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Magicians Circle  作者: ransu521
体育祭編
101/309

激闘は幕を閉じる

リレーも終盤に差し掛かり、いよいよ最終ランナーへとバトンが渡されようとしていた。

さっきまで一位だった赤組だったが、途中でまさかの追い上げを果たした黄色組に抜かされて、二位に転落していた。

まぁ、青組に関しては敵視する必要もなくなってきているので、よしとしよう。


「ここまで来て黄色組にだいぶ離されたな……アンカーの大和がどこまでやってくれるか」


後は大和に賭けるしかない。

大和がどこまで速く走ることが出来るのかに、すべてがかかっている。


「大和、まかせた!」

「この差は、僕が何とか埋めてみせるよ」


大和は、右手でバトンを受け取る。

と、同時に。


「うわっ……速いな、おい!」


凄いスピードで、走り始めた。


「いよっしゃ!これなら黄色組を簡単に追い抜かせる!!」

「いっけ~大和!!」


晴信が遠くから応援しているのを受けて、俺も叫ぶ。

大和は、その問いに答えるように、さらにスピードをあげていく。


「くっ!このまま負けるわけにはいかない……さらにスピードアップ!!」

「遅いね」

「なっ!?」


相手がスピードをあげようとしたら、横に大和が並んでいた。

……結構差があったはずなんだけど。

さすがは大和……味方ながら恐ろしいやつだぜ。


「先に行かせてもらうよ。このリレー、負けるわけにもいかないしね」

「くっそ!」


遅れるような形で、黄色組の選手が追いかけてくる。

だが、流れに乗った大和に、勝てるはずもないだろう。


「よし……」


そして。


『ゴール!!白熱の二年生クラス対抗リレーは、赤組のまさかの逆転勝ちで幕が閉じられました!!』

「よっしゃ!!」


大和が一位でゴールした。

すなわち……赤組に50点加算されたことを意味する。

……例え赤組が次の勝負に負けたとしても、これは結構な高得点だ。


「……三矢谷、とか言ったな」

「ん?」


ふと声をかけられる。

俺はその方向を向いてみると……そこには柳瀬がいた。

しかし、その顔は観念したような表情だ。


「完敗だ。最後のやつはともかく、お前も凄かった」

「……お前もなかなかの走りだったけどな。あれほど窮地に追いやられたのは、初めてだ」

「そう言ってくれるとは、ありがたいな」


……まぁ、なんだかんだあったけど。

俺は柳瀬に勝つことが出来たってことで。

もうこの勝負のことは、水に流してやろう。


「……悪かった。さっきはあんなこと言って」

「いや、別にいいんだよ。分かればいいって」

「……こんなやつだから、葵様もお前に惚れたんだろうな」

「は?」


最後の方が何を言っているのか分からなかったので、俺はもう一度言うように頼んだのだが。


「いや、何でもない」


と、軽く拒否された。

……何だか少し虚無感を感じた気がする。


「……さて、このことはおしまいだ。けど、俺は葵様のことはまだまだ諦めたわけじゃねぇからな!」

「やめとけ。アイツとお前とじゃあ、釣り合わないぞ。ただでさえ扱い大変なんだからな」

「そんなことない!葵様は優しいお方だぞ!!」


……本当に、葵はこいつに何をしたのだろうか。

慕う程のことを、いつの間にか葵はしていたんだな、きっと。

まぁ、そのことは後で聞けばよしとして。


「とりあえずは、三年生のリレーでも見て過ごすことにしようぜ」

「……ああ」


と、俺達は次に行われる三年生のリレーを見ることにした。

すると。


「瞬一」

「おお……大和か。お疲れ」

「さすがにちょっと疲れたかな……」


先ほど走ってたばかりの大和もやってきたので、大和も一緒に見ることとなった。

……優勝するのは、はたしてどの色なのかね。















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