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Magicians Circle  作者: ransu521
悪魔憑き編
105/309

ちょっとした事件

体育祭も終わって、一ヶ月が過ぎた。

つまり今は、六月。

そしてこの日、ちょっとした出来事が起きた。


「……珍しいな。一之瀬が欠席だなんて」


二年S組の教室に、一つ空いている席があった。

それは、一之瀬の席であった。


「春香、休むような前兆は見せなかったけどね」

「う~む、これはもしや……風邪か?」


一之瀬も、一応は体調管理とかがしっかりしていそうだ。

それだけに、風邪を引いたとなると、少し心配になるな……。


「そういえば、一之瀬の兄も今日は休んでるって聞いたぜ」

「一之瀬の兄?……てか、兄いたんだな」

「そうみたいだね。けど瞬一、春香ちゃんのお兄さんは、この学校でも有名な方だよ?」

「え、そうなの?」


学校のことに対してはあまり関心がない為か。

生徒会長の顔といい、本当に俺って知らないことばかりだな。

で、今回はどんなことが……。


「人当たりが良くて、イケメン」

「この学校で実質トップの成績を誇る男」

「その名も……一之瀬辰則!!」


……北条と晴信の二人は、打ち合わせでもしたのだろうか。

ここまで息が合うとか、コイツら敵同士じゃなかったのか?


「一之瀬辰則、ね……」

「さすがは春香ちゃんのお兄さんだよね。この学校で実質的にトップの成績を誇ってるなんて」

「何、学年でトップの成績をとったとか?」

「みたいだね。去年の三学期末試験で一位を取って、今回のクラス分け試験でも、ぶっちぎりのトップ通過らしいしな」


晴信でもそこまで知っているのか。

俺もそろそろ学校のことに関心を持とうかな……。


「にしても、怪しいな」

「何が?」


俺がそう呟くと、葵がすかさず反応する。


「いや、だってよ。一之瀬兄妹が二人して学校を同時に休んでるんだぞ?」

「どっちも風邪で休んでるんじゃないのか?」

「馬鹿。そんな偶然はそう簡単に起きるものじゃねぇよ」


その可能性も否定は出来ないが……俺はそうは思わない。

第一、兄妹二人揃って風邪なら、学校に連絡が来るはずだろう。

なのに、うちの担任にさっき休んだ理由を聞いてみたら、


「ああ……そのことなんだけど、理由知ってる人いないか?」


と、担任まで把握していない様子だった。

……ここまで来ると、一之瀬兄妹に何かあったのではないかと疑いすらかけ始める。


「風邪なら普通、学校側に連絡が行くはずだろ?忘れたとかは普通ありえないぞ?」

「確かに……いいところを突いたね」


大和がそんな返事を返す。

まぁ、大和も同じことを考えてたんだろうけどさ。


「え?大和もまさか、風邪で学校休んでるとは思ってないの?」

「うん。何だかおかしい気がするんだよ。兄妹が二人揃って休んでいるというのに、連絡が行き届いていないなんて」

「だろ?」


俺が大和の言葉に同意を見せると、


「それじゃあ……一之瀬さんが休んでるのは、どういう理由があるって言うのよ?」


北条が俺にそんなことを聞いてきた。

……さすがに、そこまでは知らない、けど。


「それは分からないけど、少なくとも風邪で休んでるわけではないと思うんだよ」

「……なんとなく私もそうじゃないかって思えてきたかも」


葵も俺達の意見に同意のようだ。


「……納得は行かないけど、説得力はあるわね。それに、大和君もその意見みたいだし、正しいのよ、きっと」


やはり北条の判断基準は、大和のようだ。

当の本人は、最後の方の言葉など聞こえていないというような雰囲気だ。


「んじゃ、今日一之瀬の家に行ってみないか?」


すると、晴信からこんな意見が飛んできた。

……意見としては賛成なんだけど。


「お前、一之瀬の家知ってるのか?」

「いや、知らない」

「即答かよ……」


駄目だコイツ。

そういうのを知ってての発言ならまだしも、知らないで言ったのかよ。


「なら、先生に住所とかを聞いてみたらどうかな?」

「……校長に聞いてみるとするか」

「校長先生に?担任の先生に聞かなくていいの?」


葵がそんなことを尋ねてくる。


「ああ。いまどきは守秘義務とかがあってな……担任の元に住所が届いていないことも稀じゃないんだよな。だから、生徒全員の情報を知ってる校長先生の方がいいんだよ」

「なるほど……」


納得したような表情を見せる葵。

晴信達も同じような表情を浮かべていた。


「……というわけで、放課後に校長室の前に集合な」


俺がそう言うと同時に、チャイムが鳴り、授業を始める為に先生が入ってきた。















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