側近達の協力
「……お父様やお母様の課題の意図も、わたくし達の考えが浅かったこともよくわかりました。けれど、困りましたね」
「ハンネローレ様、呑気なことを言っている場合ではないのですよ。真剣に将来のことを考えてください」
わたくしよりよほど側近達の方が真剣な顔になっています。すぐに選ぶのは難しいのですが、ここで選べないとは言えません。どうにか選択を引き延ばしたいのですが、何か側近達が納得できる理由がないでしょうか。考え込んでいたわたくしはハッとしました。
「呑気ではなく……。その、わたくしが選ばなかったことは間違いないのですけれど、今のわたくしは選んではならない立場なのです」
「どういうことですか? ハンネローレ様が選ばなくて誰が選ぶと?」
「まさかアウブにお任せして金庫番になるおつもりですか?」
護衛騎士のウルツドルフと文官見習いのルイポルトが身を乗り出すようにして問います。結婚や出産で側近を辞す女性より、結婚後もずっとわたくしに仕える男性の方が切実な顔になるのは仕方ないのかもしれません。
「いえ、そうではなく……。わたくし、誰にも肩入れしないように、とツェントに言われているのです」
だから、選べませんと言うより早くコルドゥラが眉を吊り上げました。
「それはいつのお話です? わたくしは聞いていませんよ。早急にアウブに報告すべき事柄ではありませんか」
……何とか選択を引き延ばそうと思って、たった今思い出しました……とは言えませんよね。
何を言っても叱られそうで、わたくしは視線を下げます。コルドゥラはしばらくわたくしを見つめ、「ハァ……」と仕方なさそうに息を吐きました。
「姫様、ツェントは正確には何とおっしゃったのですか?」
「……その、第二の女神の化身になったわたくしの些細な言動でユルゲンシュミットが揺れることになるので、ローゼマイン様がお戻りになるまでどなたかに肩入れするような言動には殊更お気を付けください……と。ケントリプスとラザンタルクのどちらかをわたくしが選ぶと肩入れになりますよね?」
わたくしがツェントの言葉をなるべく正確に思い出しながら伝えると、側近達は揃って困った顔になりました。
「アウブやジークリンデ様に報告して選択に猶予をいただくなり、ツェントと交渉してもらうなり何かしら行動を起こすべきですよ」
「コルドゥラの言う通りです。そもそもツェントのお言葉をそのまま受け入れる必要がありますか? 何らかの条件や補償についての交渉はしなかったのですか?」
……うぅ、わたくしの側近達が強いです。
ツェントのお言葉があったと伝えても、あまり動じていません。そして、わたくしが報告しなかったことを叱られます。
「あの、でも、ツェントはユルゲンシュミットの領地関係をお考えですし、ローゼマイン様が戻るまでと期限がありましたから……」
「つまり、ツェントが考えていらっしゃるのは領地関係だけでは? そのお言葉を受け入れた結果、ハンネローレ様の将来や我々の人生に不利益が生じたら責任を持ってくださるとおっしゃったのですか?」
エルーシアが首を傾げつつ笑顔でわたくしの逃げ道を塞いできます。わたくしは「いえ、そのようなお話はありませんでしたし、交渉もしていません」と正直に答えるしかありません。
……肩入れしたり、わたくしが選択したりしなければならない事態になると思いませんでしたから。
「それに、そのように不確かな期限では期限自体がないのと同じではございませんか? ローゼマイン様のお戻りが貴族院の終わった後だと全てが終わってしまいます。ハンネローレ様は今回ローゼマイン様が戻られる日をご存じなのですか?」
「それは……存じません」
……アンドレアまで厳しい目を向けないでくださいませ。
領主候補生としての甘さと、いかに自分が将来をぼんやりとしか考えていないかを突きつけられ、わたくしは項垂れてしまいます。少しは成長したつもりですが、全然足りていません。
