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甘々

「デューク様、」


「ん?」


「国王陛下はどういった方ですか?」


「良い方だよ、大丈夫顔を合わせておしまいだから」


「はい・・・」


「王子か?」


「そうですね・・・、ちょっとかの方は・・・」


舞踏会の事を思い出すと体が震えてきます

改めて考えてみるとセクハラなんか可愛いものでした

背中を撫でられたり胸を凝視されたり、嫌ではありますがその点においては他の男性と変わりはありません


問題は「永遠の美しさを手に入れる為に人形にしてやる」

発言です。


デューク様にお話した所、流石にこれまで王子が人を殺したという事実は無いとの事ですが

そうなると私に対しての発言の意図はなんだったのかとなります

仮定の話になりますが、例えば気に入った美しい娘を王妃にして子を為した後

美しい姿のまま永遠を・・・


それなんてサイコパス?


「シンデレラ」

デューク様が不安がる私を抱擁して背中を撫でてくれます

温かさと頼もしさにホッとしました


「私の婚約者、妻に手を出せる者は存在しない、それに王子、ラインは恐らくその姿の君には気付かないと思う」


国王陛下と王妃様に婚約の御挨拶へ向かう馬車の中

私は久々の地味シンデレラ姿です

瓶底メガネにくすんだブロンドヘアー、正装であるドレスも30代辺りの女性が着るようなデザイン、茶とベージュを主に地味な色遣いのものです。


今後の私達の方針はこうなります


国王陛下と王妃様に婚約の御挨拶、勿論その際には王子も立ち会うとの事


その後はデューク様の執務室付き補助として就職

出来るだけ王子と顔を合わせる事にするのです


私は徐々に、そう、本当に徐々に元の姿に戻して行きます

眼鏡を瓶底丸メガネから、普通のフレームに瓶底レンズに

瓶底レンズを濁ったレンズに、濁ったレンズを色付きレンズに、最終的には透明レンズから眼鏡無しに


髪の毛もくすんだブロンドヘアーをジワジワと明るい色に変えてゆき、最後は元の金髪に


そう、最後は私は元の姿になる訳です

じっくり時間を掛けて元の姿になり、王子が舞踏会の消えた姫君だと気付いた時には手遅れとなります


何故なら、その時には私はデューク様と婚約していますし

何度も何度も顔を合わせていたのに今更あの娘だなどと王子の立場からは言い出せない状況になっているからです。


既に舞踏会から私が逃げて姿を現さない時点で噂になっているのです

ここまで執拗に喧伝して現れないのはかの姫君が王子は嫌だと言っているようなものだ、と

振られているのに長々と探して、見付けてもどうなのだ?と言われているのです。


更にデューク様の婚約者なのに私が舞踏会の姫君だ!

と言われても、大公から婚約者を奪うのか?という話になりますし


そもそも何度も顔を合わせていたのに最初に気付かなかったのか?

運命の人なのだろう?

と、嘲笑の対象になるので王子は私を諦めざるを得なくなるという計画になります。


発案者はお父様

流石の前大公様にしてデューク様のお父様

見事な手腕です

ですがここまでして頂く理由がイマイチ分からないので聞いてみると、


「私にとっては王子ももう1人の息子のようなものだけど

それ以上にデュークの幸せを願っているから

何よりもシンデレラさんは王子を嫌っている

嫌がる女の子を差し出すなんて、相手が王家と言っても男のする行いではないからね」


なんて素敵な紳士なんでしょうか!

デューク様の紳士は確実にお父様から引き継がれています!




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