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死刑宣告受けました3

───王都・王国軍中央基地本部・軍事小法廷───


「───以上、これらの罪状により、

 ”死刑”を求刑いたします。」


 中年の検察審問官が、淡々と求刑を告げた。


(はぁ、やっぱりか…。)


 事前にこうなると、

 わかっていたとはいえ、

 改めて”死刑”をはっきり聞かされると、

 やはりショックだった。


「次は、弁護人、最終弁論があればしたまえ。」


「いえ、ありません。」


(え───っ!!全く弁護してくれないの!?

 ゼロ弁護!!ホントに、形だけのお飾りなんだ…。

 くっそー、だったらオレが…。)


 オレは決心し、

 立ち上がった。

 

 そして、この場にいる人たちへ、

 訴え始めた。


「あのー、ちょっとよろしいでしょうか。」


「「「!!!」」」


 この場にいる全員が、

 いきなりしゃべり始めたオレに注目する。


「死刑というのは、やっぱり重すぎませんか、

 多少減刑を考慮してもいいと思うのですが…、

 それなりの活躍もしたみたいですし、

 グレアム少佐の証言があれば、

 絶対わかってもらえると思います。」


「ちょっと、ティターニア君!!」


 デア中尉が慌ててオレの口をおさえ、

 そのまま座らせる。


「いきなり何してんの…!!!」


カンカンカン!!!


「被告人!!、

 勝手な発言は慎むように!」


 裁判官はガベルを鳴らしながら、

 オレを注意する。


 デア中尉は小声で、


「君ね…、ここがどこかわかってるの!?

 村の集会じゃないんだよ!」


 言った。

 

 オレも負けじと、


「…だって、

 誰もオレの弁護をしてくれないから…。」


 言い返す。

 

「だからそれは…、散々説明した通り、

 この事件は、私のチカラで、

 どうこうできる事件ではないんです。」


 中尉はキッパリと言い切った。


 オレは天を仰いだ。


(はぁ、何で、オレ、死刑なの…。

 オレ、帝国機撃墜して、

 この国のピンチ救ったはずなのに…。

 そうだよなリゼル…。)


 顔を下ろすと、

 裁判官、検察審問官、

 陪審官、傍聴席にいる軍人達、

 この場にいる全員が、

 オレを見つめていた。


(あー、すごい疎外感、

 完全アウェーってわけだ…。

 もうどうにもならないか、

 泣けてくるな。)


「以上をもって、論告求刑を終える。

 今裁判はこれをもって結審を迎えるが、

 被告人、最後に言い残すことはありますか?

 ただし、場をわきまえて節度を持ち話すように。」


 裁判官にうながされ、

 オレは最後の訴えをするために、

 立ち上がる。


 そして、


「こんな裁判、絶対認められません!!!

 だいたい、こんなかわいい少年を、

 死刑にするなんてどうかしてます!!

 子供にだって人権はあるんだ!!!

 死刑反対!!!!死刑反対!!!!

 冤罪だー××…、××情状酌量は××」


 オレは叫んだ。


 今度は、デア中尉ではなく、

 オレの後ろにいた、

 軍服を着たいかつい軍人たちが、


「黙れ!!」 


 オレをおさえつけ、

 口をふさぐ。


「ティターニア君!!!」


 デア中尉が男たちに割って入り、


「離していただいて、大丈夫です、

 あとは自分が。」


 デア中尉のおかげで、

 男たちは離れ、

 オレは自由になった。 


 その瞬間、


「ふざけんな!!!

 グレアムのバカヤロー!!!

 フ〇△×ユー…ピ────。サノ〇×△…」


 オレは思いつくかぎりの暴言をはいた。


 再びオレは、

 デア中尉に口をふさがれる。


 オレは、泣きながらわめき続けた。


(このまま死刑になるんなら、

 もう怖いもの無しだ!!!

 こんな法廷メチャクチャにしてやる!!!)


 そんな思いだった。


 みっともなく暴れるオレを、

 もう一度警護官が抑え込みに入る。


 聴衆の軍人たちは、

 あきれた目でオレを見つめた。


カンカンカン!!


「静粛に!!!!!!」

 木槌ガベルの音と、

 アーツライト裁判長の声が法廷内に鳴り響く。


「弁護人!!これはどうなっておる!!!」


 裁判長は怒りをあらわにした。


「申し訳ありません…。」


 デア・リオン中尉は、

 ものすごい勢いで頭を下げた。


(申し訳ありません、…って、

 他に言うことないのかよ。)


 警護官に押さえられながら、

 オレは泣きながら中尉を見つめた。

  

 中尉はひたすら頭を下げ続けた。


 そして、オレの裁判は終わった。












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