「それでも、ツェントのお言葉に反論などできないでしょう? わたくしの言動でユルゲンシュミットの領地関係に影響が出るのは困りますもの」
わたくしの苦しい言い訳に側近達は「それはそうですが……」と一応の肯定を見せつつ、「拡大解釈は可能ですよ」と平然とした顔で言いました。
……あ、あぅ、流れが良くありません。
このままではツェントのお言葉を引っ張り出してきて叱られたのに、選択は引き延ばせない結果になりそうです。
「他領へ嫁ぎたいとかアウブの決めた婚約者候補以外を選ぶなど、突拍子もないことをしない限りツェントに文句を言われる筋合いはないと思います」
「あの、ウルツドルフ……」
「ダンケルフェルガー内で婚約者候補から選ぶ分には領地関係に影響しませんよ。それならばツェントも黙認してくださると思います」
「イドナリッテ、さすがに影響しないということはないと思いますけれど……」
ツェントからのお言葉だというのに、側近達は他領との関係にさえ影響が出なければよいと言い出しました。
「自領の勝利を信じることは当然ですし、先を見据えて根回ししておくこと自体はツェントも止められません。ハンネローレ様もディッターの金庫番だけはお嫌でしょう?」
おそらく側近の中で一番先を見るのが得意で、何が何でもディッターの金庫番を避けたいルイポルトが黒い目でわたくしに選択を迫ります。正確にはケントリプスを選ぶように圧をかけてきます。
……やはり引き延ばせませんか……。
わたくしのわずかな抵抗は完全に無駄だったようです。叱られただけで何の意味もありませんでした。
「それにしても、領主候補生としての課題にルイポルト達がここまで熱心に意見するのは初めてで少し戸惑いますね」
「ハンネローレ様の選択に私の将来が大きく左右されるわけですから、当然ではありませんか。さぁ、第一夫人の代理かディッターの金庫番のどちらを選ぶのです? もし選択が難しいならば、ハンネローレ様の選択によって将来が大きく変わる私達が選びますが……」
怖いほどに真剣な顔でルイポルトが選択を迫ってきますが、側近達に選択を任せることはできません。
「ルイポルト、それはさすがにダメですよ。側近の領分ではありません」
「わかっています。私も皆も秋の終わりに婚約者候補が決まってから今まで選べていないハンネローレ様に今すぐ決断ができると思っていません。しかし、おっとり考え込むハンネローレ様の決断を待つ余裕がないことはおわかりですか?」
「……わかっています」
ツェントとの協議による取り決めから嫁盗りディッターに出場できるラザンタルクに半ば決まってしまったため、もしケントリプスを婚約者にしたいならば早々に手を打たなければなりません。
「ハンネローレ様、領主候補生は瞬間的な判断を求められることがあります。領地対抗戦で襲撃を受けた時や、突然協力を求められた本物のディッターの時、貴女はすでに経験済みだと思いますが……」
ウルツドルフの言葉に、わたくしは瞬時の判断を求められた場を思い出しました。確かにどうするべきか悠長に悩んでいる余裕などありませんでした。悩む間に勝機を逃すこともあれば、多くの命が失われることもあるのです。
「決断力は領主候補生に必要な能力です。そして、戦場で優秀だと評価されたハンネローレ様に決断力がないとは思いません。今はおそらく危機感が足りていないのです」
「危機感と決断力……」
わたくしはお父様やお母様から、そして目の前にいる側近達から領主候補生としての能力を試されているのです。ならば、感情ではなく、ケントリプスとラザンタルクのそれぞれを選んだ時の将来を思い浮かべ、自分と周囲の望みを満たす方向を選ぶしかありません。
わたくしは自分の手を見つめながらゆっくりと深呼吸します。第一夫人の娘として求められる立場と能力、自分を補佐してくれる者に求める能力、側近達の将来……。
クッと顔を上げると、わたくしは自分の側近達を見回しました。
「……わかりました。では、今からケントリプスのところへ向かい、求婚の条件を得ましょう」
