美少女現る
お待たせしました。ようやくイラストの女の子が出てきます(*'ω'*)
────フィレリア王国・アルレオン・王立軍学校────
オレたち一行は、
アルレオン軍付属学校に到着。
そこで簡単な入学の挨拶を済ませると、
オレはアーノルド軍曹、ビム伍長と別れた。
アルレオン軍付属学校での、
新しい生活が始まろうとしていた。
ところが、オレは学校の授業を受ける前に、
街のお偉いさんの出迎えをすることになってしまう。
そのお偉いさんというのが、
どうやらオレの新しい保護観察官|(監視役)と、
関係あるみたいなんだけど…。
────王立アルレオン軍付属学校・敷地内────
オレは軍学校の大人達の後ろについて、
出迎えに向かった。
軍学校の敷地内は、
見慣れないものがたくさんある。
オレはキョロキョロとよそ見しながら、
大人たちの後をついてゆく。
(それにしても、すげー銅像の数だな…。)
敷地内のいたるところに銅像が建てられていた。
剣を掲げたひげのオッサン、
騎士風の甲冑をまとったひげのオッサン、
裸で腕組みをするひげのオッサン、
いろんなひげのオッサンが立っている。
(…全員……ひげ…。)
オレは、リゼルの顔に髭をつけた姿を想像してみた。
(………。)
バカな想像をするオレに構うことなく、
出迎えご一行隊は、
黙々とオレの前を歩く。
(次の保護観察官か、、
いったいどんな人なんだろうな…?
学校の人たちが、
大勢で出迎えに行くような人物ってことは、
すごい家柄の御曹司、
貴族とかなのかな…。)
そんなことを色々考える。
道中、学校の敷地には、
銅像以外にも様々なものが置かれていた。
(移動砲台に…投石器、
あっ!
バリスタ(大型弩砲)だ…。
ゲームで見たことある、
はしご型の攻城兵器もある。)
オレは歩きながら、
実際にそれらの兵器に触れてみた。
(この感じ…、
レプリカじゃなさそう…。)
兵器の奥には、
焦げた焼け跡の残る石組みの砦が見える。
オレの想像が正しければ、
生々しい戦争の痕跡は至る所に存在した。
「…あれ!?」
気が付くと、
オレの前を歩いているはずの大人たちの姿が、
見えなくなっていた。
オレは慌ててあたりを見回した。
「………!!」
だけど、人の気配はない。
「…や……やっちゃった……、
…オレ…迷子になった。」
体から一気に汗が噴き出す。
(………ふぅ………、
とにかく落ち着けオレ、
焦っちゃダメだ、
はぁ……ふぅ………。)
オレは深呼吸をした。
(……そうだ!!
オレにはアーノルド軍曹からもらった、
地図があるじゃないか。)
オレは、上着からオルレアン軍学校の地図を取り出し、
芝生の上に広げた。
(………!?)
地図を広げたまでは良かった、
(……そうだった。)
オレは天を仰いだ。
(ここがどこなのか、
それが…、わからないんだった。)
オレは、今自分がいる現在地がわからなかった。
この場所が地図上だと、
どこになるのか、尋ねようにも、
辺りに人は見当たらない。
(………はーぁ……。)
オレは大きなため息をつき、
(…とりあえず、歩くか。)
自分のカンを頼りに歩き始めた。
一方、リゼル・ティターニアに先行していた軍学校の教師や事務員たちは、
「おい、ティターニアはどうした。」
「え、後ろにいませんか?」
「いないから、聞いているんだ!!」
「あっ……いません…ね…。」
「『あ、いませんね』じゃないだろ!!手分けをして探せ!!」
自分たちの後ろを歩いていると思っていた少年の姿がないことで、
ちょっとした騒ぎになっていた。
(ん~どうしたもんかな~。)
オレは歩きながら考えた。
(これってチャンス!?
このまま逃げちゃえば…。)
オレの頭にそんな考えがよぎる。
(でもなー、金は無いし…、
最悪の場合……銃殺……。)
オレは大きく頭を振った。
(いやいやいや、
いったん逃げることは忘れよう。)
オレは、そんなことを考えながら、
なんとなく近くに見える建物を目指して歩いた。
しばらく歩くと、
オレは黄色いレンガ造りの建物群の中に入った。
(あ~、うまそうな、いい匂い!
そういや、腹減ったな…。)
オレは、今いる場所のことをすっかり忘れ、
匂いにつられるままに足を向けた。
あたりに肉や野菜、魚介を焼く香ばしい匂いや、
香辛料の魅惑的な香りが漂ってくる。
(うわ~うまそ――!!)
そこには、屋台や、オープンテラス、店先販売など、
たくさんの飲食店が立ち並んでいる。
(へ~、けっこういろんなお店があるんだ…。)
その中でも、オレは”ドラゴン”と、
大きく書かれた看板の店先の前に来た。
(何の店だろ…?)
看板には文字だけでなく、
”ドラゴン”のイラストも描かれている。
(ドラゴン…?
って、あの…ドラゴン!?)
店先に小さな屋台が出ていて、
太ったおじさんが、
熱心に串に刺した肉を焼いたり、
せんべいのようなものを揚げたりしている。
(ドラゴン……の肉!
食べてみたいけど…
オレ、今金持ってないんだよな…。)
オレは無いとわかっていても、
制服のポケットを探ってみた。
「君、パイロット候補生だろ!!」
店の前で立ち止まっているオレに、
店のおじさんが声をかけてきた。
「それにしちゃあ、ちっちゃいな。」
オレは突然話しかけられ、
どうしていいかわからず、
とりあえず軽く会釈を返した。
(このおじさん、
なんでオレがパイロット候補生だって、
わかったんだ?)
