オレ、巨大ロボットに乗ります4
「――!?」
サイドスクリーンパネルに、
映る巨大な影が、
どんどん大きくなっていく。
<ガタカⅡだ!?>
「でえええええ!!!
つ、ついに来た─────!!」
<説明はここまでだね、
じゃあさ、出力は
とりあえず60%ぐらいにしよう!>
オレはリゼルに言われた通り、
操作パネルをいじり、
機体を起こす。
『…今度こそ…、沈めてやる!!』
コックピット内の無線から、
女性の声が聞こえてきた。
<タツヤかわしてっ!!>
「え”っ――!!いきなり!?
ど、どうやって!!!」
目の前に、ガタカⅡの超熱ファルシオンが迫る。
<うわっ───!!
は、早く!!大型シールド使って!!
操縦桿を…!!>
(うわぁぁぁ!!!!!)
オレはたまらず目をつぶった。
ガキィィィィィン!!!
強烈な金属音が、
コックピット内にも響く。
「ああ…。」
─────────終わった。
今度はどこへ転生するんだろ…。
出来れば、次こそ、
ちゃんとした異世界ファンタジーで、
チート満載、チョー楽できる感じで、
お願いします…。
「って、あれ……。」
目を開けると、正面モニターパネルに、
ガタカⅡが映っている。
オレたちは、ガタカⅡの一撃を、
大型シールドで受け止めていた。
「え”───!?
まただ…なんか、
勝手に体が…動いた…。」
<タツヤ!!
敵から離れて!!>
オレは、慌ててラダーペダルを踏み込み、
機体を動かす。
機体は不格好な体勢で前進し、
ガギィィィィィン!!!
そのまま敵に体当たりをくらわせた。
<いいよタツヤ!!
もう一回、ラダーペダルを踏み込んで!!
それから、操縦桿を行きたい方向に傾けて!!>
オレは、無我夢中で操縦桿を握り、
敵から離れた。
────────────────────────
ガタカⅡのパイロット、ビシス・レインは、
「た…体当たりだと…。」
《ツヴァイ》の動きにに驚きを隠せないでいる。
────────────────────────
オレは、なんとか機体を動かし、
敵と距離を取る。
「さっきのアレ…、
やっぱり、リゼルじゃないの?」
<何度も言ってるけど、
僕が動かせるなら、動かしてるよ…、
って、ちゃんと前見て!!
敵!!来てるよ──────!!!>
すぐさま、敵機が襲い掛かってくる。
「あ”──────っ」「うわ”──────っ」
オレは、よくわからないまま、
操縦桿を動かし、ラダーペダルを踏む。
ブオッブオン!!
オレたちの機体は、
敵の攻撃をよけ続ける。
(や、やっぱりだ…。
やばい!!
と思った瞬間に、体が自然と動いてる。)
「オレ、ど、どうなってんだ…。」
その後もピンチが続くが、
オレはギリギリで敵の攻撃をかわしたり、
盾で防いだりしてしのいだ。
<すごいよタツヤ!!!
戦えてる!!!>
「いや…、だからさ、
体が勝手に…。」
オレがリゼルに返事をした瞬間、
ガゴォォォォン!!!
敵から思いっきり蹴りを食らって、
「うわっ─────────!!!」
機体が吹っ飛ぶ。
<え────────っ!?
なんで、なんで今のよけられないの!!>
「リゼルが話しかけるから!!
でなきゃ、ちゃんとよけ…。」
<タツヤ!!!危ない!!!>
ガタカⅡは、
オレたちめがけ、
大剣を振りおろす。
「あ”ぁぁぁ────────!?」
オレが悲鳴をあげた瞬間、
ブルージュ・ZWEIの各スラスターが、
一斉に噴き出す。
ギャリイイイイイイ!!!!!
