昼休憩2
「あ!!フルムとサーヤだ。」
そう言うと、リコは声のした方へ向かう。
そこでは女の子二人が昼飯を食べている。
(い、いきなり、女子高生3人と食事!?
ハ、ハードル高め…)
二人のいるテーブルにつくと、
すぐに女の子に話しかけられる。
「ティターニア君も一緒なんだー。」
「は、はい、ご一緒してもいいですか…?」
「どぞどぞどぞ。」
もう一人も気さくに声をかけてくる。
レリウス教官の時とは違う緊張が走る。
リコ、
「じゃ、二人を紹介するよ、
同じ選抜クラス《リンド・ブルム》の、
眼鏡をかけてるのがフルムで、
背の高い方がサーヤ。」
「フルムリム・カンタルであります。
以後、お見知りおきを。
どうぞ、フルムと呼んで下さい。」
顔の大きさとやや不釣り合いな、
大きな四角メガネをかけた女の子だ。
「初めましてー、サーヤ・ティロ―ロでーす。
みんなからはサーヤ、って呼ばれてまーす。」
次の女の子は未来の軍人とは思えないほど、
スローテンポな話し方をする。
サーヤ、
「私たちはティターニア君のこと何て呼べばいいですかー?」
「え…。」
(そういや、自分の名前のこと、
これまで気にしたことなかったな。
今さら、リゼルって呼ばれても、ピンとこないし…、
かといってヒビノタツヤとも言えないし…。
ほとんどの人は《ティターニア》って呼ぶから、
それでいいか。)
「そのまま、ティターニアと呼んでください。」
「オッケーでーす!」
「ふーん、リゼルじゃないんだ。」
「ま、呼ばれなれた名前が1番でありますよ。」
「さ、3人は友達なんですか?」
オレは自分でも思いがけず質問をしていた。
「友達!?」
3人は顔を見合わせる。
「あははは!!」
リコ、
「まぁ、友達と言えば友達よね。」
サーヤ、
「そうですねー、
あまり、考えたことなかったですねー。」
フルム、
「私たち三人は幼なじみ、
三人とも王国東部サンベリー州出身なんです。」
サーヤ、
「そうそう、まさか3人揃って、
オルレアンに入学できるとは、思わなかったですよねー。」
リコ、
「そう、私は当然だと思ってるけど。」
フルム
「出た!リコの自信過剰発言!!」
リコ、
「ちょっとヒドくない!自信過剰って。」
サーヤ
「そうですよー、リコは自信過剰っていうより、
ちょっと調子に乗りやすいだけだと思いますよ。」
「あのね、サーヤ…、それフォローになってないから。」
「そうですかー。」
(な、なんなんだこの展開…、
まぁ、変に気を使わなくてもいいみたいだ。)
オレは少し気が楽になった。
「あの、ティターニア君の出身は?」
(わっ!急にオレ!?)
「え、えーと、
確か…シャペル村…という小さな村です。」
「シャペル村…??」
フルムとサーヤは同時に口にする。
「確かレイクロッサの辺りじゃなかった?」
「うっ、さすがリコ…、
校内トップの成績は伊達じゃない。」
「すごいですね~。」
リコ
「ところで、ティターニア君、今いくつ?」
「1…6です。」
「16、じゃあ飛び級なんだ」
フルム、
「すごいであります…。」
サーヤ、
「ここに来る前はどこの学校に行ってたんですかー?」
(今度はオレへの質問攻めか!?
そういやリゼルの記憶を探っても、
学校の記憶ってないんだよな…)
「えっ…えーと、学校には行ってないと思います…。」
「えっー!!!」
「ちょ、ちょっとフルム、声が大きいよ。」
「ゴ、ゴメン。」
「だけど、学校も行かずに、このオルレアンに編入って…」
しかも、兵科一般クラスじゃなくて、
パ、パイロット選抜クラス《リンド・ブルム》ですよ、
これが驚かずにはいられましょうか。」
「そ、そうですよね、何か特別な事情があるんじゃないですかー。」
リコ
「どうやってオルレアンに編入できたの?」
(…やっぱり、そこ普通気になるよな。)
――回想、オルレアンへの旅の途中・馬車の中――
アーノルド軍曹、
「ティターニア、将軍から伝言を預かっている。」
「将軍って、あのヒゲの…」
「ゴホン!サンダース・ヒル中将だ。」
「あ、そうでした。」
「以後気を付けたまえ。
その伝言だが、
オルレアン編入の件を誰かに聞かれた時は、
「<将軍からの推薦>と答えるように、とのことだ。」
「はい、誰かに聞かれたら
《サンダース・ヒル将軍の推薦》と答えるんですね。」
「うむ、伝えたぞ。」
「わ、わかりました。」
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オレは言われた通り答える。
「サンダース・ヒル将軍の推薦です。」
「……。」
「……。」
「……。」
「「「え”え”え”―――――――――!!!!」」」
オレの答えに3人はこの日一番の驚きをみせた。
リコ、
「サ、サンダース・ヒル将軍…あのサンダース・ヒル将軍?」
「はい…」
フルム、
「べ、ベルディア公の推薦…!!」
3人は互いに顔を見合う。
サーヤ
「そ、そうなんですかー。」
なんだか急に変な空気になった。
そこへ、
「いたいた、よう新入り!
女子に囲まれて楽しそうだな。」
同じ顔をした二人組が現れた。
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魔導機兵・パイロット候補生
左 サーヤ・トゥロ―ロ
右 フルムリム・カンタル
魔導機兵操縦科3回生




