陥落
口にあつーいキスをされてからというものデューク様は更に攻勢を強めています
私も素敵な人だし良いかなぁ、なんて・・・、きゃー!
今も、
「シンデレラ必ず大事にする、仮初ではない本当の婚約者となって私の傍に居てくれないか?」
と、大人の色気全開で口説かれています
少し前までは貴族的な表現の口説き文句は理解出来ませんでした
おお、君は太陽・・・なんちゃらかんちゃら、
私は誘われた蜜蜂、なんちゃらかんちゃら・・・
外から聞いていると「はあ?」となりますが、いざ自分が良いなあと思っている人に言われると
それはもう凄い破壊力で・・・
照れ隠しに余り顔を見なくて済むよう瓶底メガネを掛けていても
デューク様は見通したように微笑み
「シンデレラは可愛いな」
なんて言われて頬に手を添えてスリスリと撫でられ
それが頬から首筋へと変わり
ゾクゾクしているといつの間にか唇を奪われているんです・・・
私も嫌ではなくて、寧ろ気持ち良すぎてそのまま受け入れていましてね
まあ、気付けば完落ちですよ
キスってこんなに気持ちいい行為だったんですね、前世含めて40年ちょっと、初めて知りました
デューク様エロい・・・
「ふ、あ、・・・デュークさ、んん・・・」
「シンデレラ、そんな目で誘って悪い子だ、おしおきが必要だね」
別に誘って無いですけど!?
て言うかデューク様がどちらかと言えば私を襲ってますよね!?
そんな心のツッコミも虚しく、デューク様はそれはもうねっとりと大人のキスをして来ます
「ん、」
ガチャ「シンディちゃん、東国の珍しいお菓子が手に入ったの、一緒にお茶、に、・・・あらー」
そんな熱い恋人同士のキスをしている最中の部屋に
リュシエルお母様が入って来ました・・・
ぎゃああああ!!
「ん、んーんーっ!」
パタパタと暴れてもデューク様は気にした様子もなくキスを継続します
いいからこっちに集中しろと言わんばかりに更に深く・・・
「あ、、はぁ・・・、じゅる、、ん」
「落ちるのも落とすのも早かったわね・・・
でもデュークがあれだけ積極的に来たら仕方ないわね
昔から優秀な子だったから女の子に対しても優秀ね、うふふっ!
親の欲目かも知れないけど、デュークのアプローチに落ちないなら異性交際は無理だもの、ごゆっくり!」
言いたいことだけ言ってお母様はニンマリと笑顔で去って行きました。
確かに!
王子が見た目に極振りしてるせいで隣に居るデューク様が全く目立ってないけど、デューク様自身とっても格好良いし
多分イマイチ人気が高くないのは
隣に並ぶ王子と「氷の宰相」と呼ばれる外ヅラの悪さだよね。
まあ氷の宰相っていう話もリュシエルお母様からの伝聞なので私は実際には見ておりません
だって、私の前のデューク様って必ず笑顔だし・・・
そんなに冷たいの?と私個人としては疑問符が付きますね
容姿は良くても冷たい(らしい)デューク様と王子を比較して殆ど王子に女の子が集まるそうです
認めたくは無いけど王子、見た目だけは格好いいからね、見た目だけは!
中身? 比べるなんてデューク様に失礼だと思うの。
こうして婚約者のお母様にディープキスを見られるという辱めを受けつつも
結局、婚約(偽)が婚約(真)になりました・・・




