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【機体イラストあり!】機導大戰ライデンシャフト~転生したら最弱少年で絶望したけど巨大ロボットのパイロットとしては最強みたいです~  作者: nicobear
異世界で巨大ロボットに乗ることになりました(パイロットとしての目覚め)編
32/123

オレの戦闘3

 オレは、追いかけてくる敵へ、

 機体の上半身をひねり、

 魔導砲を向ける。


<タツヤ、狙いは、

 首周りか、脇腹の部分。

 そこなら装甲が薄いから、一撃で、

 ルーン・リアクターを打ち抜ける!>


(えっ!? 打ち抜ける…!?、

 そしたら、パイロットは…?

 機体だって爆発しちゃうんじゃ…!?)


<!?…た…確かに、そうだけど…、

 今、そんなこと言っても、

 タツヤがやらなきゃ、

 王国軍がやられちゃうんだ!!>


(うっ………。)


 王国軍がやられるの言葉に、

 オレは何も言い返せなかった。


ドシュッ!!!ドシュン!!!


 そんな中、敵先頭を飛ぶ片腕の機体が、

 オレたちめがけ砲撃を放ってくる。


「おわわっ!!

 ホントしつこいなー!!!」


<タツヤもっと真剣にやってよ!!>


「はいはい!!

 わかってますって!!」


<こっちの魔導砲は7発!!

 もうこれ以上のチャージできないからね!!>


「そういや、

 乗る前にそんな事言ってたっけ…。

 ふぅ…、全弾当てたとしても、

 2機残るじゃん。

 外したら、外した分だけ不利になるか…。」


 オレは、メインモニターに、

 射撃照準線を表示させ、

 その照準線に敵ガタカⅡを合わせる。


(あっ…、もう!

 ちょこまかと…、

 照準がなかなか…。)


「こんなのどうやって合わせんだよ!!」


 オレはイライラを口に出さずにはいられない。


ドシュン!!!


 相変わらず、

 片腕の帝国機はしつこく撃ってくる。


 オレは自分の気持ちを整理するため、


「ふぅ…、これから反撃しますけど、

 お互い、恨みっこ無しでお願いします!!」


 大声で独り言を叫んだ。


<タ…タツヤ……。>


「わかってるって!!

 戦争なのは。


 ただ、一応断っておこうと思って、

 敵には聞こえてなくてもさ…。


 ただ、この照準線って…、

 相手に…、なかなか…。)


 オレは、話題を照準線に戻して、

 そのままメインモニターを凝視する。


 すると…、


(な、な、な、何だ……!?

 左目が、…熱い!!!)


 バンダナ越しに左目をさわると、

 異常な熱さになっている。


 オレは、眼帯代わりにした、

 グレアム少佐のバンダナをズラす。


 そこには、あるはずのない左目があった。


「何だこれっ!?」


(…目の中に模様が見える!?)


 失ったはずの左目に、

 不思議な模様が映っている。


「ど、どうなってんだ!?」


<タツヤどうしたの!?>


「…左目に何か映ってんだ…。」


<左目に!?

 僕には何も見えないよ…。>


ドシュッ!!!ドシュン!!!


 気がつけば、

 帝国軍がかなり近くまで迫っている。


<タツヤ!!

 早くしないと、

 敵はすぐそこまで来てる!!>


「言われなくてもわかってます!!」


 オレは魔導砲のトリガーに手をかけ、

 タイミングを計る。


(…頼む…当たってくれよ…。)


 オレは相手の弱点を狙い、

 機体を激しく動かす。


「うぐぐぅうう……。」


 激しく動き続ける中、

 左目の模様と、

 敵機がバッチリ重なった。


「!!!」


 オレはトリガーを引く。


ギュオオオオオン!!!


 ブルージュ・ZWEIツヴァイの放つ閃光が、

 帝国軍ガタカⅡを射抜く。


ドゴオオオオオオオ!!!


<やったー!!!>

(あ、あたった…。)


 オレは、操作パネルに手を伸ばし、

 メインモニターの照準線表示を消した。


<何してんの!!

 大事な照準線消しちゃって!!>


「大丈夫!!」


 オレは深呼吸をして、

 操縦桿を握りなおした。


 オレは敵の弱点を射抜くため、

 ライデンシャフトをそれまでよりも、

 さらに激しく飛ばす。


「うぐううううぅ……」


 そして、魔導砲のトリガーを引いた。

 ただ左目を信じて。


ズシュュュュン!!!


 魔導砲から放たれた閃光が、

 再び敵ガタカⅡの装甲を射抜く。


ドゴオオオオオオ!!!


 オレは、続けざま、

 2機のガタカⅡを撃ち落とした。


───────────────────────────


「ヴァンツ!!ルゾ!!」

 レインは叫んだ。


 帝国軍・第五機甲師団・78特殊機甲隊に衝撃が走る。


「……嘘…だろ……。」

「乱数回避機動をとっていたのにか…。」

「…た…たった2発で…!?」


 瞬く間に2機、

 レインの目の前で部下機が撃ち落とされた。


 その光景は、

 レインにとって悪夢そのものだった。


──────────────────────────


 調子に乗ったオレは、

 さらに魔導砲を放つ。


ズシュン!!!


ドゴオオオオオオオオ!!!


<当たったー!>

(………………。)


 続けて、もう一撃。


ズシュン!!!


