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Magicians Circle  作者: ransu521
体育祭編
103/309

帰り道

「あ~楽しかった!」


帰り道。

俺達はまとまって学校から出てきた。

特に待ち合わせをしたわけでもないのに、何故か全員が揃って学校に出てきたのだ。

それは、二年S組にいる俺達だけでなく、植野姉妹に空も含めたメンバーで、だ。


「赤組が優勝するんじゃないかって思ってましたけど、まさか本当に優勝するとは思いませんでした……私の組なんか、最下位ですし」


そういえば、優菜のところは最下位で終わってたな。


「く~!瞬一先輩の組に負けるたのは、ちょっと悔しい!」

「……どうだ?恐れ入ったか?」

「……宮澤先輩は、対した活躍してないじゃないですか」

「うるさいな!!」


恐らくは気にしているだろうことを、刹那は指摘する。

……確かにそれは俺も思った。

100m走でも結局引き分けに終わってるし、しいて言うなら……玉入れの時の活躍が一番じゃないだろうか?

なんというか……地味だ。


「今、地味とか思っただろ?」

「ああ、思った」

「せめてフォローしてくれないかな!?」


まぁ……なぁ?


「私だって、もう少し活躍したかったな……」

「北条?」


珍しく北条がそんなことを呟いていた。


「だって、もし活躍できていたら……(´∀`人)」


出たよ、北条の顔文字感情表現法。

長ったらしい名前だけど、極端に言えば、顔文字で感情を表現する方法のことだ。

……あれ、まんまじゃねぇか。


「何一人で悩んでるの?」


そんな言葉を投げかけたのは、葵だった。


「いや、北条の顔文字感情表現法について考えていた」

「……え?」

「分からないのならそのままでいい。むしろ、そのままでいたほうが、お前にとっても幸せかもしれない」

「??」


わけもわからないと言ったような表情を浮かべている。

そりゃそうだ……言ってる俺も、何言ってるのか分からないからな。


「それはそれとして、そろそろ俺達も寮に着くんじゃねぇの?」

「ていうか、葵は道あっちだよな?」

「あ、そうだね……」


俺達と同じ方向に行こうとしていた葵に、俺はそう注意をする。

後ろでは、空が、


「お姉ちゃん……しっかりしてよ」


と、呟く声が聞こえてきた。


「んじゃ、俺達は寮に行きますか」

「また学校で会おうな!」

「ああ!」


一通り挨拶を済ませ、俺達は寮へと、葵と空、そして一之瀬はそれぞれの自宅へと帰って行った。

楽しかった体育祭もこれで終わり。

次の日からは、学校での授業が待ち受けている。










Side辰則


「ハァハァ……うっぐ!」


突然襲われた胸の痛み。

俺の中で、何かが暴走している……のか?

借りにそうだとしても、一体何が……。


「……悪魔、か」


俺は、とある事情から闇の魔術を手に入れた。

その際に俺は、悪魔と契約したのだ。

闇魔術を手に入れる際、その使い手は悪魔に何かの代償を支払わなければならない。

俺の場合は……俺の心の中に、その悪魔を住まわせる、と言うものだ。

他にも様々な種類があると聞くが……今はそんなことは関係ない。


「今さら……何を……しにきた?」


俺は、途切れ途切れに言葉を発する。

悪魔は、俺の頭の中に直接、こんなことを告げてきた。


『トキハキタ。ソノカラダ、ワレガカリルゾ』

「何を……言ってやがる?」


体を借りる?

何を言っているんだ、この悪魔は。


『アノショウジョヲリヨウスルノダロウ?ナラバキサマデハナク、ワレニカワレバヨイダロウ。ワレナラトマドイナドシラヌ。ユエニ、タヤスイ』

「少女……春香のことか!?」


コイツ、春香をどうしようって言うんだ!?


『アノショウジョノカラダハキレイダ。ソレニクラベテ、コノカラダハキタナイ。タシカニニクシミトゾウオデミチアフレタ、スミヤスイクウカンデハアルガ……タリヌ』

「何が……足りないって言うんだ?」


俺は悪魔に尋ねる。

すると悪魔は、こう言ってきた。


『アクニソメルコトガデキル、キヨキココロダ。アノショウジョハ、キヨキココロニミチアフレテイル。ユエニ、ワレノサイコウノカテトナル』

「まさか……俺の心から離れて、春香の体を乗っ取るつもりか!?」


そんなことはさせない。

いくら目的の為とはいえ、そんなことはさせるわけにはいかない……!!


『アラガッテモムダダ、ヒトノコヨ。ショセン、キサマラノチカラナド、ワレノマエデハムリョクニヒトシイ!!』

「ぐ……がぁああああああああああああああ!!」


苦しい。

胸が痛い。

意識が、とぶ。

心が、やみの奥ふかくにウメラレテいく。










春香…ごめん。
















ついに本編100話突破!

これからも、どうかよろしくお願いします!!

因みに、次回は100話到達記念超短編集&キャラ紹介です。

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