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恋心  作者: 水城朱音
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第12話:決断した男

亜子が去っていってから暫くの間、頭を冷やして考えた俺はある決意をした。

それは、愛莉との関係を清算し、亜子との関係を現実のものとすること。


落ちている鞄を拾い、携帯を取り出すと愛莉の番号を呼び出す。


長いコールがした後、プツっという音がして愛莉の声が聞こえた。


『もしもーし』

「俺だけど」

『祐樹?どうしたの?』

「あのさ、話あんだけど…出てこれるか?」

『今から?うん。いーよー』


俺は家の近くの公園を指定し、電話を切ると急いでその場所へ向った。



俺が公園に着くと愛莉はベンチに座って待っていた。

近づく俺に気がついたのか、俯いていた顔を上げてベンチを離れると抱きついてきた。


「祐樹!どうしたの?こんな時間に…私に会いたくなっちゃった?」

「…いや、電話で言ったけど話があるんだ…」

「はなし?」

「あぁ。あのさ…」

「何?」

「勝手で悪いんだけどさ、俺好きな奴居るから別れてくれ……」


別れてくれと言った瞬間、愛莉は言っている事が信じられないといった顔をした。


「え…?突然、何言い出すの?冗談でしょ?」

「冗談じゃなくて本気」

「どうして!?絶対嫌よ!別れるなんて!!」

「んな事言われたって、もう俺はお前と付き合う気はない」


俯いて涙を流す愛莉には罪悪感を感じるが…

俺の気持ちは固い。


「……せいね…」


それまで俯いていた愛莉が何か呟いた。しかし、小さくて聞こえない。


「は?」



「あの女のせいでしょ!?」

「あの女?」


何を言い出すかと思えばあの女?意味がわからない。

しかし、次の愛莉の言葉でその女が誰なのかがわかった。


「あの日!そう、祐樹の家に行った時!通りでこっちを見てたスーツ着た女の事よ!!あの女のせいなんでしょ?」

「ど、どういう…」


スーツ着た女?ま、まさか…亜子の事を言っているのか?


「その女、祐樹の事見て逃げ出したのよ!?それって祐樹と関係があるからでしょ!?」




あの時俺はこいつに何をした?

そうだ。キス迫られて…まぁいっかって軽い気持ちで…俺は…

…まさか……あの瞬間を見られてたって言うのか?



……う、嘘だろ…?



だから、あの日亜子の態度がおかしかったのか?




って事は……



俺は愛莉の呼び止める声を無視して、突然踵を返すと猛スピードで家へと向った。

走っている間、頭の中は亜子の事ばかり。



はぁはぁはぁ



息を切らし、帰っては来たが亜子の鞄がここにある以上家に居るわけがない。

案の定、家の中は真っ暗で人の気配すらない。


今すぐにでも亜子に問いただしたかったが、ここには亜子はいない。

とりあえず家の中に入って落ち着こうと、家の鍵をポケットから取り出すと家のドアを開けた。


自分の部屋に入り、電気を付けた所でリビングから電話の音が耳に入った。

急いでリビングへ向うと電話機の受話器を取り上げ耳に当てる。

聞こえてきたのは義母さんの声だった。


『もしもし、祐樹君?』


義母さんの声を聞いた瞬間閃いた。


そうだ!もしかしたら亜子は、父さん達のところに行ったんじゃないのか?


その考えが頭に浮かんだ俺は焦って挨拶もすっ飛ばして義母さんを問いただしていた。


「亜子はそこに居ますか!?」

『なぁ〜に?挨拶もなしに…』

「いいから!教えてください!」

『まぁ!!和弘さんたら子供にどんな教育してたのかしら…?』

「あっ…ごめんなさい…」

『なーんてね、冗談よ。亜子ならさっき来て今は顔洗ってるわ』

「やっぱり!そこに居るんですね?」

『えぇ。心配しなくても、鍵がないってうちに来たから。祐樹君家に帰ってるなら大丈夫でしょ?』

「はい。あの…」

『ねぇ、一つ聞いていいかしら…?』


義母さんが俺に聞きたいこと?一体なんだ?


「な、なんですか?」


ちょっとドキドキして言葉を待っていると義母さんはとんでもない事を聞いてきた。


『うちの亜子の事…どう思ってるの?真剣に答えて頂戴』


俺は自分の耳を疑った。


どう思っているかだって!?な、なにをいいだすんだ…!?


「……どうって…もちろん好きですよ…」

『それは、姉として?それとも女としてかしら?』

「そ、それは……お、女としてに決まって…」

『そう…それを聞いて安心したわ。亜子は責任持ってそっちに帰すから。それじゃぁね〜』

「ちょっ!義母さん!?」





俺は呆然と切られた電話の受話器を暗がりの中見つめる。



「なんだったんだよ?今の?」


もう頭の中はぐちゃぐちゃで、俺はその場にへたり込んだ。


たくさんの人に読んでもらえてうれしい毎日です。

なんだか長々とここまで来てしまいた。こんな展開でよかったのか!?と自問自答していますが、この話はあと2話か、3話ほどで完結する予定でいます。

最後までお付き合いいただけると光栄です。

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