ドゴオオオオオオオオ


<また当たったー!!>

(………………。)


 全弾命中、完璧な成果を、  

 無邪気に喜ぶリゼル。

 

 オレは黙々と機体操作に専念した。


────────────────────────────


「ウ…ウソ…だ……。」「バケモノだ――!!」「や…やめろー!!!」


 帝国軍パイロットは平静さを失い、

 その影響は機体の動きにはっきりと表れた。

 

 帝国軍は完全に統制を失った。


────────────────────────────


 明らかに動きを乱した≪ガタカⅡ≫に対し、

 オレは、黙ってトリガーを引き続ける。


ドシュッ!!!ドシュン!!!ドシュン!!! 


 あっという間に、さらに3機を撃墜した。



────────────────────────────


 帝国軍士官ビシス・レインは、

 仲間の機体を次々と撃ち落とす、

 王国軍ライデンシャフトを呆然と眺めた。


「こ…こんな…はずでは…。」







────戦闘の数日前、帝国領・前線基地ダントン────


 レインは、前日ダントン基地へ配備された、

 帝国軍主力ライデンシャフト≪ガタカⅡ≫の前に、

 部下たちを集めた。


 つり目の男性隊員が、


「中尉、全員揃いました!」


 軍人らしく鋭い声で告げた。


「うむ。」


 レインは軽く返した。


 今度は、黒髪の女性隊員が、


「我らを格納庫に集めて、

 いったいどのような用件でしょうか?」


 口を開いた。


「お前らに見せたいものがあってな。」


 レインは表情を変えず答える。


「見せたいもの…ですか。」


 黒髪の隊員が聞く。


「そうだ。」


「ここには、

 前日運ばれた≪ガタカⅡ≫しかありませんよ。」


「そうだ。」


「………」


 レインの意図が分からず、

 隊員たちは互いに顔を見合わせる。


「ここに並ぶ≪ガタカⅡ≫が、

 我らの新しい相棒となる。」


 レインはさらりと隊員たちへ告げた。


「は、はあ…。」


 隊員たちは戸惑った様子だ。


「中尉…、お言葉ですが、

 日ごろより、

『出来立てよりも、使い慣れた機体が1番だ!』

 と、おっしゃっていたかと…。」


 つり目の隊員が落ち着いた声で答えた。


「はははははは、確かにそうだ。」


 レインは笑った。


「中尉!からかわないで下さいよ。」


 他の隊員からも声が上がる。


「こいつの凄さは、外見じゃない。」


「どういうことです?

 オレたちは、こいつ《ガタカⅡ》に代わる、

 新型がくるんじゃないかと、

 楽しみにしていたのでありますが。」


 筋肉質の隊員が言った。



 レインは真顔で答える。


「だから、こいつが新型だ!」


「……!?」

 部下たちの表情はくもったままだ。


 レインは、部下たちを気にすることなく続ける。


「この機体は…、

 超高純度の魔鋼石”ハイペリオン”で稼働する、

 最新型ルーン・リアクター、”バハムート”を搭載している。

 さらに、高出力を制御するための、

 新たなウィザード・システムも装備されている。

 これでどうだ。」


 レインの説明をうけ、

 部下たちはいっせいに興奮する。


 筋肉質の隊員は、

「外装は従来の≪ガタカⅡ≫でありながら、

 内側は最新型ってことでありますか!!

 大声でほえた。


 つり目は、

「ようするに、

”≪ガタカⅡ≫超高出力魔導炉換装型”ってわけですか。」

 一人落ち着いて言い放った。


「そうだ、こいつの実験データに目を通したが、

 機動力、耐久性能など、

 あらゆる点でこちらが上だ、圧倒的にな。」


「おおおお!!!」

 部下たちは歓声を上げた。


 今まで黙って話を聞いていた年配の女性隊員が、

「こいつで、レイクロッサの奴らをぶっ潰してやりましょうぞ。」

 隊員たちをあおった。


「「「おおおお──────!!!」」」


 隊員たちの士気は最高潮だった。



────────────────────────



「………………………。」


 レインは、自軍のあまりの惨状に言葉を失った。


「中尉!!!

 こうなっては侵攻作戦どころではありません。

 退きましょう!!」


「くっ……。」

 レインは大きく表情を歪め、

 頭を激しく横に振った。


「中尉!!!決断を!!!」


「………。」


「中尉!!!」



────────────────────────────


 はあっ…はあっ…はあっ…


 オレは残った敵へ狙いを定め、

 トリガーを引く。


カチッカチッ…


 しかし、肝心の魔導砲は反応しなかった。


「あ、あれっ?」


<もう残弾ないんだよ!!>


「あ…そうだった。」


 オレはあわてて魔導砲から、

 ハイヒートグラディウスへ兵装を変える。


「こ、今度は接近戦…

 もう、無理かも…」



 オレが、弱音を吐いたその時だった。



<タツヤ!!

 敵が…、逃げてく。>



 リゼルの言葉通り、

 残った2機の帝国軍≪ガタカⅡ≫が後退していく。


<追撃して決着をつけよう!!>


「ふぅ…、そ、そうだな…。」


 オレは大きく息を吐いた。


 額から大量の汗が流れ落ちる。


<タツヤ、大丈夫?>


 その時だった。 


 ゴゴゴゴゴオッ!!!!!


「こ、今度は、なにぃ!?」






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