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階段から転落して思い出しました!89歳まで生きた私、今度の人生は異世界で半島領の次女です  作者:


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甘さの正体と浮かぶ疑念

ほぅ〜。これが浮桟橋、ってやつか。


試作品だからまだ仮設置だが、思ったより安定している。

波に合わせてゆっくりと揺れるが、不安定さは感じない。


「成る程な。小さな“浮かぶ床”を繋げて沖合まで延ばす、か」


確かにこれなら港は要らない。

大規模な石組みも、桟橋杭も不要。

しかもこの浮力……多少重い荷を載せても、びくともしないだろう。


問題は距離だな。


「あの停泊船まで届かせる必要?」 


「いや……恐らく半分でいい」


「最初は海底の地形が分からなかったから、安全を取って沖合に停めさせた。だが小舟で何度か行き来した時に、おおよその深さと底質は確認できた。半分の距離で十分だ」


「となると……あと四十枚もあれば足りますね?」


「そうだな。それで問題ない」


「では早速、製作を進めます。出来次第、設置へ」


「よろしく頼む」


そう言いかけたところで――


「ちょっと待ってくれ!!」


振り返ると、沖合の船から旗が振られていた。

……手旗信号?


この世界にもあるのね。


内容を読み取ったアステリアが頷く。


「伝わった。後で小舟が一隻来る。それと、あの船は一度国に戻す。必要な人材と装備を揃えて戻って来させる」


「早いわね」


「一週間もあれば余裕だ」


成る程。行動が早い。いや、早過ぎるくらいだ。



コンコン!


「お茶をお持ちしましたので、こちらに置いておきますね」


「ありがとう、ミュネさん」


ミュネが下がると、爺がすっと前に出る。


「では、私めがお茶を……」


――ん?


爺の動きが止まった。


「……これは?」


「何?」


視線の先。盆の上に、小さな瓶が置かれている。


透明な瓶。中身は――白い結晶。


「……砂糖、ですな」


「え?」


「それも……この量」


私は思わず眉をひそめた。


「ちょっと待ちなさい。何この量。……まさか、お茶に入れろって事?」


「恐らく……」


昨日は、私が来たから張り切ったのだと思っていた。ケーキに大量の砂糖を使ったのも、特別なもてなしだと。


でも――


「これ、常備品よね?」


「まさか……」


爺も言葉を選びながら続ける。


「日常的に、使っている……可能性が高いかと」


……冗談じゃない。


砂糖よ?この世界で、嗜好品どころか戦略物資に近い代物を。ケーキだけじゃない。

お茶にまで?


港もない、人口も多くない、見た目は平凡な男爵領。なのに――


「……やっぱり、この領地」


「何かがおかしいわ」


静かに、だが確信を伴って。

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