辺りに大きな金属音が響き、
大量の火花が散った。
「………!?」
<か、かわしたの!?>
モニターを見ると、ガタカⅡの超熱ファルシオンが、
大地に突き刺さっている。
「か、かわせた…みたい。」
<あははははは、すごいよタツヤ!!>
「そんなに褒められても、
複雑な気分…。」
<じゃあさ、もっと魔導出力あげてみよう!!>
オレはリゼルの指示に従って、
機体魔導出力を70%に上げる。
敵ガタカⅡは、
大地に突き刺さった超熱ファルシオンを、
引き抜いた。
───────────────────────────
大地に突き刺さった大剣を、
引き抜きながら、
帝国軍中尉ビシス・レインは、
対峙するグレアム機を、
睨んだ。
「何が…、起きているのだ!?」
ビシス・レイン率いる78特殊機甲隊は、
レイクロッサ基地から出撃した
王国軍グレアム隊を退け、
そのまま王国領内へ侵入した。
グレアム隊を破り、
勢いに乗る帝国軍レイン隊は、
さらに、王国領内で、
王国軍増援部隊を撃破する。
レインは、
レイクロッサ基地のエースである
グレン・グレアムを確実に討つべく、
単機で、王国領内の小さな村に落ちた、
グレアム機の後を追った。
そこで、レインは、
グレアム機と再戦する。
しかし、レインは、
グレアム機の明らかに異なる挙動に、
当惑するのだった。
───────────────────────────
『さきほどから、
何やら話し声が聞こえるが…。
パイロット!
貴公、グレアムではないのか…?』
オレたちが乗るライデンシャフト
ブルージュ・ZWEI
コックピット内に、
大人の女性の声が、
流れてきた。
「リゼル!
女の人の声が聞こえたけど…、
何これ!?」
<あ…、
開放用の無線、
オンになってたんだ。
ライデンシャフトは、
うーんと昔、騎士同士の戦いで、
名乗りあったみたいに、
パイロット同士、
名乗りあう事があるんだって。
そのための無線。>
(へぇ~…!これって、
…パイロット同士の会話!!
ってことは、
数多のアニメ作品で生まれた、
名シーンが、オレにも…。)
『聞こえているのであろう、
返答しろ!!
貴公はグレアムではないのか!?』
<ちょっとタツヤ!!
敵のパイロットが、
質問してるよ、
どうするの??>
(ア〇ロVSシャ〇…
イサ〇VSガル〇…
キ〇VSアス〇ン…
ぶつかり合う男のプライド!
生まれるドラマ!!)
<ちょっと!!タツヤ!!
人の話聞いてる!!
変なこと考えてないで、
ちゃんと答えないと失礼だよ。>
「え…………!?
あ!!ごめんごめん
で何だっけ。」
──────────────────────────
レインの耳に、
グレアム機からの失礼な返答が入る。
『ごめんごめん…、
何だっけ……。』
「バ、バカにしおって────、
許さん!!!」
レインは全速力で、
グレアム機に襲いかかった。
────────────────────────
「え”──────っ!!!
リゼル、敵の女性、
なんか怒ってるんですけど──────!?」
<はぁ、そりゃそうだよ、
何度聞いても答えないし…、
返事が、”何だっけ”だもん。>
オレは必死の操作で、
敵の攻撃をかわし続ける。
「リ、リゼル、呆れてないで、
どうにかしてよ!!」
オレが大声で叫ぶと、
相手は動きを止めた。
『やはり、その幼い声…、
あらためて聞く、
グレアム機のパイロット、
貴公いくつだ?』
(リゼル、歳いくつ?)
<12>
「12歳、…です。」
レインは、
『12歳!?』
驚きの声をあげる。
「はい。」
『…………信じられん、
王国軍は、
そんな年の者まで、
戦場に駆り出すのか…。』
「は…はぁ。」
『私は、帝国軍中尉ビシス・レイン
貴様、名は?』
「リゼル・ティターニアです。」
『ティターニア、
その機体、グレン・グレアム少佐の機体ではなかったか?』
「えーそうなんですが…、
あのー、色々とありまして、
自分が操縦することになりました。」
『そうか…。』
レイン中尉の声から、
はっきりと落胆の気持ちが読み取れる。
オレは思い切って、
「ど、どうします、
”戦闘”続けます?」
提案する。
<タツヤっ!?
いきなり何言ってんの!!>
『リゼル・ティターニアと言ったな…。
子供相手でも容赦はせん、
では参る!!!』
わかりやすい、
レイン中尉からの返答だった。
「はぁぁぁぁ~…、
やっぱり戦うしかないのか―。」
<タツヤ!!
来るよ!もっと集中して!!>
レイン中尉操る帝国軍ガタカⅡが、
再びオレに襲い掛かってくる。
オレは開放用無線をオフにする。
「あ──────っ!?」
<ど、どうしたの?>
「オレ、
カッコいい名乗り出来なかった…。」
<……はいはい。>
こうして、オレの異世界でのロボット戦闘は、
始まってしまった──────
───────────────
ビシス・レイン中尉
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