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昼休憩

挿絵(By みてみん)




 ――オルレアン軍学校・昼休み――



 昼休み、オレは昼飯を求めて、

 食堂を目指すも、

 巨大な学校の中で迷子になった。


 オレはバカでかい校内を歩き回る。

 

 そして、これまたバカでかい図書室の前で、

 足を止めた。


(はぁ、また外れだ…。

 チックショー!!

 いったい食堂はどこにあるんだよ…。)


「あれ…。」


 そこで、オレは不意に声をかけられる。


「ティターニア君!?

 こんな所で何してるの?」


 声の主はリコ・アフィデリスだ。


「えっ、あ、あの、食堂に行こうと思って…。」


「食堂!?…食堂なら、建物の反対だけど…。」


「あっ、あははは、そ、そうだよね。

 そうでしたね、反対だよね…。」


(やっぱりか…、我ながらひどい方向音痴ぶりだ。)


「あ、あのぉ、アフィデリスさんは…ここで何を?」


「私??

 私は図書室でちょっと調べもの。」


「調べものですか…。」


(さすが学級委員、真面目だなぁ。)


「そういえばさ、ティターニア君って、

 学校に来たばっかりだったら、

 まだ学校の中、よくわからないんじゃない?」


「は、はい。」


「ホンットこの学校、無駄に大きいのよね。

 よくわかんない教室もたくさんあるし。」


(確かに…変な部屋がたくさんあった。)



「いいわ、食堂まで案内してあげる。」



「あ、ありがとう。」


(…出来れば最初から案内してほしかった。)


 オレは頭を下げる。


(ふーん、授業中と違って、

 普段は普通の女の子って感じなんだ、

 しゃべり方もさばさばしてるし。)



 オレはリコ・アフィデリスにくっついて、

 今度こそ食堂へ向かう。


「……。」

「……。」


 黙々と歩く学級委員、ついていくオレ。


「……。」

「……。」


(こういう時、気の利いた話でも出来たら、

 すぐに仲良くなれるんだろうな…、

 はぁ、それがなかなか難しい。)


 オレは思い切って話しかけてみる。


「…あの」

「そうそう、私の事、リコでいいから。」


 が、作戦は失敗に終わる。


(う…、うまくいかないなぁ。)


 そうこうしているうちに、

 賑やかな声が聞こえてくる

 食堂へ到着。


 大きな食堂は生徒であふれかえっている。


「すごい人数…。」


「うちの学校、生徒数王国1だから。」


 オレはリコの後について料理をもらう列に並ぶ。


(あ、やっべ…オレ金もってないんだ。)


 オレは焦って、


「ちょ、ちょっと…。」


 リコに声をかける。


「どうかしたの、

 お盆をもってここに並んで、

 それから配膳口で料理をもらうのよ。」


「言いそびれたんですけど…」


「??」


「…今、オレお金持ってないんです…」


「あー、そういうこと。

 お金なんていらないから。」


「えっ、お金いらないんですか?」


パイロット候補生(リンド・ブルム)は食費免除、

 名前と学籍番号を言えばいいの。」


「!?」


(ラッキー!パイロット万歳ー!!)


「ただ、この時間だとね…」


「この時間…?」


「料理は期待しないでね。」


「ただでご飯が食べられるんなら、

 ぜ、ぜいたく言いません。」


「はい、次の人!!」


 食堂のおばちゃんがオレを呼ぶ。


「あ、自分は、リゼル・ティターニア。学籍番号は…、」


 (えーと、どこやったけ…。)

 

 オレは職員から渡された学生証を探す。


 ”早くしろよ”と言いたげな、

 周りにいる学生たちの視線に、

 オレは焦る。


「あれ、このポケットに入れたはずなんだけど…

 ない、こっちだったかな、いやこっちかな…。」


 オレが諦めかけた時、


「あ、あった!」


(いやぁ、ビビった。)


 よりによって、一番最初に探したポケットに入っていた。


「えーと、F-760442です…」


 おばちゃんはオレの学生証をじっくりのぞき込む。


「あら、この名簿には載ってないわね。」


「彼、今日編入してきたんです。」


 すかさずリコがフォローしてくれる。


「そうなの、それならしょうがないわね。

 どうりでみない顔だと思ったわ。

 それよりあんた、その目大丈夫?」


「は、はい、大丈夫です。」


 オレは笑顔で答える。


(どの世界でも、おばちゃんは…すげぇな。)


「はい、たんと食べなさい。

 大きくなれないよ。」


 おばちゃんはパンと牛乳をお盆に乗せ、

 なみなみとスープを注いでくれる。


 それを見たリコは、


「あ、そんなにいっぱい…」


「あなたも欲しい?」


「あ、いえ、そういうわけじゃ。

 私は少しでいいです。」


「あら、そう」

 おばちゃんはリコの器にスープを少しだけ入れた。


 昼飯をもらうと、リコは食堂を見渡す。


「どこ座ろっかな。」


 すると、


「リコ!!こっちこっち!!」


 少し離れた席から声がした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] リコさん、あえうがとうございます。助かりましたね。 食べ放題はいいですねー! …太りそうですが笑
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