甘み
各所に報告を済ませ、足も治ってきたので
今日はお掃除です!
装いは黒のお仕着せに真っ白のフリル付きエプロンドレスの侍女スタイル
芋の皮剥きした後に何故かお母様が新しい物をプレゼントしてきました
「ふふふんふー、ふふふんふー、ふんふーふーんふふー」
鼻歌混じりにお掃除です
トゥラヴス伯爵家で使っていた道具を取り出し
窓の冊子の隅をコシコシ擦って綺麗にします
ええ、掃除のお供マ〇イ棒です
チュー太も一緒にお掃除です
「ちゅーちゅーちゅーちゅちゅー」
チュー太サイズのマ〇イ棒でコシコシお掃除です。
1枚窓ガラスを終えると達成感が素晴らしいですね
ピカピカ、むふふー!
「お嬢様、またそんな事を・・・」
サリーが、呆れた様子で言ってきます
「いいじゃない時間を有効活用しているだけだし」
「正式に大公様の婚約者になったのですよ」
「デューク様は好きに過ごしてって・・・」
「大公夫人になる御方が掃除なんて何処の世界に居るのですか。」
「ここ?」
「はあ、もういいです、お嬢様が掃除しているとイヤミに受け取られますよ?」
「大丈夫、事前に皆さんには言ってあるから」
「何故そう言った所に気が利くのに、掃除や料理など、」
「趣味? あ、でも旦那様に手料理って食べさせたくない?」
「それは、そうですが・・・」
「別にやるべき事を後回しにしている訳じゃないから、これは息抜き」
「掃除が息抜きですか・・・」
「そ、ピカピカになると気分良くない?」
「もういいです、お好きにどうぞ」
「うん!」
自分に宛てがわれた部屋の窓を全部綺麗にするのに2時間ほど掛かりましたが
とても綺麗になりました!
チュー太も自分のケージをピカピカにして御満悦です
トントントン・・・
「はーい、どうぞ」
「シンデレラ、今良いかな? ・・・今度は、なんだ」
「お掃除です!」
「そ、そうか・・・、その棒は?」
「マチュイ棒でチュー!」
「マチュイ棒?」
「これだと、隅の汚れを、こんな感じでコシコシ・・・、ほら!綺麗になりました」
「ふむ、なるほど」
「あ、でもお屋敷の皆にやらせちゃダメですよ、これは私の暇潰しですから。
こんなのやらせ始めたら永遠に掃除し続ける事になります」
「あ、ああ・・・、」
しかし、芋の皮剥きの次は掃除かとエプロンドレス姿のシンデレラを見るデューク
・・・悪くない
いや、寧ろ素晴らしい
男心にグッと来るものがある
「・・・シンデレラ、ちょっとお願いがあるのだが、」
「はい?」
ガチャ、再びシンデレラの部屋に入り直すデューク
そこへ・・・
「おかえりなさいませ、ご主人様」
「ああ、ただいま」
エプロンドレス姿のシンデレラがデュークを出迎える
グイっとシンデレラを抱き寄せると、そのままキスをするデューク
「な!にを、デューク様」
「ただいまのキスは必要だろう?」
「・・・デューク様ってこういうのやらないと思ってました」
「そんなことはない、ただ相手が居なかっただけだ」
「ふうん、じゃあこういうのはどうですか。」
「ん?」
「いってらっしゃいませ、あ な た」チュ
「むうう!?」
「えへへ、どう?」
「これは堪らないな、出掛けたくない・・・」
「あ、じゃあナシで」
流石に朝イチでコレやって城へ行くのやめたとかアホ過ぎる・・・
デューク様ってこんな人だった?
バカップルのイチャつきは当然他の使用人が見ており
「氷の宰相様」という硬派なイメージは儚くも崩れ去って行った。
「坊ちゃんって女に溺れるとあんななるんだな・・・」
「シンデレラ様ならいいんじゃない?
浪費家でも無いし、旦那様を尻に敷く程度なら誰にも迷惑掛からないもの」
「確かに」
デュークが下手に悪女に惚れ込んでああなったら大変なんてものではない
しかもこれまで浮いた話の無かった大公様
ほぼ初恋に近い相手が、料理や掃除をするなどと多少変わった令嬢なら可愛いものだった。




