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妖精姫は緊張する

更新遅れ気味ですみません。

 ユークレースは、これ以上はないほど緊張していた。


 だから、執事と名乗る少年が登場した時も、まともに挨拶もできなかった。


 カーネリアンの気遣う気配だけが頼りだった。


 自分と同じ年の相手でこれだけの醜態ぶりなのだから、結婚相手となる侯爵となんてまともに視線をあわせることすら出来ないのではないか。


 ユークレースはもういっぱいいっぱいになっていた。


 だから、まるで、狸、をそのまま人間にしたような、その姿を見た時は、つい思ったことをそのまま口にしてしまったのだ。


 狸さん、と。


 言われた相手もカーネリアンも執事の少年も驚いただろうが、何よりユークレース本人も驚いた。


 もう、これは、失神して逃避してもいいだろうか。


 うん、そうしよう。これ以上墓穴を掘る前に。


 いつもごめんなさい、カーネリアン。


 後は、お願い……。


 と、いつもの習性でそのまま意識を飛ばしそうになったその時、ユークレースに狸と呼ばれたその人は愉快そうな笑い声を上げた。


 それも、心底おかしそうに。


 その様子に、一気にユークレースは平常心を取り戻す。


(何て、あたたかい雰囲気の方なのかしら……)


 突き出たおなかが笑うたびに、ぼよんぼよんと揺れるのは、何ともコミカルである。


 その笑い声も、優しそうな人柄が滲み出ている。


 別に一目惚れと言うわけではまったくないが、この人相手なら結婚してもうまくやっていけそうかも。


 ユークレースは自身は妖精と呼ばれる美貌を持ってはいたが、面食いではまったくなかった。


 というより、コミュ障の患いが酷過ぎて、容姿の選り好みをする領域まで意識がいかないのだ。


 結婚してもやっていけそう。


 そんなユークレースのわずかに抱いた希望、それはすぐに勘違いだと知れた。


 狸さんことラリマー・ヘリオドールは結婚相手の侯爵の叔父であって本人ではない。


 少しがっかりしたものの、気を取り直した。


 狸さんの甥なら子狸さんの可能性は高い。


 であれば、きっと、もしかしたら、たぶん……。


 

 ヘリオドール侯爵との対面までは、あともう少し。


 


 

でもこの話、更新スピードあげられないと思うのでよろしくお願い致します。

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