「今から!?」
「待ってくださいませ!」
「姫様、根回しと打ち合わせは必須ですよ」
早く決断してほしいとわたくしに迫っていた割に、いざ決断するとコルドゥラ以外の側近達が驚き、待ってほしいと言い出したことに驚きました。もしかすると説明が足りていないせいでしょうか。
「わたくしの選択を知らしめるためにも、退路を断つ意味でも、早急に行います」
「何事にも退路は必要です!」
「決断までが遅いのに思い切りが良すぎません!?」
今すぐに決行する理由を説明したのに、側近達の口から出たのは「はっ!」という了承以外の言葉ばかりです。想定外の反応にわたくしは面食らってしまいました。どうにも側近達との意思疎通が上手くいっていません。
「わたくしに領主候補生としての瞬時の判断を要求したのは貴方達です。ならば、了承以外の返答は必要ありません。皆がこの様子ではいくらわたくしが領主候補生として決断したところで迅速に行動に移せないではありませんか。戦場ならば致命的です」
わたくしの言葉に側近達が驚いたように目を見開きました。
「本物のディッターに赴いた時、わたくしの命令に誰も異議を唱えませんでした。あの時はまだ汚名を雪ぐ前でしたし、お兄様が貸し出してくださった護衛騎士が何人もいたのに、騎士達は全員わたくしの命令に即座に対応してくれたのです。作戦をより良くするための意見はあっても、待ってほしいなど意味もなくわたくしの言動を止める発言はありませんでした」
現在は貴族院にいるため見習いばかりですが、側近達の反応を見ればこれまで自分がどれほど側近達との関係を上手く構築できていなかったか思い知らされます。結果はともかく、お兄様は貴族院で嫁盗りディッターを嫁取りと見せかけて行うという無茶を側近達に命じて行いました。今のわたくしと側近達では不可能でしょう。
「今まで通りではいけない……。ルイポルトが言った通りです。わたくしが領地に留まるならば貴方達との関係構築や意識改革が必要になります。わたくしは決断したつもりですが、皆はどうしますか? 待ちましょうか? それとも……」
わたくしはそこで言葉を切って、皆の顔を見回します。グッと顔を上げてこちらを見る目は力強く、先程までの混乱は見えません。
「ケントリプスの捕獲に今すぐ動きますか?」
「はっ!」
揃った了承の返事に、わたくしは一つ頷きました。
「相手は武寄りの文官ですから油断は禁物です。一度で確実に捕らえなければなりません。皆の協力を求めます」
「はっ!」
歯切れ良く了承の返事をした後、ウルツドルフが「どのような協力が必要ですか?」と少し首を傾げました。
「求婚の条件を得るためには女性が男性を押さえ込まなければなりません。我々護衛騎士が寄って集ってケントリプス様を押さえ込んで、ハンネローレ様に差し出しても意味がない。どのような協力が求められていますか?」
「わたくしがケントリプスを押さえ込むためには、まず一対一に持ち込まなければなりません。ケントリプスは側近仲間と一緒に行動することが多いでしょう? ケントリプスを一人にするのが重要だと思います」
わたくしはヴィルフリート様を押さえ込むためにケントリプスがしてくれた協力を思い出しながら答えました。ケントリプスは東屋に同席することでわたくしの側近達を遠ざけ、わたくしに有利なように席順を決めていました。周囲が不自然に思わない見事な誘導だったと思います。同じように今度はわたくし達がケントリプスに仕掛けなければなりません。
「我々でケントリプス様をハンネローレ様のところへ連行してくるということですか?」
「ウルツドルフ、それではいくら何でも相手に警戒されますし、助けを求められて大騒ぎになりますよ。諜報活動と同様にさりげなく行きましょう。本人には気付かれないように、一人にすることが必要なのです」
わたくしの説明にウルツドルフは「なるほど」と頷きました。
