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昼休憩3、ミルファと日記

(同じ顔が二つ…双子か…? 双子だよな。うん。

 こいつらもパイロット候補生なんだろうか…

 今度はなんなんだ。)


「同じクラスのトロイとデュロイよ。」


挿絵(By みてみん)


 リコが小声で教えてくれる。


「おまえら、そんなチビで片目の新入りに

 かまってる暇があったら、

 次の実機授業の準備したほうがいいんじゃないか。」


 リコ、


「その言葉そっくりそのままお返しします。」


「ふんっ、いくらお勉強が出来たって、

 最後にはライデンシャフトの操縦が

 モノを言うんだ。」


 双子の片割れは黙ったままだ。


「……」


「おい、そこのチビ、

 どんなコネを使ったのかしらないけど、

 ここアルレオンは実力主義、

 たっぷり思い知らせてやる。

 そうだトロイ、お前からも何か言ってやれ。」


 ”トロイ”と呼ばれた双子のもう一人は、


「えっ、何で俺が…、

 めんどくせぇなー。」


 この会話にまったく興味がなさそうだ。


 デュロイ、


「めんどくさいって、

 お前…。」


「わかったよ兄貴、

 何か言えばいいんだろ、

 ティターニア…って言ったっけ。」


 この一連のやりとりで、

 トロイは初めてオレたちを見た。

 

「ここへ来た事、後悔させてやるよ。」


 その瞳は、氷を思わせる冷ややかさだった。


「………」


 黙り込む、オレとリコたち。


「トロイいくぞ。」


 デュロイが言うと、二人はその場を去った。


 二人が去ると、フルムが口を開く、


「あの二人は、クラヴィッツ・ツインズの

 デュロイとトロイであります。

 赤い髪の方がデュロイで、

 青みがかった銀髪の方がトロイ。」

 

「二人も1年飛び級で、3回生クラスへ、

 編入してきたんですよ。」


 サーヤの解説に、


「天才的な操縦技術よ二人とも、

 性格は最悪だけどね。」


 リコがすかさず付け加える。


(オレと同じ飛び級…。

 実力主義ってのは本当なんだ。

 じゃあ……。)


「あの……、

 出来ればすぐに学校を卒業して軍へ、

 配属されたいんですけど。」


 オレは早速、自分の計画を三人へたずねた。


「……。」

「……。」

「……。」


 三人はオレの話を聞いて、

 固まってしまった。


 そして、


「…すぐに卒業して。」

「…軍へ。」

「…配属!?」


 リコ、フルム、サーヤは、

 息の合った連携で、

 オレの話を繰り返した。


「で、出来ませんかね?」


 オレはもう一度たずねた。


「出来ないことはないけど…、

 相当難しいと思う。」


 最初に答えてくれたのは、

 リコだった。


 フルムも、


「何年かに1人出るかどうか

 でありますよ。」


 難しそうな表情だ。


「………。」

「………。」

「………。」

「………。」


 オレのせいで微妙な沈黙が生まれてしまった。


「あーー!?

 みなさん、

 早くご飯食べないと、

 昼休み終わっちゃいますよ。」


 沈黙を破ったのはサーヤだった。


(そうだった、昼飯だ!)


 オレは早期卒業のことを、

 一旦頭の片隅に追いやって、

 まず目の前のポタージュ風のスープを口にする。


「あ………味がない…。」


 驚くほど無味だ。


 しいていうならただの塩味。


 気を取り直して、

 次はずっしり重いパンを食べる


「………か、かたい…。」


 今度は信じられないほど堅かった。


「…この学校の食堂はですねー、」

「その日のランチがなくなると、」

「軍で遠征時に食べられてる携帯食を配るのであります…。」


「だ…だから、みんな急ぐんだ…。」


「これでわかったでしょ。」

「…はい…」


 明日からは、何としても早く食堂へ行こう、

 とオレは自分に誓うのだった。







――オルレアン軍学校・男子寄宿舎――


 学生たちが授業を受けている頃、

 リゼル・ティターニアの保護観察官となった、

 ミルファ・ダリオンはオルレアン軍学校男子寄宿舎の前にいた。


「男子寄宿舎か…。」


 ミルファは軍の規則に従って

 リゼル・ティターニアの荷物を、

 検閲チェックしなければならない。


 しばらく建物の前でうなっていたミルファだったが、

 観念して建物に入る。


「あーあ、めんどくさ。

 面白そうだからこの任務引き受けたんだけど、

 こんな地味な作業を私がやんなくちゃいけないなんて…」


 ミルファは寮長に案内され、

 リゼル・ティターニアの部屋に通された。

 

「へー、思ったよりきれいじゃん」


 部屋は2人部屋、ミルファが想像していたような

 男臭い汚部屋ではなかった。


 片方のベッドや机は、すでに使われていたが、

 キチンと整理整頓されている。


 もう片方は、まだ荷物がなく空っぽだ。


 リゼル・ティターニアの荷物は、

 空の机の上に置かれていた。


「荷物っていったってほとんどないじゃん、

 小さなかばんに、古ぼけた本でしょ…」


 ミルファは中を検めようと、

 古ぼけた本を手に取った。


「…!?」


 しかし、すぐに手を放す。


「な…なに、これ…。」


 ミルファは、もう一度古ぼけた本を手に取る。


「…!!!」


 古ぼけた本には、

 ミルファが驚くほどの魔力が込められていた。


「ちょ、ちょー…面白いじゃん!!!」







──────────────────

魔導機兵・パイロット候補生

挿絵(By みてみん)

左 デュロイ・クラヴィッツ(兄)

右 トロイ・クラヴィッツ(弟)


魔導機兵操縦科リンドブルム3回生


軍学校・最強の双子





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