「……一気に片づけたいところだけど、ここ家の中だしな……」


仮にもここは春香の家の玄関だ。

魔術で敵を倒すことが出来るとはいえ、他人の家に損傷を与えるわけにもいかない。

そういう意味でも、彼らにとってやりにくい戦闘でもあった。

簡単な魔術なら使えるかもしれないが、それではこの敵を倒すことが出来ないかもしれない。

なので、剣や刀、銃などの武器を使用して敵を倒す方が、遥かに楽なのであった。


「第二陣ってか!!」


しばらくの休戦時間が過ぎて、敵が再び襲いかかってくる。


「そらよ!」


瞬一は、縦に刀を振り、一体の敵を倒そうとする。

しかし。

ガキン!という衝突音が鳴り響く。


「ちっ!」


瞬一の刀は、敵に受け止められたのだ。

力負けしまいと、瞬一は刀を持つ手に力を込める。

だが。


「うわっ!」


一瞬の気の緩みが生んだ隙によって、瞬一は刀を落としてしまった。

刀を拾う時間は……なかった。

否、ないことはなかったのだが、今この瞬間に刀を拾うとなると、相手の攻撃を受ける危険性がかなり高くなる。

それは、紛れもない事実であった。


「くそっ!」


だから瞬一は、刀を拾うことを諦めて、バックステップで後ろに下がってから、


「力を宿す雷の剣よ。その姿を具現して我が武器となせ」


改めて刀を作った。


「瞬一、大丈夫かい?」

「あ、ああ……大丈夫だ」


大和が剣を構えつつも、瞬一の心配をする。

その間に、


「たぁっ!」


ダン!

晴信が、自らに近づいてきた敵を一体、銃で撃ちぬいた。


「あとどのくらい残ってる?」

「……四体かな」

「十分だ……行くぞ!!」


改めて刀を構えなおして、瞬一は残りの敵を一掃する為に斬りかかる。

大和も、瞬一の右を行く。


「……てりゃっ!」


ズバッ!

居合いにも似た斬り方で、瞬一は敵を一体斬り伏せる。

横では大和も、


「……!」


上から剣を振り下ろすような形で斬った。


「こっち来るんじゃねぇよ!そんなに殺されたいのかよ!!」


ドン!

晴信は、近づいてきた敵を、銃で撃つ。

こうして、残りはあと一体となった。


「これで終わりだ……その命、散れ!!」


最後の一体が襲いかかってきたところで、瞬一はその敵を斬りに行く。

しかし。

ガキン!


「またか……時々反応がよくなるんだよな、コイツ!」


悪態をつきながらも、今度は刀を落とさないようしっかりと握っている瞬一。


「……今だ、大和!」

「……ああ!」


敵が瞬一に気を取られている内に、いつの間にか後ろに回っていた大和は、背後より敵を斬る―――!!

ザシュッ!という音がして、敵の体は真っ二つとなる。

そして、そのまま……。


「……ふぅ、終わったか」

「ああ~疲れた」


瞬一と晴信は、今までの緊張感が途切れた為か、その場に座り込んでしまった。

その中でも、やはり大和は平然とした顔で立っていた。


「それじゃあ、二人を呼び戻してくるね」

「あ、ああ……」


大和は扉の外にいる葵と真理亜を呼びに行く。

……そんな中でも、瞬一は大和のことを、凄い奴だな、と考えていた。















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