「その場合、ラザンタルク様に知られると確実に邪魔をされると思うので、ラザンタルク様を引き離しておく必要があるのでは?」
「ウルツドルフ、それはその通りなのですけれど、ケントリプス様とラザンタルク様だけに注意を向けるのは危険ですよ。わたくし達の行動を怪しまれて、レスティラウト様の側近達に協力体制を取られると成功率が落ちます。悔しいことですが、あちらの方が練度は高いですから」
ハイルリーゼの言葉にムムッと側近の皆が眉を寄せました。
「日を改めず今から行うのでしたら、ケントリプス様をこの会議室に呼び出すのはいかがでしょう? 一人だけ呼び出す理由が必要ですけれど……」
イドナリッテの提案にエルーシアが少し考えて「わたくしが呼び出しましょうか?」と言いました。
「領地対抗戦の研究発表に関することで文官同士の話があると言えば、護衛騎士や側仕えが同行することはないと思います」
「悪くありませんが、女性であるエルーシアが呼び出すとケントリプス様は二人きりにならないように誰か同席できる文官を連れてくると思います。私がエルーシアに頼まれたという形で呼び出して同席すると言う方が自然にケントリプス様を連れ出せるのでは?」
ルイポルトの提案に賛同の声が上がります。ルイポルトが声をかけてエルーシアと一緒に会議室まで連れてくると決まりました。
「でも、領地対抗戦の研究発表について文官同士で話をすると言って連れてきた会議室にハンネローレ様がいらっしゃるのは不自然では? ケントリプス様は何も気付かず会議室に入ってくれるでしょうか?」
心配そうなイドナリッテの言葉に、わたくしはケントリプスの行動を推し量ってみます。扉が開かれて中に入ろうとしたケントリプスがわたくしの姿を見つけて不審そうに眉を寄せ、足を止めるのです。
「わたくしの存在を不審に思って疑問を口にするとしても扉の外から大声で発言することはないと思います。扉の内側に護衛騎士を立たせておき、少しでも中に入れば会議室の中央に向かって突き飛ばして早々に扉と鍵を閉めてしまえば、後は助けが入る前にわたくしが何とか……」
「あの、ハンネローレ様。今までできるだけ自然に、気取られないようにと打ち合わせてきたのに何故最後が力尽くになるのでしょう?」
アンドレアに呆れた顔をされました。ダメだったようです。チラリとコルドゥラを見れば、軽く息を吐かれました。
「ハンネローレ姫様、ケントリプスが会議室に入る前から戦闘態勢になっていることを知られてはなりません。姫様はもっと自然な笑顔を作ってくださいませ。目が真剣すぎます。ただでさえケントリプスは姫様の変化に敏感ですのに」
「あら……」
わたくしは自分の頬を軽く叩きました。そういえば、前にも目が険しくなっているとか空気が凜々しいと指摘されたことがあります。
「努力はしますけれど、ケントリプスに見破られないのは難しいかもしれません」
……一年前の世界でも見破ったのですもの。
「一番の不安要素は戦闘態勢に入っている時の姫様の表情や空気ですが、ケントリプスを連れてくるだけならば可能でしょう」
「では、早急に行ってきます」
「むしろ、気付かれないように自然に、ですよ」
コルドゥラの言葉に頷き、ルイポルトとエルーシアが会議室を出て行きました。その間にわたくし達はケントリプスをどこに立たせて、どのような形で押さえ込むか打ち合わせます。
「こちらに座る方が入ってくるケントリプス様から見えにくい位置になると思うのですが……」
「では、この置物は移動しておきましょう。ハンネローレ様がケントリプス様を押さえ込む時に万が一倒れたら危険ですもの」
「ハンネローレ様、椅子をこちらに変更しておいた方が立ち上がりやすいのでは?」
動きやすいように細かい修正をしつつ、わたくしはケントリプスを待ちます。ケントリプスが来たらこうして、ああして……と脳内で幾通りもの動きを考えていると、ルイポルトやエルーシアの声が聞こえてきました。
……わたくし達に到着を知らせる意図があるのでしょうけれど、いつもより少し声が大きい気がしますね。
