オレの戦闘4
ドゴンッ!!!
機体内部から爆発音が聞こえ、
コックピットの中に、
焦げ臭いにおいが漂い始める。
メインモニターが映す外の様子は、
あっという間に煙でおおわれてしまった。
ガタガタガタガタ…
こんどは、急激に機体が強震し始めた。
「ちょ、ちょ、ちょっと!
これさ、どうなってんの!!!」
オレは初めての状況に、
見事にパニクった。
<ちょっと落ち着いて!!>
「ダ、ダメだ──────!!
何を動かしても全然反応しない!!」
機体は完全に制御不能となった。
「リゼル──────!!!どうしよ────────────!!!」
<ど、どうしようって言われても…、
あ────────────っ!!!>
「ど、どうした…!?」
<タツヤ計器を見て!!!>
「け、計器を見ればいいんだな!!」
オレは言われるがまま、
計器をチェックする。
チェックした計器の一つが、
激しく揺れ動いている。
それを見たリゼルは、
<…ルーンリアクターが…、
ダメになっちゃってる…。>
「ダ、ダメって…?」
<壊れちゃったみたい…。>
「え”──────────────────────────────!!!」」
ビ────────────!! ビ────────────!! ビ────────────!!
「今度は何だよ───────────!?」
ガタガタガタガタガタガタガタガタ!!!!
直後、機体が再び大きく揺れ始める。
メインパネルに”警告””危険”の文字が交互に点滅する。
「こ、これって、さすがにまずくない!?」
<……うん。
すごくまずい。>
「どうし────────────────!!!」
<もう落ち着いてよ!!!>
ガダガタガダガタガダガタガタガダ!!!!!
機体の揺れは、さらに激しくなり、
突然機体がデタラメに動きだす。
<タツヤ!!動力をすべて落として!!!
このままじゃ、ルーン・リアクターが爆発しちゃう!!!>
「ば、爆発!?
てか、動力落としたら、
そ、それって……、
墜落じゃん!!!)
<大丈夫!!
こんな時の為に、
脱出ポッドがあるんだから!!>
「あ”──────────────────!!!
そうだった、
こういう時の為か!!!」
「ふぅ……。」
オレは、息を整え、シート下にある、
脱出ポッドのコックを回しながら引く。
ガコンッ!!!!!
オレは衝撃に備え、
しっかり目を閉じた。
「………………。」
<………………。>
数秒が経過。
「………何も…おきない……。」
<何でだろ??>
オレはもう一度、
コックをしっかり回し、強く引く。
スコッ…… スコッ……
コックは、むなしく空回りするだけだ。
「……リゼル……、
もしかして……これ、
…壊れ…てる…!?)
<…たぶん。>
「うおおおおおお!!!!
リゼル!!!!
うんって……!!」
機体は、不規則な振動を繰り返し、
コックピットには不快な警告音が鳴り続けている
「うわああああああああああ!!!!!」
ビ───────────────!!! ビ───────────────!!! ビ───────────────!!!
警報の音がさらに激しくなる。
<タツヤ!!早く!!
動力落として!!>
「だから、それじゃ墜落だって!!!!」
<落ちる前に爆発しちゃう!!!>
モニターに映る煙は、
灰色からドス黒い色へ変化している。
オレは、ダメ元で操縦桿を動かしてみるが、
機体の制御はできなかった。
「止めたら、落ちるし…、
…止めなきゃ、爆発……!!」
オレはブツブツ呟く。
「ど、どうすりゃいいんだよ─────────────────!!!」
オレは頭を掻きむしった。
『…ム機、グレ…ム機、…せよ!!』
突然、コックピット内に声が入る。
『──────────グレアム機!!!グレアム機!!!
応答せよグレアム機!!!
こちら第3方面軍!!
緊急停止だ!!!緊急停止!!!
機体はこちらで受け止める!!!
緊急停止だ!!!』
<(────!?)>
<「援軍だ─────────────!!!!!!」>
「でも、この後どうなるんだろう…?」
<大丈夫だよ、絶対受け止めてくれる!!>
「そうか……、
はぁぁぁ……、助かったぁぁぁ。」
オレは安心して、指示通り、
ルーンリアクターを停止させる。
停止させると、
機体は一気に急降下した。
「どぅわわわわぁぁぁ…、
ホ、ホントに、大丈夫!?」
ガギィィィィン!!!
オレが心配する中、
落下するオレたちの機体を、
応援に駆け付けた王国軍機が、
空中でがっちりと受け止めてくれた。
プシュウウウウウ……ドスン!!!
どうやら機体は、
無事地上に降りたようだ。
「た…助かったぁ……。」
<タツヤ、─────とう>
その時のリゼルの言葉が、
どういうわけか、
ずいぶんと遠くから聞こえたような気がした。
「リゼル、よく聞こえないんだけど!!
…とにかく、オレたち、やったんだな。」
オレたちは、ライデンシャフトに乗り戦った。
そして、帝国の侵攻を防いだ。
握りしめた操縦桿の感触が、
オレ《リゼル》の小さな手に残っている。
「なぁ、リゼル、
オレ…っていうか、
オレたち、ほんとにパイロット目指すのか…。」
<──────>
「なぁ…リゼル…?」
オレがいくら問いかけても、
リゼルからの返事がない。
「おい!急に黙ってどうしちゃったんだよ!!」
「なぁ、リゼル!!なんとか言えよ!!」
オレの声だけが、
虚しく暗いコックピットに響く。
「おーい、リゼル!
返事してくれよー!!!
この体、お前に返すんじゃなかったのかよー!!!」
しかし、リゼルからの返事はなかった。
「…………」
《タツヤありがとう》
オレは、かすかに聞こえた、
リゼルの最後の言葉を思い出した。
プシュ────────────
オレが放心状態でいると、
いきなりコックピットハッチが開いた。
あたりは、すっかり夕闇に包まれ、
暗くてよく見えなかった。
「うわっ、まぶしい!!」
いきなり、オレの顔に複数のライトが当たる。
「いきなり何だよもう!!」
オレはゆっくり目を開ける。
「…嘘…でしょ……。」
ジャキィ!!!
オレを待ち受けていたのは、
剣先をオレに向けた兵士たちの姿だった。
第一章はここまでになります。読んでいただき本当にありがとうございます。
もし『面白かった』『続きを読んでみたい』と思われた方は、ぜひともブックマークや下の評価(☆が並んでいる所)で応援をしていただけると幸いです<m(__)m>
皆さまのその貴重なひと手間が、作者の励みになります。
引き続き、第2章をお楽しみください。




