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執務室

「もう!陛下の御前でキスするなんて!」


「すまない、いつもの癖でつい」


国王陛下に婚約の挨拶を終え、城内を歩きながらシンデレラは怒っていた

デュークが屋敷に居る時と同じ様に髪に口づけして来たのだ、寄りにもよって初対面の陛下の前で!


明らかに困惑した様な、信じられないものを見た様な

生ぬるーい視線で陛下に見られて最悪だ


「陛下の御前ですよ!ご ぜ ん!」


「手元にシンデレラが居たから、つい・・・」


「クッキーがあったから食べた、みたいに言わないで下さい! 恥ずかしいったら・・・」


言い得て妙だ、食べるという意味合いではその通り

とデュークは思ったが口に出しては更に怒られるなと思ったので言わなかった。


「だが、キスを3日禁止は酷いと思う」


「禁止です、反省してください」


「ぐ、むう・・・・・・」


「もう!恥ずかしいんですから人の居ない所でしてください」


「分かった人の居ない場所なら良いんだな」


「外はダメです!お邸のみ!城内は室内だ、とか言い出したら引っぱたきますよ!?」


「なん、だと・・・?」


キスを禁止した割にはデュークの密着エスコートを許している辺りシンデレラも大概なのだが

その点にツッコミを入れる人材は居ない


正確には近くに護衛案内として騎士は居るのだが

氷の宰相にツッコミを入れる程無謀ではなかった


(陛下の前でキスしたのか、人の居ない所なら良いとか、いや、その前に宰相様が笑顔、て言うか大公様に向かってぶっ飛ばすとか言ってる・・・

地味な婚約者かと思っていたけど、凄い御方なのかも知れない・・・)


変な誤解をされるシンデレラであった。


実はデューク、正式に婚約を結んだ辺りからシンデレラに関する事限定でおかしくなった

端的に言うと頭のネジが数本飛んで行った


シンデレラに対して、おはようのキスから始まり

おやすみのキスまで何かとスキンシップをして来る

シンデレラもシンデレラでほぼ初恋、相手に求められて嬉しくない訳がなく・・・


王子の一目惚れを揶揄していた彼女も自分自身恋に浮かされている自覚は無く

最も近くに居た侍女サリーは分かっていたが

男性に苦労して来たシンデレラが幸せそうなので敢えて何も言わなかった


婚約してコレ、そんなデュークに驚いたのは母リュシエル

まさか自慢の息子が婚約者相手にここまで溺れてポンコツになるとは思っていなかった


「シンディーちゃん、デュークをこんなにした責任は取ってね?」


「それ、普通は女性側から言う台詞じゃ無いですかね?」


という会話が有ったとか無かったとか。



その後、氷の宰相の氷が解けて、春が来たという噂がまことしやかに城内では囁かれる事となった。




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