自然に……と思うあまり力が入っているのかもしれません。わたくしが軽く手を挙げると、護衛騎士達が足音を立てないように扉の前に待機します。彼等にはケントリプスが入ったら扉と鍵を閉めるという重要な仕事があるのです。
コルドゥラがわたくしを見ながら自分の眉間を指先で軽く叩き、表情が険しくなっていることを伝えてきます。わたくしはそっと眉間を押さえた後、ゆっくりと深呼吸して笑顔を作ります。
カチャと音がして扉が開きました。
「まぁ……。では、ケントリプス様はもう研究を終えたのですね」
「嫁盗りディッターがある以上、研究に時間をかけられません。私は他領からの情報を得る方を重視したくて……ハンネローレ様?」
「あれ、ハンネローレ様?」
会議室に入ってきた三人が部屋の奥にいるわたくしを見つけて足を止めました。エルーシアとルイポルトもわたくしの座っている位置や椅子などが違っていることに驚いたような声を上げています。
不審そうに眉を寄せたケントリプスはわたくしが想定していた通りの表情で、思わず小さく笑ってしまいました。
「ごめんなさいね、エルーシア。わたくし、ケントリプスに一つ尋ねたいことがあるのです。それほど時間は取らせません。先にお話をしてもよろしいかしら?」
一応ケントリプスを誘ったのはエルーシアなので、彼女に伺う形でケントリプスを招きます。この先の詳細をエルーシアとは打ち合わせていないので、彼女は少し戸惑ったようにケントリプスの様子を窺いました。
「わたくしは構いませんけれど……」
「エルーシアがよければ、ハンネローレ様のお話を先に伺います」
側近が呼び出したところにわたくしが便乗したように見えたのでしょう。ケントリプスはエルーシアを置いてわたくしに近付いてきます。
……笑顔、笑顔。
わたくしは緊張感を漲らせないようにできるだけ呼吸をゆっくりにしながらケントリプスとの距離を測ります。
……あと三歩、二歩、一歩。
「ケントリプス」
思ったところで立ち止まった彼に呼びかけながら、わたくしはお願い事がある時と同じように見上げました。それから、内緒話がある時と同じように軽く袖を引きます。
「今日は何のお願いですか?」
会議室に入ってきた時には不審そうな顔だったのに、ケントリプスはフッと灰色の目を緩ませ、跪くために視線を下げて腰を落とします。高い位置にあった淡い緑の髪がわたくしの目線に近付いてきます。
……今です!
三度目ともなれば慣れたものです。わたくしは椅子を蹴るようにして勢いよくケントリプスに飛びつきました。
「なっ!?」
ケントリプスが息を呑んだのがわかりました。直後、ドンという衝撃と共にケントリプスの腕がわたくしの頭をグッと抱え込みます。
……待ってください! 想定と違います!
ヴィルフリート様は驚いて硬直している間に押さえ込めたのですが、ケントリプスに抱き込まれるとわたくしが思った通りに動けません。
……腕、腕を退けてくださいませ!
「ハンネローレ様、お怪我は!?」
わたくしの様子を確認するために即座に動こうと腕の力を緩めたケントリプスの胸を押し、わたくしは体を起こします。即座にシュタープを出し、光の帯でケントリプスの腕を動かせないように封じました。
少し想定外でしたが、まだ大丈夫です。ここで失敗するわけにはいきません。腕を縛り上げ、押さえ込んで抵抗できなくなったケントリプスを見下ろせば、焦りを含んで見開かれていた灰色の目が怪訝なものへと変化していきます。わたくしはひとまずの成功にホッと息を吐きました。
「さぁ、ケントリプス。わたくしに求婚の条件をくださいませ」
「……ハンネローレ様、頭は大丈夫ですか?」
自分と側近達の関係を真剣に見直さなければならないと痛感したハンネローレ。
側近達の協力によりケントリプスの捕獲に成功しました。
意味がわからないと怪訝な顔になっているケントリプスから求婚の条件を得られるのか。
次回は、求婚の条件です。




