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王子は・・・

久々のお城へ出仕です!

ジロジロと周囲の視線が集まるのが分かります

それもそのはず、本日の私の格好は

ほんのちょっぴりくすんだ金の髪をしっかりセット、メガネは可愛らしい赤いフレームに透明のレンズ

歳相応のドレスを身につけ、姿勢を伸ばしています。


つまり、シンデレラ80%といった具合でしょうか


これまでお城へは地味シンデレラ0%から始まり

じわじわと髪の色を元の金の髪に近付け、メガネもレンズを薄くしたりとシンデレラ100%に近づけて行ったのです。


リュシエルお母様立案計画の第2弾

「女になったから美しくなる」作戦


よくある話です、恋をしたから綺麗になったとかいう感じです

結婚して名実共にデューク様の女になった私は、その事を切っ掛けに化けても何も不思議は無い!


既に人妻となったので王子が

「消えた姫君」=「デュークの妻シンデレラ」と気付いても何も出来ないわ!


という作戦ですね。

尚、デューク様の意見としては・・・


「ラインは多分、このシンデレラを見ても「消えた姫君」とは結び付かないぞ、彼奴王子の癖に目は曇っているから」


だそうです!

デューク様、王子の事嫌いなんですか?

なんか棘ありませんかね?

幼馴染なんですよね?

ツッコミを入れると、


「・・・コロッケパンの事は俺も許せんからな」


そこ!?今、ここに至ってコロッケパンなんだ!


「そもそもシンデレラは俺の婚約者であって、アイツの使用人でも料理人でも何でもない

断る事も出来たのにシンデレラが気を遣って食事の準備をしたというのに、あの仕打ち・・・」


あ、コロッケパンの恨みじゃなくて私に対する無作法ね、なるほど。


実際の所は「コロッケパン」ではなく「シンデレラの手料理」を粗末に扱った事に対しての怒りである。




「それにしてもやはり見られるな」


「そう、ですね、でも私はデューク様の近くを離れませんし何も無いと思いますが」


「一応気を引き締めて行こう、チュー太、妻を頼むぞ」


「チュッ!任せるでチュ」


ぴょこりとシンデレラの胸元から顔を出すチュー太

本日のドレスは首まで覆うデザインで下着とドレスの間に待機している


16という年齢を考えると首まで覆うデザインは少し対象年齢が高いが

デュークが付けた跡を晒して歩く訳にも行かず、こういったドレスになってしまった

夫人としては露出を控えていて丁度いいのだが

予め行く日程が決まっていて()()()しまったデュークは母リュシエルとシンデレラ付きの侍女サリーにたっぷりと怒られている。



一先ず、新婚からの仕事の本格復帰なので国王陛下、王妃陛下に挨拶に向かった。



「失礼します」


「おお、デューク!此度は結婚おめでとう!」


「おめでとうデューク、シンデレラ、さ、ん??」


国王は我が息子の事のように喜びデュークに話し掛け

王妃も祝いの言葉をデュークへ掛け、次にシンデレラを見て疑問符を打つ。


「んんっ!?シンデレラ夫人、、か?」


「はい、国王陛下、王妃陛下」


にこりと笑顔で受け答えするシンデレラ

当然、瓶底メガネのモッサリ地味シンデレラしか知らないので上から下まで見られる


瓶底メガネは可愛らしいものに

暗かった髪色は明るい金の髪に近い

ドレスもとても似合っていて、姿勢も良く、それによってスタイルの良さも見て取れるようになっている

透き通ったレンズの奥に輝く碧の瞳、そして整った顔立ち

控え目に言っても美人と呼べるシンデレラがそこには居た。


「きゃー!!シンデレラさん貴女こんなに綺麗だったの!?

デュークのお陰かしら?」


「う、うむ、驚いた、いや美しいな・・・」


王妃が素直に思った事を言った、それに国王も続く


「ありがとうございます」


デュークのお陰、というのは「女」にして貰ったという遠回しの言い方で

シンデレラは頬を染めて御礼を返す


そんな様子も可愛らしく、これまでの様子も鑑みると

大人しく控え目、デュークには尽くし、周囲の城の者からも好意的に見られているし、手料理も出来て美しいとなれば

国王と王妃の評価も手のひら返しである。



「陛下、ラインは?」


「あやつは遅刻しておるの、どうせデュークが先に結婚したから僻んでおるのだ」


「さあさあ、シンデレラさん座って?私とお話しましょう?

どう、デュークは下手だった?上手だった?」


「ふえっ!?」「王妃様!!」


「言いなさい!これは王妃命令よ!」


こんな事に王妃権限を使うな!とデュークは全力でツッコむ、心の中で・・・


もじもじと照れながらも王妃に小声で伝える


「え?誰にも言わないなら?言わないわ、勿論!」


「・・・・・・」


「成程、上手いか下手かは判らないけど、沢山愛してもらったのね!」


「お、王妃様!!」


「あ、ごめんなさい、つい!」


「うう・・・」


「ど、どうやら上手く言っておるようだなデューク、後で王妃にはキツく言っておくから・・・」


「はい、是非。」


「なによ、ちょっとからかっただけじゃない!

シンデレラさんお幸せに、デューク大事になさいね」


「・・・」


素の王妃はこんななのかとシンデレラは驚き

デュークは外行の顔を捨てた王妃にゲンナリした。





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