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対面 国王視点

デュークが婚約者を連れて来た

ひとつき前程に突然デュークの婚約者であるシンデレラ・トゥラヴス伯爵令嬢が攫われたと聞いた時は驚いたものだ。


まず、デュークに婚約者が居たのかという驚き

次に、その婚約者が攫われたと言う大事件に


だが行方不明になって2日経つ内に解決とは流石王国の知恵袋である宰相だ

令嬢も無事保護、実行犯はデュークが激高して切り刻まれたと聞いた時はそこまでの娘なのかと思った

あの「氷の宰相」と呼ばれる冷静なデュークが、と。


そして改めて彼女、シンデレラ・トゥラヴス伯爵令嬢を見る







地味だ。



とても地味、それが彼女の第一印象だった




目に付いたのは瓶底メガネ

そして暗い色味の髪の毛に姿勢も悪い、俯き加減に猫背だ

ドレスも16という歳頃の娘が着るには落ち着き過ぎたデザイン、それは彼女の親くらいの年代が着るようなドレスだろう。


「お初にお目にかかります、シンデレラ・トゥラヴス伯爵令嬢です」


最低限のマナーは備えている様で、しっかり挨拶をして来たが

声も小さく、なんとも陰気な印象が拭えない

大丈夫なのか

大公家に嫁ぐという娘がこんな調子で、と

もう1人の息子だと思っているデュークが心配になる

ラインの事を叱ったが、正直に言うと儂も「そんな娘で良いのか」と問いたい程だった。


王子ラインの指摘は見た目を揶揄するようなものだったが

実際それなりに身なりもあった方が何かと上手く行くのは否定出来ない

せめてドレスとメガネを替えて姿勢良く

もう少し明るい印象にしたら、とは思うのだが

初対面でそんな事を国王()が口にしては反対と言うものだしと飲み込んだ・・・



何よりもデューク自身が大切に扱っているのが見て取れた



部屋に入って来た時からデュークは彼女をエスコートしていた

只のエスコートでは無い

シンデレラ嬢の腰に左手を回し、自分に寄り添わせ

右手で手を取って来たのだから・・・


あの「氷の宰相」と呼ばれるデュークが!

話し掛けて一言二言で令嬢を撃沈ならばまだ良い方で

近付いて来ただけで射殺すような視線と雰囲気で令嬢を萎縮させていたデュークが!

薄らと微笑みながら柔和な表情で来たのだから!


王子とデキているという噂さえ上がった程の鋼鉄

いや氷のデュークが傍らに令嬢を置いて上機嫌など誰が信じられよう・・・


理由を聞けば

「攫われた際に足をくじきまして、先日治ったばかりであまり負担を掛けたくありません」

などと、最もな事を言ってはいたが


相手は彼女しか居ない、と言って令嬢の髪に口づけする様を見せ付けられては

「お前ただくっ付いていたいだけだろ、王の前でイチャイチャすんな」

と言いたかった。


ラインが早々に出て行ってよかったと思う・・・

彼奴が運命と決めた姫君が見付からず、気が立っている所に

デュークは婚約者を連れてイチャついた様子を見せられては

ラインの気に障って怒鳴りそうだ



令嬢も陰気な様子なのに、デュークにキスをされて耳を赤く染めていたし、どうやら関係はとても良好なようだった。



「キス、3日禁止です・・・」


と小声で令嬢が呟いて、デュークが本気で落ち込んだ

国王()の片腕のこんな姿見たくなかった・・・

いや、ある意味では人間味ある姿を見られたので親しみは覚えたのだが・・・






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