「おいおい、そんな不思議な顔しなくてもいいだろ、
パイロット候補生の制服は、
他の学生のと違うんだ、すぐわかるってもんよ。」
(へーそうなんだ…、
この制服……、
パイロット候補生のなんだ…。)
オレはあらためて自分の着ている制服を見た。
「どうだい一つ!」
おじさんはそう言って、
串に刺した肉を、
勢いよくオレに差し出す。
「いや…あの…、
オレ、お金ないんですけど…」
「お金!?
いいよいいよ!
今回はおじさんのおごりだ、
未来のパイロットさん。」
おじさんは満面の笑みでさらに勧めてくる。
オレは、少しためらったが、
おじさんの勢いと、香りの誘惑に負けて、
肉の串を受け取った。
おじさんがじーっとオレを見つめる。
(もらったからには、
食べなきゃ失礼だよな…。)
オレは勢いよくかぶりついた。
「…!?」
肉汁が口にあふれ出る。
「う、うまい!!!」
オレは無意識に感想を口に出した。
肉はギュっと旨味がつまってて、
驚くほど柔らかかった。
肉自体の味も美味しかったが、
ハーブやスパイスが肉のうまみを引き出していた。
あっという間に完食してしまった。
「おー、いい食いっぷりだね!!
じゃあ、こいつも一つ。」
おじさんは、さらにせんべいのようなものを差し出す。
今度は遠慮せず受け取った。
オレはもらったせんべいも勢いよく食べる。
今度のはスナック菓子のような食感と、
香ばしいスパイシーな味付けだった。
「パリパリしてて、これもうまい!!!」
「はっはっはっ、そりゃ何よりの誉め言葉だ!」
おじさんはご満悦だった。
(あっ……、
あ────っ!?
オレ……、
ここで食レポしてる場合じゃなかったんだ…。)
小腹が満たされたオレは、
本来の目的を思い出した。
「あ、あの、おじさん。
オレ、マルティーノ広場に行きたいんです。」
「マルティーノ広場……?
………ああ!!
中央広場か。」
おじさんはエプロンで手を拭きながら、
調理場から出てくると、
「えーとほら、あの建物の向こうに、
ライデンシャフトの頭が見えてるだろ。」
通りの反対側を指さした。
「あそこだよ、ライデンシャフトが広場の目印だ。」
おじさんの説明によれば、
目的地はここからすぐ近くだった。
「あ、ありがとうございます。」
「いいってことよ。」
オレはお礼を言って、
マルティーノ広場へ向かった。
オレは教えてもらった、
目印を頼りに広場へ急いだ。
進むにつれ、
目印のライデンシャフトが、
だんだん大きく見えてくる。
(あっ…そうだ……、
はぐれたこと…怒られるかな、
途中で間食もしちゃったし、
…はぁ…なんてあやまろう……。)
オレはこの後起こるであろう事態を想像して、
憂鬱になる。
足取りは自然と重くなった。
オレはなんとかマルティーノ広場の入り口へやってきたものの、
気分は逃げ出したくなっていた。
(…行かなきゃ、ダメだよな…。)
オレは暗い気分で広場へ入った。
待ち合わせ場所に指定された、
マルティーノ広場には、
5機のライデンシャフトが立っていた。
(見たことある機体もあるし、
知らない機体もある…。)
オレはすぐに、
(この広場のこと知ったら、
リゼルきっと悔しがるだろうな。)
リゼルのことを思い浮かべた。
(違う違う、
今はそんなことより……。)
オレはざっと広場を見渡し、
(軍学校の関係者、関係者と。)
待ち合わせの状況を確認する。
(まだそれっぽい人たちは、
着いてないみたいだ。)
この後どうなるかは分からないが、
ひとまず、すぐ怒られることはなさそうだ。
とりあえずオレは、
軍学校の関係者がやって来るまで、
ライデンシャフトを見て回ることにした。
まずは、入口に一番近いライデンシャフトだ。
(初めて見る機体だ…、
何ていう機体だろ、
こういう時リゼルがいてくれたらなぁ。)
オレの目の前に立つ機体は、
背中に大きな大砲がついている。
(きっと、何とかキャノンって名前かな、
ガ〇キャノンとか、ザ〇キャノンみたいだもんな。)
オレはあらためて、
初めて見る機体をじっくり観察する。
(そういや、こうやって機体ちゃんと見るの、
初めてかも。)
オレは徐々にテンションを上げながら、
まず、機体の足元に注目する。
(へー、関節部分とか、実際こんな風になってんだ。
あれが、脚部スラスターか…)
オレが熱心にライデンシャフトを見ていると、
オレの頭上から女の子の声が聞こえてくる。
「この子は、
メトシェラMKⅢ・ルーンパイクカノン(長距離支援機)
主に長距離支援攻撃で活躍したんだ。」
オレは突如現れた女の子の解説に、
(な、な、なんなんだ…急に…。)
戸惑いを隠せない。
この展開に驚くオレを無視して、
女の子は解説を続ける。
「ほら、見て見て、あそこ!
脚部に高機動用のブースターが追加されてるでしょ。
あれは長距離支援タイプで、
唯一この子にだけ実装されたんだ!
この子はね、特別なカスタム機なんだよ!!」
後ろにいた女の子は、
オレの隣に移動しながら、
機体の脚部を指をさす。
「そして、このカスタム機こそ、
王国軍伝説のエースパイロット、
”青の衝撃”リンド・ブルム様の専用機。」
(あ、あのぉ…、
急に”青の衝撃”とか、
リンド・ブルム様とか言われても…、
そもそもあんた一体誰なんだよ!?)
オレは目の前のライデンシャフトから、
隣の女の子に視線を移す。
(あ…あ、あわわわわ!!!)
そこには、
くっつくぐらいの距離に、
かわいい女の子の顔があった。




